"Get memories out of mind"add' July 7th.

思い出を忘れたくて 

七夕番外(18禁しかも下ネタ注意)



 町中の喧噪の中に微かに子供達の歌声が混じる、「笹のはさらさら……」と。

 そうか今日は七夕か……俺……古城拓馬(こじょうたくま)は道端の笹飾りを微笑ましい気持ちでみつめていた。それはほんの今朝の事。

 「ほら、もう起きた方がいい」

 耳許で囁くのは沢田の声だ。

 「ん、んん……」

 俺が起きれないのはお前のせいだろう?深夜の2時頃、俺が熟睡してるのに 無理矢理起こしやがってあんなことや、こんなことをやったのはどこのどいつだ?

 草木も眠る丑三つ時……『寝てていいから』……深夜に自分の身体を弄る指。

 思わず身を捩って避けた。

 「よせ、もう夜中だよ」

 そういった俺に沢田の台詞が「寝てていいから」だった。

 こんなことされて寝ていられる奴が何処の世界にいるだろうか?

 「さわんな!嫌だ……昨日もやったろ?」

 必死に身を捩ると月明かりに沢田の顔が浮かぶ。にやりと笑ってる。

 「昨日は昨日、今日は今日だろ」

 なんと勝手な理屈だ!お前と言うやつは自分の都合しかないのか?

 だんだん、俺は腹が立ってきた。

 一言ガツンといってやらなきゃ気がすまないぞ。ガツンとな。

 「お前はその気になったらやってすっきりだろうけど、俺は次の日だるくて仕方ないんだよ」

 ……あぁ、俺のガツンってこの程度かよ……もうちっとなんかましな言い方はないのか?ちょっと落ち込む。

 「そうかそうか、悪かったな……じゃあ今夜は中に出さないでやるから」

 そういうと俺の返事も聞かずにあんなことやこんなことを好き放題やりやがったのだ。寝たのは明るくなりかけてからだった。

 それなのに簡単に起きれるかっての!

 「起きられないならこのままお姫さまだっこして一階に連れていって、そのまま学校に おんぶして連れていってやっても俺はいいんだぜ?」

 気色悪い事いってんじゃねーよ。まじにありえねーし。こんなばかちんとこれ以上話す気になんかなれなくて俺は重い身体を引きずって階下に降りる。

 「おかあさん、身体がだるくてさ……ね……休んでいい?」

 「熱はないみたいだけど」

 同情しかけた俺の母親に沢田のやつよけいなことをいいやがる。マジうぜぇ。

 「熱がないなら、休まない方がいいわ。学校まで送っていってあげるから行きなさい」

 でもよかった。取りあえず歩かなくていいらしい。だってまじに身体がだるいんだよ。それなのに沢田の奴「軟弱……」そう捨て台詞を落としていく。誰が原因でこうなったと思ってるんだよ。

 てめぇみたいにマッチョな男は多くはないの!

 それでも何気なく靴を揃えてくれたりドアを開けてくれたりして気を遣ってくれるのに、少しだけ感謝する。

 「今夜、英語やるからちゃんと予習しておけよ」

 その一言に俺は愕然とした。

 「昨日も英語やったじゃん」

 「身につくまでは、毎日やるものなんだよ」

 「そうよ、あんた赤点すれすれなんだからちゃんと沢田君に教えてもらいなさいよ」

 おいおい!黙っていてくれよ……お母さん……だってこれは俺達の暗語で英語はセックス、予習はその為の用意なんだってば。

 「古城……俺は今日は部活休むから!ちゃんと予習を済ませておくんだぞ。実は8日から遠征に行く事になってるんだ。だからここのところ毎晩でちょっときつかったかもしれない。ごめんな」

 俺はびっくりした、だって沢田が謝った事なんてあんまり記憶にないからだ。ちょっとだけ気分上昇。 しかも数日は休姦日ならぬ休珍日だ。

 「いつまで?」

 「日曜には終わるから遅くなるけど帰られると思う……明晩はからしばらくいないから今夜がたっぷりがんばろうぜ」

 なんだよ!結局沢田は口だけで謝っただけでなんの反省もしてないというのがこの一言でよーくわかった。

 もともとノンケだったこの俺を男しか欲情しない身体に作り替えやがったこの男、 もう知るもんか。

 完全にぶち切れた俺は学校ではとなりのクラスの沢田をなんとか避けまくり、放課後もクラブもサボって即行タクシーで家に帰った。

 沢田なんか大嫌いだ。

 結局あいつは自分のことしか考えてやがらない。

 「食欲がないならそうめんだけでも食べなさい」

 帰るなり自室に隠った俺にお母さんは階下からそう声をかけてくれたが「いらない、調子悪いから」といって鍵をかけてベッドに潜り込んだ。

 さすがの沢田だって鍵まで壊して部屋には入ってこないだろうと思ったからだ。

 何が英語の復習だ。

 ふざけんな!

 今夜は七夕だろ?織姫や牽牛は1年に1回しかエッチしないってことなんだ。

 俺達みたいに毎晩のように身体を重ねてるものはこの日くらいはエッチをお休みしたっていいはずだ。

 ベッドに入るととたんに睡魔が襲ってくる。

 ここ数日沢田がちゃんと寝かせてくれなかったからだ。

 眠くて眠くてそれこそ泥のように眠った。

 それなのに覚えのある鈍い感じの違和感で目が覚めた。沢田の器用な指が俺の身体をまさぐっている。

 「あ……さ、沢田!」

 「寝不足じゃないのか?寝てていいんだぞ」

 お前、昨夜も同じ事言って俺はちっとも寝られなかったんだ。第一お前が寝不足の元凶だし、鍵だってかけておいたいたはずだ。

 「鍵……どうした?」

 「俺達の愛の前に鍵なんか意味がないさ。牽牛と織姫の間の不粋な河みたいなもんだ。さっさと合鍵作っておいたから」

 とんでもない野郎だ!やっぱり俺は沢田の性欲をなめていたらしい。

 あぁ、そのうえもしかして指で身体を弄ってるだけじゃなくってあそこももう繋がってる?

 ちくしょ〜何時の間に……なんて素早い野郎だ。

 いくら昨夜もやって準備が出来ている身体だって俺もなんで寝てるかな。

 「古城の中もうぐちょぐちょだよ……」

 だから、そういうこと言うなって!信じられねーオヤジじゃあるまいし。

 「あ、あ、あ……動かすなって……や、やめ……あ、あ……」

 それなのに俺も何声を出してるかな。

 「古城……可愛いぜ。明日から俺がいないからって浮気するなよ……しやがったらぶち殺す」

 「こ……んなに……ぼ……ろぼろ……で……んな元気……なん……ね……よ」 息も絶え絶えの俺!それなのに脳天まで突き上げそうなこの快感は?

 だめ……だめだ……あ、あ、もう……

 「あ……あぁ……さわ……だ……」

 「古城……可愛いな……俺の名前を呼んでくれて……」

 そういうと沢田もくっと痙攣して俺の中に果てた。

 もう、指先を動かすのも面倒だ。そんな脱力している俺の背後でなにやら沢田が覗き込んでいる。

 「おい……みるなよ……」

 俺の話なんか聞いちゃいない沢田は俺の窄みに思いきり指を入れるとゆっくりと引き抜く。

 「いい眺めだな……拓馬……これが本当のミルキーウェイだ」

 一瞬の沈黙ののち……恋人達にとってこんなロマンチックな夜はないはずなのに。あまりのオヤジな沢田の駄洒落で俺は枕に撃沈してしまった。

 やっぱり沢田なんて大嫌いだ!

 

 【おしまい】

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