【今週のインプット7月23日号】



帰ってきた原稿


ある日ソノラマの担当さんが電話をかけてきた。「Belneさんに原稿が送られてきています」と言う。最近お休みしているマンガ教室の生徒さんからだろうかと思って訊いてみたらそうではないらしい。“長い間済みません原稿をお返しします”と言う手紙が付いているという。「???」原稿用紙の束が2つ入っているらしい。「転送しましょうか?」「いえ次の打ち合わせの時にでも」と言ってから「ご覧になっても良いですよ」といったら、ちょっとうれしそうに「いいんですか?」と宣う。そんなことでけちけちしてもしょうがないので、どうぞどうぞと言って電話を切った。「?????」私は割と気軽に頼まれた原稿を書いてあげたり未発表のものを貸したりしてしまう人だったので、いつ頃か知らないけれど私も忘れているほどの昔に原稿を人に預けて忘れてしまっていたらしい。で、約半月たって、打ち合わせの日、編集さんが持ってきた原稿を見て顔から火が出た。「見て良いなんて言わなきゃ良かった!」後悔先に立たず。古いんである。ものすご〜〜〜く古いんである。日付がないから解らないけどともかくも古いんである。多分70年代の半ば頃デビュー直前くらいの作品である。くらくらくら。スクリーントーンが一切使っていない。ペンタッチが凶暴で、話がちんぷんかんぷんでグラムで甘辛くて濃い。思いこみが逆巻いているすんばらしい16頁と24頁が2本。絵の巧拙はもう問題外、論評対象の外!!!でも今もこんな絵だよ私!いや、これがマンガ教室の原稿だったら「悪いことは言わないから、プロは諦めなさい。才能無いから君。」と言ってあげた方が絶対親切。って感じなんである。

編集さんも、なんとはなしに「見なかったことにしてあげるね。」もしくは「いや〜申し訳ない。見ちゃいましたぁ。」と言う風情が漂っている。とほほほほ。どうも我ながら、不愉快なのは、ここからそれほどには上達したと思えない現在の自分がかいま見えることだった。光陰矢のごとし、マンガ書き老いやすく上達なり難し。初心忘るべからず。精進肝要。

それにつけても4半世紀の時を越え、21世紀目前に帰ってきた、恐怖の初心みなぎる原稿を前にして、1970年万博の時に全国的に流行ったあのタイムカプセルの中って顔から火が出るものがいっぱい詰まってるんじゃなかろうか・・・。と思う今日この頃のbelneであった。

あ、あと、やっぱり原稿には日付入れとかないと後で不便だなと思った。2本とも日付が無くて正確な制作年が不明なのでどうもすっきりしないんである。