Now I'm here 7/7

遥か日輪の彼方に 

七夕番外2(18禁)



 「やだよ。可愛い女の子のバイトならいざ知らずなんで、むさくるしい野郎に驕らなくちゃいけない」

 実際のところ恐上はちっともむさくるしくなんかない良い男だがこの際、そんなことはどうでもいい。 男だっていうだけでもう、お腹いっぱいなんだ。

 しかも隙あらばセクハラしてこようとする自分に気のある男なんか何をか況んやだ!

 「前に驕ってあげたのに」

 恐上は身長差を見せつけるように 腰を屈めて俺の顔を覗き込む。

 「あの時、お礼にしてもらったキス……忘れられないな……志月さんの 唇って意外と柔らかくってさ。その上女にはない弾力があって……」

 ぎゃ〜〜!!!!それ以上いうな。第一あの時はお礼にキスしたんじゃなくてお前が勝手にしたんじゃないか。

 「わかったよ。驕ればいいんだろう!驕れば!」

 「わ〜い村上先輩!太っ腹」

 ぐっと恐上に肩を引き寄せられて「すいません〜僕ら先に昼いかせてもらいま〜〜す」なんて嬉しそうにいう恐上を必死に振払いなんとかエレベーターに乗り込んだ。

 いつも行くのは同じビルの和食屋だ。

 なぜ、こんな所に?というオフィスの隅の奥まった場所にぽつんと入っているテナントで殆ど常連だけでもっている店だ。

 ここも城のカードが使えるという事は多分城も利用する事があるのだろうと薄々解ってはいたけれど、とにかく身体がだるくて外に出たくないのとあっさりしたものが食べたくてここを選んでしまったのだ。

 「すごい……こんな場所が同じビルにあるなんて僕全く知りませんでした」

 恐上もすっかり圧倒されているらしい。外見はなんてことはない店なのだが。

 「本当に僕も一緒でよかったんですか?滅茶苦茶高そうな店ですよね」

 「いいんだ」

 だって城のカードで払うんだから。この身体のだるさはすべて城のせいなんだから。

  「内装とか凝ってますよね。ここに何気なく飾ってるのって古伊万里でしょう?この掛け軸も狩野一派の……」

 恐上の蘊蓄は続いていたが疲れ切っていた俺は聞いちゃいなかった。とにかく眠い。昨夜は寝そうになると城の指があちこちを弄ってきてちっとも寝られなかったのだ。

 知らぬ間に俺は壁にもたれて眠っていたらしい。

 すごい睡魔が襲ってきて、その後の記憶は定かじゃなかった。

 「緊張しなさすぎっていうのも傷ついちゃうな」

 頭の上で恐上がそういったような気もしたけれど。

 

  気がつくと俺は俺達が普段使ってるキングサイズの2倍くらいあるベッドに寝かされていた。城の執事頭の恐神と企画室のバイトの恐上が揃って心配そうな顔をして俺を覗き込んでいた。

 「城さまにも困ったものだ。こんなになるまで苛んで」

 「それでも青い顔をしながら志月さんたら毎日ちゃんと出勤してくるんです。もう健気で仕事を放り出して何度抱きしめたくなった事か」

 「意地を張るからつい、城さまも余計に構われるのだろう。困ったものだ」

 「いいなぁ……城さまは毎晩この可愛い寝顔を見ながら好き放題してるのか……なんか悔しい」

 恐神達にそう言われると夜の生活を覗き見られてるようで顔から火が出そうだった。

 「でも、今夜御当主はお帰りになるんでしょ?」

 忍はそう言ってから優しく俺の額の汗を拭ってくれた。

 「3日も寝込んでいたんだ。城さまも無体はなさるまい」

 忍は心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。

 「先輩……辛かったら俺はいつでも待ってるから」

 忍のその一言は嬉しいような悲しいような複雑な気分にさせられる。俺は女じゃないっての。二人と入れ違いで城が寝室に入ってきた。

 あんなに楽しみにしていた擬似独身生活も3日も寝てるうちに終わっちまったのか?

 くっぅ〜〜。どうりで久しぶりに睡眠不足と疲れが解消されスッキリした感じだ。

 部屋に入ってきた城に俺はつい見愡れてしまう。

 だって城(きずく)は、今時の芸能人でもなかなかいない美形だ。スーツを着ていたってその美しさはなんの遜色もない。

 その長い睫、

 優しく揺れる瞳……

 陶器のような白くて透明な肌。

 色っぽい赤い唇。

 どれも男ならむしゃぶりつきたくなる……それなのにどうしてむしゃぶりつかれるのが俺なのか誰か説明してくれ。

 「志月……3日も寝てたんだって?」

 「ん……」

 「その割にここは元気だね」

 そんなところを触らないでくれよ。第一、こうなっちゃうのはいったい誰のせいだと思っているんだよ。

 「城が色っぽいからだよ」

 「じゃあ少しだけ触ってもいい?」

 聞かれなくたって触ってるじゃないか。

 「あ……城……ね……頼みが……」

 「なぁに 志月の欲しいものならなんでも聞いてあげる」

 「上になって今夜は……」

 「いつも上じゃないか?」

 「今夜は身体も辛いし……その……城……が騎乗位で……」

 それはそんなに恐ろしい頼みだったのだろうか?俺のその一言を聞いた瞬間から城の顔は苦しそうに歪み、城の指が微かに震えて冷たくなっていく

 「わかった……頑張ってみるよ……」

 城…… 震えてる……小鳥のように……不安そうな目をして……顔色は蒼白になりどんどん血の気がなくなっていく。やっぱり俺にはできない……城の傷を抉る事なんか。

 「やっぱりいいよ。城……来て……僕の中に……」

 とたんに城の顔に色が戻りほんのりとピンク色に染まる。ちぇ、現金だな城!騙されたような気がするのは俺だけか?

 「いいの?本当に」

 よくねーよ。いいわけないだろ?あぁ惚れるって辛い……こんな事させるのは城だからんだ!それだけしっかり覚えておいてくれよ。

 とたんに部屋の明かりが消えて真っ暗になる。

 どうして明かりを消しちゃうんだ?

 戸惑う俺をシンセサイザーの音色と共に部屋の隅からレーザーの光が天井を捕えて何かを描き出す……あれは夜空?天の川だ……なんて綺麗なんだろう。

 二人だけで宇宙に浮かんでいるようだ。

 「あれがベガとアルタイル……恋人達の星だ……知ってた?今夜は七夕だよ」

 城って案外ロマンチストなんだ。

 その割にやってることは鬼畜だけど。

 城が俺の中にそっと入ってきて……俺の様子を見ながら俺の中を蹂躙していく。

 きつい……それなのにこの快感……天井の天の川はしだいに潤んで見えなくなった。

 

 

BACK OFF-SEASON special TOP NEXT