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《2》 |
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それとこれといったい何の関係があるんだよ?俺はお前の相手なんかしたくないっていうの。 「なんで俺がお前の?ふざけるな。あ、そこさわんな……ばか」 握るな! 「なかなか良いもの持ってるな」 ってお前、それってセクハラだぞ! 「あ、あぁ……」 「なんだ、嫌がってる振りして結構感じやすいじゃん。こんなに敏感でタチなんか勤まるのかよ」 キスを仕掛けながら片手で乳首を刺激し、もう一方の手が違う意志をもった生き物のように オスを弄んでいる。しかも背中で彼の勃起した乳首が性感帯を探すように蠢き、あまりのテクに身を捩っているうちどういうタイミングか俺のスリットに彼のオスがいつのまにか勝手に入り込んでゆるゆると刺激を繰り返す。 「お、お前……ま、まさか俺と何をする気だよ?節操なさ過ぎるぞ!」 胸から手を入れて乳首を触っていた指にきゅっとタイミングよく摘まれて「あ……っ」と情けない声が溢れた。 「いいから、もう黙って……ほら、気持ちよくなってきただろ?お前、絶対ネコの方が素質あるって」 「……ねーよ」 そういう声が上擦っているのがなさけないが。 「震えてる……やっぱり可愛いな、お前。なんか我慢の限界だ。久しぶりだぜ、こんなに興奮したの」 腰の振りにあわせるように彼のオスがノックするように蕾の中に入り込もうとする。しかもかなりでかい……。 「あ、ばか……興奮してるんじゃねー。お前、俺をよく見ろ、女でも可愛子ちゃんでもないんだぞ」 どうして俺相手にこんなことを……何も考えられなくなりそうで怖い。 「そうかな?かなり可愛いぜ。あ、だめだ、許せ……」 その台詞のままに彼のカリ先端が巧みに入り込んでくる。 「ゆ、許せるか!ちくしょーいてーよ。いきなり突っ込むな。このテク無し!」 「何がテク無しだ?受け入れる気持ちがないからだ」 「あってたまるか!」 あ……身体の奥になんか生暖かい感覚が……まさか?……いきなりいきやがった。 「勝手に出しやがったな!この早漏男!」 「勘違いするなよ。お前が痛がるから、潤滑油がわりに注入してやっただけだ。夜はこれからだ。楽しませてもらうぜ」 その言葉に嘘はなくメリメリと彼のオスが入り込んでくる。 「あ〜〜っ!」 痛い……?いや、予想していたより痛くない。っていうかかなり気持ちいいから、振りそうになる腰を 理性でやっと押さえていた。 「もっと色っぽい声を出せ」 「か、勘弁してくれ……」 俺はもう半泣きだった。注入されたものが潤滑油となってゆるゆると彼が遠慮がちに動き出す。 「ヴァ−ジンなんだろ?大丈夫急に全部は入れないから」 それが慰めになると思ってんのかよ。いいから、全部さっさと抜きやがれ。 「あ…っ、ふ……っあぁ…っ」 どうして俺は名前しか知らないもっともいけすかない男に組み敷かれて情けない声で喘いでいるのだ? こいつにだけは弱味を見せたくなかった。上司の羽鷲課長に振られてから、一途に片思いしていた苅田。 あんなに大切にしていた思い人を簡単に穢した男になぜ、俺までもいいようにされているのか? 「あ、ちくしょー、うぅ…どけよ。て、てめーなんか……」 「泣くなよ。そんな顔で……そんなお前、すげーそそる」 ちくしょーそれって誰にでも簡単に言ってるんじゃねーか。そういってホストのテクで苅田も落としたんだな? 「う、やめろ……抜けよ…頼む恐上…抜いてくれよ……」 「おいおい、マジで泣いてるのか?性交渉の経験が豊富そうな顔して意外とウブなんだなぁ」 挿れたままの状態で恐上が手の甲で俺の汗と涙を拭いて羽毛を撫でるように唇にキスをした。 「……ふざけんな。つ、突っ込まれる経験がそうそうあってたまるか!」 いじわるそうに俺の顔を覗き込みながらにやりと片頬で笑っている。俺も善人とは言わないがこいつほどじゃない。相当の悪党だ。 「忍…お願いって可愛く言えたら抜いてやる」 「ふざけんな!」 「じゃあ、せめてお前の名前を教えろよ」 そういってさらに奥に押し込んでくる。ふざけんな。お前に教える… 「名前なんかない」 「ない訳無いよな」 嬉しそうにそういうと腰を繋げたままで僕の背広に手を伸ばした。 「よせっ」 内ポケットから名詞入れを出すと俺に見せつけるように読み出した。 「ふ〜〜ん、株式会社シソーラス……営業開発課かぁ……光田康祐…こうすけでいいんだよね? こうだ……こうすけ…こうこう……ココって韻がいいな。じゃあ、二人だけの時はココって呼ぶことにするよ」 ショックだった……色々な意味で打ちのめされた。 最もムシの好かなかった男に、大切にしていた片思いの友達を寝取られただけでも癪にさわるのに、 こうして組み敷かれていいようにされている。しかもココだなんて呼んでなめられて……。 しかも、こんな最低男の愛撫に感じてる俺ってなによ。 いくら男が快楽に弱いからってこいつにやられて喘いでいるんじゃ節操がなさすぎる。 「どうした…急に元気がなくなったぞ?」 腰をぐるっとグラインドさせて俺の反応をみる。 「あ……あぁ……」 もう、洩れる声を押さえる元気もない。 「ココ……素直に感じてろ…このまま天国に連れていってやるから」 そんな恐上の声をどこか遠くに聞いて 「天国…なんか……」 いきたくないと確かに口にしたつもりだったのだけれど、実際俺の声は喘ぎ声で包まれていて 小刻みに動く恐上のホスト仕込みのテクに翻弄されながら俺はイったと同時に意識を失った。 どんなに憂鬱でも朝はやってくる。なんとか引きずる身体を鞭打ってホテルを抜け出した俺だが、今後まともに御飯を食べて行く為には多少のやる気がなくても 仕事にはいかなくちゃいけない。 なんとか会社に辿り着くと最低限のメールチェックをすませて先ず洗面所に向う。 仕事なんかまともにできる状態じゃないし、職場のウォシュレットでなんとか落ち着かないと あそこに何か詰まっているような違和感がある。 「ちっくしょー。なんであいつにこんな思いをさせられなくちゃいけないんだ」 悔しい気持ちで個室のドアに手をかけた時だった。 「あ、先輩!」 後ろから現れたのは苅田の屈託のない笑い顔。優しそうで清々しい彼の甘いマスクが、あんな鬼畜な男の所業で 苦しまなくてよかった。かわりに俺が引き受けちまったのは計算外だけど。 「お前、だめだぞ、誰でも信用してついていっちゃ」 「それより、光田先輩、顔色が悪いですよ?二日酔いですか?」 「いや、その…まぁ、そんなところだ」 とても苅田に事実を話す勇気はない。 「恐上さんと飲んだんですって?あの後、メールが来て先輩の携帯番号とアドレス教えろって」 「まさか、お前勝手に教えて無いよな?」 「え?まずかったですか?恐上さんはもう光田さんの名詞は持ってるからっていうから、てっきり 聞き忘れただけだと思って教えちゃいました」 あぁ〜余計な事を……。思わず舌打ちしたい気持ちをぐっと押さえたのは、苅田を責める訳にもいかないし、なにより名刺を勝手に抜き取られた間抜けな俺が一番悪いのだから。 「苅田、お前は身体大丈夫か?」 そう俺が言ったのは、無論半分は昨夜のことを揶揄していたのだが、苅田はその爽やかな笑顔をちょっと元に戻してきょとんとしただけだった。 「えぇ、いたって頑丈な方ですよ」 なんか勘違いして受け答えしてるってことはきっと恐上には危ない事を何もされていないのだろう。 される前だと恐上が言ったのはどうやら本当だったらしいが、俺が、かわりを務めてこんな身動きできない状態にされたなら世話がない。 「先輩……」 「心配するな。たいしたことないから」 なんて苅田の前では強がりを言っても本当はたいしたことあるんだけど、それをこいつにどう説明すりゃあいいんだ?言える訳がない。 この腹を下してるのさえ、なんとか直ればあとはあのイケすかないあいつのことを忘れるだけのこと。 しばらく落ち着けばきっと忘れる……忘れてやる……きっと、忘れられる……忘れなくちゃいけない。 そう思っていたのに、それから毎日のようにメールが入るし、携帯にメッセージが残っている。 いっそ着信拒否にしてやろうと思っていたのに、なんと不幸な事に今度の企画に恐上の会社が取引先の候補に上がっている。 まったくうざったらしいったら。 恐上め!一度やったら充分だろうが? それとも何か?まだ何か俺をおちょくるほど暇なのか?こっちは一日でも早くあの悪夢を忘れたいって言うのに。 「松森製作所の企画部の恐上さんっていう方から光田さん御指名でお電話ですけど」 オペレーターから内線だ。ここで無視できればどんなにいいか。 全く恐上のやつ、俺がメールも携帯メッセージも尽く無視してるからって仕事に私情を入れてるんじゃないよ。二度とお前とかかわりあいになりたくないんだよ!いいかげん解れ!それとも解って俺をからかっているのだろうか? 羽鷲課長が不審そうな目で俺を見てるから電話に出ない訳にもいかない。 本当は、羽鷲課長も好きだから、できればこの件は楽にまとめてやりたい。 だから恐上の松森製作所ならうちよりかなり大手だから、正直いって今度の企画もやりやすいのだけれど直接頼むなんて考えられない。 「はい、お待たせいたしました。光田ですが」 『僕、恐上です。だけど酷いな光田さん、僕のこと露骨に避けてるでしょう?あ、切らないで仕事の事だから会社にかけたんですからね。会ってもらえますよね?』 どうして恐上はこんなに強引なんだろう。 |