|
chou a la creme 14 |
|
夜の帳が明け、微かに明るくなった窓際から小鳥の声が聞こえていた。 そこにすでにミッシェルの姿はなく、力なく俯せている大沢の姿があった。 本郷も大沢もすでに誰かに浄められたあとで残滓の後はなかったが 微かに血の匂いがする。 本郷のアナルは疼くような痛みがあったが傷付いていないようだ。 本郷はそこではっと気がついてと大沢の近くによった。そして下着をめくってその酷い傷口を覗き込まずにいられなかった。 「どうしてこんな事に....」 思わず左手で口を覆ってしまう。 「喬は....起きれるの?」 掠れた声で呟くように大沢が囁く。多分この血の匂いのダメージはミッシェルが大沢に与えたものだろうと 想像できた。なぜか、本郷は切ない気持ちになり涙が溢れてきた。 「うん、大沢さんは、僕に乱暴にしなかったから」 「ミッチの奴....俺だって初めてだって知ってるのに好き放題やりやがって」 こんな場面だと言うのになぜかそこに優しい時が流れていた。 二人は見つめあうと戦場で出会った負傷兵同志のようにくすりと笑った。 本郷は無言で立上がると大沢の冷蔵庫を勝手に開けてポカリスエットを持ってくる。 それを大沢の頬につけた。 「つめた....」 「どうして、こんな事になってるのか教えて。僕には聞く権利がある」 大沢は身体が辛いらしく。ガウンをかけただけでベットで寝そべったままだった。 そのすぐ脇に本郷が腰を降ろす。 「本当の事をいうと僕は純粋な日本人じゃない。 祖父がイギリス人のクォーターなんだ。 ミッチも実はああ見えて日本人の母を持つハーフなのさ。社長の愛人だったミッチの母親はミッチを妊ったので 帰国を決心したらしい。子供の事は内緒にしてね。 そんな彼とは幼い頃から知り合いで、お互いに日本人じゃないことでいじめに逢っていたから 庇いあう仲だった。」 「じゃあ、彼は日本に住んでいたんだね。どうりで日本語が自然だと思った。 僕の英語を心の中で笑っていたんだろうな....。」 本郷はからかわれたと思って本気で怒り出す。 「とんでもない。君がよく語彙やイディオムを知ってるって誉めていたよ。 すごく勉強しているってね。僕もそう思ってる。君はある意味もっとも日本人らしい日本人さ。 勤勉でシャイでそして愛らしい。」 「やっぱりばかにしてる」上目遣いに大沢を睨みつけた。 「最後まで聞いて。僕達が出会ったのは同じ公立小学校だった。その頃僕は彼に淡い恋心を いだいていた。その頃の彼は王子様の様な凄い美少年だったからね。僕はその時から男しか好きじゃなかったんだな。 彼は父親に認知されて10才の時、渡米した。僕は彼を追って祖父が移住していた カナダに行く事を決心したのさ。親の仕事なんて口実で、親には純粋な日本人じゃないから 苛められるっていいわけしたんだ」 「そんなに好きだったから今まで彼との関係が続いていたんだね」 本郷の声は心無しか小さくなっていった。 心の中では悲鳴をあげている。 両想いなら、なぜ、自分をからかったりしなくてはいけないのかと。 「僕はガキながら真剣だったよ。だけど彼は友達としか想っていなかったのさ、 前にも言ったけどミッシェルは真性のゲイさ。子供なんかアイツのタイプじゃないんだ。 ガタイのいい、男らしい男が好きなんだ」 「じゃあ、北米では逢わなかったんだね?」 「一度逢いに行ったけど、けんもほろろだったね。それで諦めがついて日本に帰る決心がついたんだ」 「いつ、こっちで出会ったの?」 「大学の留学時代だよ。僕はあいつを忘れかけていたよ。顔も変わっていたし。 だけどアイツは憶えていた。僕もガタイが良くなっていたから、彼の許容範囲に入ったんだろう。 今度はあいつの方から猛烈にアタックしてきたんだ。」 大沢は思い出すようにクスリと笑った |
