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七夕番外 |
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梅雨の割には晴れが多くて過ごしやすい空梅雨が続くといわれてはいても、俺 村上志月(むらかみしづき)は夜の生活が長かった為に毎日がきつくて仕方がない。 いい加減涼しくなってから出勤し、昼は殆ど寝て過ごす……そんな生活が長かったから、日中に机上でばりばり仕事……なんてなかなかできる訳もないのだ。 しかも、今までは女相手の仕事だったが、今はアイディアや、経験がものをいう企画部、全くの別世界だ。 そして、もっとも志月にとってきついこと、それは夜の内職(これは秘密なのだが)もこなした上で 日中の仕事もこなさねばならないことだ。 「冗談じゃねーよ」 思わず愚痴もでるというもの。 天文学的なお金持ちらしい恋人。その上美形で優しくて志月を深く深く愛してくれる申し分のない人だけれど。その恋人との 夜の生活がこんなにもハードなものだったなんて……。 実際女相手に腰や気を使って疲れたなんていっていた頃が懐かしい。 いや、決して文句をいってるのではない。今の俺はすごく幸せなのだ。 たとえ、相手が男だってそんな事は気にならないほど。 でも、でも一番の問題はこの可愛らしく美しい恋人がどちらかというと男らしかったはずの俺の上に乗っているという事実なのだ。 どんなノンケだって思わずドキッとするようなこんなにも綺麗な男になぜ、このNO1ホストで名を馳せた この俺がいいようにされているのかというと話が長くなる。 惚れちゃってる……でも……やっぱり身体がきつい。 あんな綺麗な顔をして城ときたら、結構鬼畜なのだ。 散々泣かされた挙げ句、当分城の顔もみたくないと思うのに、「大丈夫?辛かった?」 なんて甘い声で囁かれたりしたら、「たいしたことない」なんてついつい男のプライドがそんな事を言わせてしまう。 「私もきつかったから志月が辛いのは解るよ。仕事は休んでいいから」 そういわれるとますます男の最後に残った沽券が「仕事だから休む訳にいかない」 なんて意地を張ってしまうのだ。 ここで休むと言えれば楽なのに。 しかもあの最中に囁かれる「綺麗だ……」「色っぽい……」これが俺の微かに残ったプライドをぐりぐりと 刺激する。 だから、その朝、城に「海外出張が入ってね。その間部屋を改装するから志月は指定するホテル に泊まってくれる?」といわれて正直ほっとしてる。 いくら城が全て支払ってくれるとはいえ、何から何まで城が指定してくるのには、自分が城の所有物のようで少しだけ反発心がもたれてくる。城がキープしてくれるのは何から何まで最高級だから文句の付けようもないのがまた悔しいのだけど。 とはいえ久しぶりの独り寝……城には悪いけどちょっと嬉しい。思わずもうすぐ昼休みという時間に ひとり今夜どうやって羽を伸ばそうかとウキウキ夢想しているといきなり俺の腰を引き寄せるやつがいる。 「先輩!」 「ぎゃっ!恐上……いきなり腰回りを掴むな!暑苦しいんだよ」 出た!会社での俺の天敵恐上忍だ。 「ギャっていうのは酷いですね、昼飯一緒に食いにいきましょうよ」 家に帰っても煩悩を刺激する癖に俺を翻弄する城がいて、仕事場では天敵の恐上 バイトとはいえ、正社員である俺よりよっぽど仕事ができるから、好むと好まざるとに関わらず こいつとパートナーを組まなければいけないのが、辛いところだ。 他の社員は仕事を抱え過ぎていて新人の俺なんかかまっちゃくれやしない。 「いくわけないだろ?」 なにが悲しくって俺より背が高く高学歴のイケメンと一緒に食事をしなくちゃいけないんだ。比べて惨めったらしいだけじゃないか。 「もしかして女の子ナンパするのに俺と一緒じゃ不利だとか思ってません?それって精神的な浮気ですよ。城さんにいいつけちゃおうかな」 俺と城の事もこいつにはばればれなのだ。 「ばっかじゃねーの。違うったら」 「じゃあ行きましょう! 俺、今ピンチなんです。ホストクラブやめちゃってから金なくって……。先輩おごってくださいよ」 |