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正直にいうと僕には、もうカードゲームで遊ぶ友人は殆どいなくなっていた。 カードの主流は小学生、中学生も多少遊ぶが、高校生くらいになるとコレクションはしても ゲームとしてカードを使う者などそうはいない。 僕はそんな数少ない高校生のひとりだった。 しかし、最近はめっきりバトルする事も減った。僕の充実したカードコレクションをみてバトルを 躊躇する者も多くなってきたのだ。そして何より時間がない。 バトルをするより、明石と一緒の時間が楽しくなっているのを僕は認めない訳にはいかない。 明石は思いの他、カードに詳しく金の力だけで集めた訳ではない事が知れた。 どうやって彼が超レアなカードをゲットしたのか聞いているだけでわくわくした。 色々な店での体験、様々な工夫。そして店員とのやりとり。どれも僕の心を踊らせる。 そして、もっと正直にいうと僕は彼のあぐらの中で背中の温もりを感じながら話を聞くのが決して嫌じゃなかった。彼に優しく包まれていると、本当に安心する。 時々、自分の後ろに彼の固くなったモノが当っているのを感じる事もあったが、不思議と不快に感じず、それどころか、カッと自分の身体の中も熱くなる気がするのだ。 自分はホモではないと思うが、明石はどうなんだろう。 『キスが好きなんだ』 彼はそういってキスしてくる。そしてキスした時は必ずカードをくれる。 僕は心のどこかが抉られるように疼く。 『カードが欲しくてキスしてるわけじゃない』 じゃあ、なぜ、僕は彼のキスを受けているのか?僕はホモじゃないはずなのに…………。 明石とカード専門店でカード談義に花を咲かせていた時だった。 明石が友人を見つけて僕から離れた時その人はやってきた。 「君もカードに詳しいね。結構、本格的にやってるだろう?」 知らない男の人が声をかけてきた。多分、大学生くらい。明石より大分年下って感じがする。 明石も結構いい男だと思うけど、この大学生らしい人もなかなかのイケメンだ。 「はぁ」 僕は曖昧に答える。明石に誰にでも愛想を振るなと注意されてるのだ。 「僕もカードが好きでね。カードバトルってちょっと夢中になるよな。 特に自分よりいいカードを揃えてる奴を負かした時とかさ」 僕もそうだった。今まで僕は小遣いなんかあまりもらってなかったから、 相手に僕のデッキを見せていかに普通のカードしかもってないか安心させ そして、合わせ技や工夫で勝つのが痛快だったから、こんなにはまったはずだった。 それで思わず答えてしまったのだ。 「そうですね」 「良いカードを揃えてるようだが、今度僕とバトルしようぜ。これケータイ」 そういって彼は携帯番号を渡してきた。 困ったと思った瞬間に友達と話していた明石の視線を感じた。 まずい、怒ってる。僕はその大学生っぽい人の機嫌を損ねるのも怖かったから、メモを受け取って ポケットに突っ込むと、 「友達が来たみたいなんで……」といって明石の方に歩き出した。 カード専門店の帰り道、明石のスポーツカーの中で僕は明石に強引にキスされた。 今まで彼は優しかったから、すごく驚いて抵抗したがどんどんその行為は進んでいく。 そしてマンションに連れ込まれると 明石はキスよりもっと強引に僕を抱いた。僕が喚いて抵抗しても決して放してくれなかった。 事後、彼はベッドの上にカードホルダーを投げ出す。 「さぁ、これが約束のコレクションだ。持って帰りたまえ」 僕はただただ、涙を流しながら首をふる。 「これで僕のカードは無くなった。もう、ここに来る事はないな?」 確認するようにいう。 「他に欲しいカードがあったら、これで買うといい。店になかったらオークションで手に入るだろう」 彼の声は今まで聞いた事がないほど冷たかった。数万円をそのままカードホルダーに挟むと僕を振り返る事もなく部屋を出ていった。僕の身体は傷付いていたが、それに対してなんの慰めの言葉もお詫びもなかった。もう、これで僕達の関係は終わってしまうのか? このシンプルで男っぽい彼の部屋で僕が優しくキスを受ける事もないのだ。 僕は涙も出ずにただ凍ったバナナみたいに固く固く、固まっていた。 |