僕のそばにいて3

170000HITキリリク(Louisさまへ)



 早く大きくなりたい。大きくなってさっきみたいなあんな悔しい想いなんかもう二度としたくない。

 半分やけくそで僕は家に帰るなり冷蔵庫の前に陣取って牛乳を1P半飲んだ。 本当は2P飲みたかったんだけど、吐きそうになってやめた。 吐いたらせっかく頑張って飲んだのに元の木阿弥になっちゃうからな。

 ぼうっとしてると突然背後から兄貴がぱふぱふと僕の頭をたたく。

 「僕の頭はバスケットボールじゃないんだぞ!」 

 「あんまり無理して飲むなよ。いいんだよ、みつるはそのままで。山椒は小粒でぴりりと辛いっていうじゃないか」

 ちぇ、それってにやにやしながらいう台詞かよ。

 「僕は山椒じゃない……」

 「そうだな、みつるならアラザンだな」

 「なんだよ。そのアラザンってのは?」

 「ほら、ケーキにのってるじゃないか。銀色の甘いちっちゃいやつだよ」

 僕が怒って追い掛けるとちょうど帰ってきた、由貴ちゃんにぶつかった。

 「お〜みっちゃん、相変わらず元気だな!」

 とたんに僕の顔が火がついたみたいに真っ赤になる。

 昼間の事を思い出したのだ。あの舌を噛みそうな変な名前の野郎にキスされたことが ゆきちゃんの顔をみて鮮明に思い出されたのだ。

 由貴ちゃんは最初怪訝な顔をしていたが、何かに気が付いたように僕の腕をぐっと掴んだ。

 「何かあった?」

 「何かってなんだよ」

 「なんで人の顔みて赤くなるんだ?」

 「関係ない!」

 「なんだって?」

 「よしきさんには関係ないよ」

 僕は照れくさいのと、ゆきちゃんのいつもにない言葉の冷たさに少しだけ苛立っていた。 今までいつだってゆきちゃんは僕に優しかった。ちょっと意地悪な兄貴や無関心な父と違って いつもふわっと包むような優しさで僕に話し掛けてくれたのに、もうその相手はお見合いの お相手限定なのか?と思うとこのむしゃくしゃする気持ちをどうすることもできない。

 「ちょっとこっちにおいで」

 言葉そのものは優しかったが、声色はすごく冷たかった。

 何かがゆきちゃんの琴線に触れたらしいがそんなの構うもんか。

 僕は半分ふてくされながら付いてゆく。 ゆきちゃんの部屋に入ったとたん、僕は乱暴にゆきちゃんに押し倒された。

 「今日、何かあったんだな?」

 今までにない怖い声だった。

 「相手は誰だ、まさか『プリズム』で一緒だったあの男じゃないだろうな?」 低く通る声はいつものゆきちゃんじゃない。どうやら滅茶苦茶怒ってるらしい。

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