デジタル情報ネットワーク戦略と産業構造の変容
ー出版産業における再販売価格維持制度制をめぐる競争と協調
荒 木 國 臣【著】
東海デジタルアーカイブ研究センター
目 次
はじめに 問題の所在と分析視角・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
第1章 出版市場の制度分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
第1節 日本型出版流通システムの史的展開過程ー日本書籍販売株式会社(日販)を対象に・・・・・・・・・・・4
1)出版販売業の形成期ー本替制の成立(江戸期)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2)出版販売業の離陸期ー社会的分業形成と本替制から入銀制・委託販売制への転換期(明治期)・・・・6
3)割引販売制から定価販売制への移行期(明治末期から大正末期)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
4)戦時国家統制期ー一元的出版流通システムの構築(1937年〜1944年)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
5)出版流通市場の再形成期(戦後初期)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
6)再販売価格維持制度導入とマルチメデイア出版活動の萌芽・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
7)出版流通市場寡占確立期(1964年〜1973年)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
8)出版・流通マルチメデイア情報化の展開期(1974年〜1988年)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
9)第2次出版流通革命の本格的展開期(1989年〜)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
第2節 日本型出版流通システムにおける雑誌チャネルの優位と取次寡占・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
1)日本型出版流通システムの根拠と変容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
2)出版流通システムにおける情報化の誘発効果と限界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
第3節 日本型出版流通チャネルのパラダイム・チェインジ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
1)書店多様化戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
2)異業種参入戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
3)ブックサービス・書籍宅配サービス・テレマーケッテイング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
第4節 インターネット・デジタル出版の諸形態と将来予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
1)電子出版・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
2)電子書店(オンライン書店・インタネット書店・サイバー書店・電脳書店)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
3)オンデマンド出版・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
4)デジタル・アーカイブと電子出版産業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
第5節 新たな日本型出版流通チャネルとグローバルチャネルの形成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66
1)日本型出版流通情報ネットワークの形成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66
2)出版産業におけるEC(電子商取引)の展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
3)グローバル出版情報ネットワークの形成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
第2章 日本における古書籍市場の変容分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
第1節 日本型古書籍市場のゆらぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
1)日本における古書籍店の動態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
2)CVS型古書籍店戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
3)再販制再編下のバーゲン・非再販本戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
4)電子古書籍市場の成長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74
第2節 古書籍流通チャネルの変容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
1)伝統的古書籍流通チャネル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
2)新たな古書籍流通チャネル(T:電子ネットワーク型)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
3)新たな古書籍流通チャネル(U:マルチメデイア・ネットワーク型)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
第3節 古書籍市場変容の要因分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78
第3章 出版流通情報ネットワーク・システムの展開過程と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
第1節 出版流通情報ネットワークの・システムの展開過程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
第2節 EC革命における顧客管理システムの極大化分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87
1)POSシステムによる顧客管理の極大化分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87
2)マーケッテイング効果測定法の諸形態とその限界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
3)戦略的仮設設定と検定型インターネットマーケッテイングー「生活者意識」分析・・・・・・・・・・・・・・・・・93
第3節 出版流通情報ネットワーク・システムの課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
1)印刷媒体消滅問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
2)再販売価格維持制度のゆらぎ・廃止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
3)プラットフォーム標準化(データ互換性)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
4)CVS主導型出版文化の変容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
5)地域文化の変容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
第4章 出版流通情報ネットワーク・システムの論理構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98
第1節 流通システム最適化理論としての取引費用アプローチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98
第2節 出版流通チャネルの既成システム分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100
第3節 出版流通におけるネットワーク・エコノミックス分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
第4節 オンライン書店とアナログ書店をめぐるシステム間闘争・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103
第5章 出版再販売価格維持制度の論理分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
第1節 再販売価格維持制度における垂直的制限・準統合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
第2節 戦後日本における再販売価格維持制度の展開過程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112
第3節 再販売価格維持制度をめぐるシステム間闘争・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126
1)文化配慮説・文化維持・普及説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・127
2)経済システム維持・商慣行追認・弊害希薄説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129
3)展示効果説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129
第4節 再販制のシステム間闘争と選択モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
1)再販制システムの欧米モデル比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
2)再販制をめぐるシステム間闘争のネットワークエコノミックス分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
3)再販制廃止と取次・出版社・書店の市場行動予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131
4)再販制問題への基本的視角・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・132
結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・133
参照文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・134
はじめにー問題の所在と分析視角
書籍・出版業界における情報通信革命の進展によって、「グーテンベルグ革命」以来のコミュニケーション媒体の王座に君臨してきた活字・印刷・紙媒体の地位がゆらぎ、いまや「書籍の消滅」・「本を売らない書店」・「サイバー書店」などといわれる電子メデイアによる新たな知的インターフェイスのステージが開かれつつある。
このような情報化による出版業界の変容に抵抗する活字固執論や、逆のIT推進礼賛論・なし崩しの追随論などの多様な論点がみられなかで、情報化を自己目的化したり、また虚像として拒絶するのでなく、出版産業における新たな形態の創出として経済学的に考察することが求められている。しかし現状では、主として文化社会学的なアプローチが中心であり、生産・流通システム論、経営組織論、産業組織論などの経済・経営学的な考察は、緒についたばかりである*1。 この理由は第1に、出版産業が一般製造業と異なって、すぐれて知的・文化的な領域であり、歴史とともに古く言語と画像文化史の蓄積のうえに形成され、必ずしも市場原理が直截に作動しない制約条件*2にも規定されてきたからである。つまり出版財は、一方では「希少財」・「公共財」として非代替的な商品であるとともに、他方では強力な「消費財」として膨大な代替的商品として市場に提供されるという両面を持っている。また、日本の場合は、オーナシップによる株式非公開によって、経営データの入手が非常に困難であるという事情もある*3。 しかし、情報通信革命の進展によって誘発されている出版産業の変容は著しく、次のような解明すべき問題群が投げかけられている。第1に、情報通信技術によって誘発されている印字媒体から電子媒体への代替化が、将来どのように進展していくだろうか。また文化享受と創造のあり方にどのような変化をもたらすだろうか。第2に、情報通信技術は、出版における再販売価格維持制度という公的規制のシステムにどのような変容をもたらすだろうか。第3は、情報通信技術によって、英語文化圏のグローバルなデファクト・スタンダードに対して、ローカルな民族言語の存続と共存は可能であろうか?
本稿は、製造業一般の情報化とは区別される出版産業独自の特徴を解明し、主として再販売価格維持制度をめぐる出版産業の生産・流通システムにおける公的規制をめぐるシステム間闘争の態様と予測される方向について検討する。
第1章 出版市場の制度分析
第1節 日本型出版流通システムの史的展開過程ー「日本出版販売株式会社(日販)」を対象に
日本型出版流通システムの歴史的展開過程を、主として「日本出版販売株式会社(日販)」を対象に検討する。なぜなら日販こそ、江戸初期に自然発生的に形成され、その後権力の統制を受けて他律的に展開し、戦後期に市場における自律的な自己革新を遂げていった日本型出版流通機構の軌跡をマクロ的に象徴しているからである。「日本型」とは、ここでは欧米と対比した日本独自の固有の出版流通の特質を意味し、その内容は、強固な再販売価格維持制度による[出版ー取次ー書店]の三位一体構造である。主たる分析史料は、荘司徳太郎・清水文吉編著『戦中戦後出版業界史』(出版ニュース社 1980年)であるが、一般的な社史の特徴である体験中心の企業興亡史の背後にある経営史の論理をできるだけ腑分けする方法を採る。出版社史は、出版企業活動の印刷・製本・製紙等の出版技術史と、経営戦略・資本調達・労働力編成・経営組織・編集過程・販売過程等の出版経営史から成り立っているが、本稿は後者の経営戦略の展開過程に焦点を当てる。
最初に、箕輪成男氏の出版産業史の段階区分を参照して、その具体的な過程を考察する。
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区分内容 |
生産システム |
出版市場 |
第1期
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江戸期→出版離陸期
(1870-1890年) |
少品種少量生産
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限定された特権階層
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第2期
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出版離陸期→出版流通革命期
(1870-1890) (1927 年頃) |
多品種少量生産
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近代的市民層
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第3期
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出版流通革命期→現在
(1927年頃)
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多品種大量生産
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大衆的市民層
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(出所:箕輪成男『出版学序説』(日本エデイタースクール出版部 1995年を参照して筆者作成)
1)出版販売業の形成期ー本替制の成立(江戸期)
出版販売業は、室町期の唐本(中国よりの輸入書)を販売する京都の唐本屋及び書肆(寺院・個人の所有する書籍・筆写本類の古本販売)といわれる書籍商を始源とし、印刷技術によって刊行された書籍を市場に流通させる出版書籍商が職業的に形成されたのは、慶長期(1596〜1615年)であり、この時期に印刷文化が広く社会的に解放された*1。江戸初期に成立した出版業は、書肆・書林・書賈・本屋・書物問屋と呼称され、出版・取次・小売の分業システムは未だ形成されていなかった。初期は、京都資本が公家・知識人対象として営業を独占していたが、元禄期の幕藩体制確立に伴う米穀流通の中心である大坂(「天下の台所」)の出版資本によって京独占が打破され*2、寛文期(1661〜1673)以降に江戸在地資本が成長し、関西文化圏から独立した独自の「江戸地本」と呼ばれる草双紙が流通し、寛政期(1789〜1801)には出版中枢は江戸に移り、文化文政期(1804〜1830)に貸本屋が全盛期を迎え、都市部中間層以下の底辺庶民層を対象とする全国的な書籍流通市場が形成された*1。出版流通チャネルの大衆化戦略の中軸となったのは、貸本屋チャネル・寺子屋チャネルであり、また3都から地方販売チャネルが形成された(図1参照)。
【図1 江戸末期出版流通チャネル】
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物之本屋 |
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寺子屋
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書物屋 |
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書物問屋 |
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浄瑠璃本屋 |
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読 者
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唐本屋 |
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板木屋 |
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地本問屋 |
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古本屋 |
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絵草子屋 |
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絵草紙問屋 |
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世利子 |
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貸本屋 |
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行商本屋 |
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(仲間組織) (仲間組織) (仲間組織)
江戸期の出版流通チャネルは、本屋相互が手持ちの書籍を交換し、不足本を「足し本」として事後清算する「本替」制度であった。出版取次業の源流は、江戸期出版業者組合の「本屋仲間」・「地本問屋」にあり、前者は硬派本(仏書・史書・伝記・医書その後の書籍ルート)を、後者は大衆向け商品(小説本・絵本・錦絵その後の雑誌ルート)を扱う版元=取次=書店の兼営形態であり、この段階でも社会的分業システムは形成されていない。幕府は、業者の仲間組織に特権を付与して保護し、出版統制をおこなった。江戸期には爆発的な出版点数の上昇はなく、停滞的であり、出版産業として離陸していくのは、明治初発の近代化過程においてであった(図2・表1参照)。
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【図2 江戸期出版点数推移】(出所:箕輪成男「出版と開発」(『出版研究』9 1978)p32)
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【表1 江戸期出版書籍販売推移】(出所:図2史料参照して筆者作成)
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出版書籍販売業者 |
書籍種類・刊行数 |
そ の 他 |
慶長から寛永期
寛永期(1624〜43)
1666年(寛文6)
1670年(寛文10)
1673年(寛文13)
1679年(永宝7)
1685年(貞享2)
1692年(元禄5)
1715年(正徳5)
1716年(正徳6)
1721年(享保6)
1723年(享保8)
1730年(享保15)
1750年(寛延3)
文化期(1804〜17)
1821年(文政4)
1832年(天保3)
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民間活字印本刊行者62
(川瀬一馬)
出版業関係者101
(奥野彦六)
大坂の書物屋4・草紙屋9・板木屋13(『難波雀』)
大坂の歌書絵双紙2・書林と古本屋23・唐本屋1・浄瑠璃太夫本屋10・板木屋14(『万買物重宝記』)
京都200・大坂50本屋営業
江戸書物屋地元・京坂抗争
江戸書籍商36貸本屋656
(江戸寺子屋書道教師496・生徒数平均30〜40名/校)
江戸貸本屋800軒
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2,589種
3,866種
5,934種
7,181種
江戸出版点数459点
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活字板から整板移行により一部100部内外の大量印刷可能
貸本屋発生
書籍販売商の分化(仏書漢籍・俳諧仮名草子・浄瑠璃説教本)
京・大坂書籍商江戸進出
板木屋仲間の出版許可制
行商本屋発生(貸本中心)
幕府京都本屋仲間公認
幕府江戸本屋仲間公認
幕府大坂本屋仲間公認
書物問屋三組申合一定
大坂本屋仲間350名
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2)出版産業の離陸期ー社会的分業形成と本替制から入銀制・委託販売制への転換(明治期)
| 先進国における出版点数の時系列的な推移をみると(図3参照)、急増している1870年を「離陸期」とみなすことができる。日本で1870年に出版産業が離陸した理由は何であろうか? 英・米の場合は経済的離陸(経済の近代化)に続いて、出版の離陸が誘発されているが、独・日の場合は経済的離陸に先行して出版の離陸が起こっている。この離陸の差異にの背後には、いわゆる近代化の「二つの道」の問題が伏在する。 |
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【図3 先進諸国の出版点数推移】(出所:箕輪成男「出版と開発」(『出版研究』9
1978)
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明治初期の開発形成過程における出版産業の秩序の形成は、下表のように株仲間解散令による特権の崩壊と出版産業の自由化に始まる。但し、開発政策の重点分野である教科書の流通チャネルは統制下に置かれた。
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1868年(明治元)
1869年(明治2)
1872年(明治5)
1873年(明治6)
1874年(明治7)
1875年(明治8)
1879年(明治12)
1886年(明治19)
1903年(明治36)
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株仲間布達・仲間組織届出(書物問屋・地本問屋・板木屋問屋存続)
出版条例発布(開成・昌平校に出版取調所設置)→書物屋行事による出版免許・著作
権保護政策が開始されたが混乱つづく
京都第1書籍商社設立(社員163名)
東京書林組合設立(組合員149名)
学制発布による教科書チャネル形成始まる
株仲間解散(商業の自由宣言)
大阪書林組合設立(組合員136名)
新出版条例発布(年行司新刊交関制官許への移行による書物屋仲間の衰滅)
教育令交付による教科書書籍商形成
学校令による中学校教科書チャネル形成始まる
教科書国定制度実施に伴う国定教科書チャネル形成始まる
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明治初期段階では、江戸期以来の老舗出版書店(文淵堂朝倉屋・須原屋・嵩山房など10数軒)に対して、1869年(明治2年)頃に新興業者の参入が開始され、丸屋書店(丸善商社 現丸善)・有史閣(現有斐閣)・内田老鶴圃・三省堂・金原醫籍店(金原書店 現金原出版)・南江堂・富山房・成美堂河出書店(河出書房 現河出書房新社)・春陽堂)等が創業した。この段階でも、出版販売の分業システムは形成されず、江戸期の本替制が継続されたが、ロジステックスの発達によって、売切買切制(「入銀制」)による自社版卸や、他社版受注による仕入れと送品、有力書店による出版社からの仕入れ・2次卸という新たな経営形態が現れた。
取次の原初形態は、出版社の販売部門のアウトソーシングとしての「競取り屋(せどりや)」といわれる、小売からの注文取と出版社からの見込み仕入れを営む小規模な個人営業であったが、順次ネットワークを拡大する問屋的出版取次業に発展し、明治中期に出版業界に独自の地位を占めるようになった。このような初期取次業は、新聞販売業から書籍販売業へ参入した業者(良明堂(1878年明治11年創業)・東海堂など)を中心としたが、1887年(明治20年)以降の雑誌出版の隆盛のなかで「売捌所」と云われる本格的な雑誌取次業が形成された。出版部数の量的増大に対応する取次業の独自の位置が確立し、出版業者・小売業者の直接取引と並んで、取次業者を媒介とする取引が増大していった。取次業の経営戦略も、鉄道輸送・電信・郵便制度を広範に利用する「迅速な送品」体制の構築に向かい、明治末期には雑誌を中心とする委託販売制が形成された。このなかで、7社が雑誌出版社との垂直的提携による「雑誌元取次(一次取引)」となり、1910年(明治43年)には、相互に「雑誌乱売防止覚書」を交わして協調的寡占システムを構築していった。
【明治期取次業者形成史年表】(出所:筆者作成)
1878年(明治11)
1886年(明治19)
1887年(明治20)
1891年(明治24)
1895年(明治28)
1898年(明治31)
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良明堂創業
東海堂創業
上田書店創業
東京堂卸部開設
北国組出張所開設
至誠堂創業
文林堂創業
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新聞取次と薬品卸を主に雑誌・書籍を兼業
新聞・雑誌取次
当初は新聞・雑誌・書籍取次と小売兼業、その後新聞から撤退
明治期最王手出版社博文館の姉妹会社、卸業の全国展開により市場支配
北陸3県(福井・石川・富山)の新聞・雑誌・書籍取次業社14名の共同出資の東京出張所、1894年北隆館と改称
古本・貸本業、1899年に新本・雑誌取次と小売開始
大正中期以降整理、1928年浅見文林堂と改称し書籍取次業
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このなかで注目されるのは、全国最大企業となる博文館(出版社)と東京堂(書店)の垂直提携戦略であり、東京堂は姉妹会社である博文館から優先的に仕入れ、また他出版社からの仕入れを博文館の全国特約店ネットワーク網を駆使して、全国規模で取次業を展開するシステムを実現したことである(図4・5参照)。
【図4 博文館・東京堂垂直連携戦略概要図】(出所:筆者作成)
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博文館
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出版他社
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| (1887年明治20年大橋佐平創業) |
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(資本提携) |
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東京堂
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特約店制
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特別大販売所2 |
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盛文館(大阪)
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特別大売捌所65店 |
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東海堂・北隆館・谷島屋 |
1189店(1897年)
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川瀬書店・宇都宮書店 |
柳原書店・菊竹金文堂
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特約売捌所127店 |
| 売捌所995店 |
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【図5 明治末期出版流通チャネル】(出所:筆者作成)
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教科書
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学 校
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| (中学校) |
卸業者 |
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本屋 |
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| (小学校) |
共同販売所 |
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特約販売所 |
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取次販売所 |
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雑 誌
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(地方) |
読 者
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大取次
(大売捌所)
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中取次 |
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雑誌店 |
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雑誌店 |
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新聞店 |
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書 籍
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中取次 |
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書籍店 |
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せどり屋 |
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3)割引販売制から定価販売制への移行期(明治末期から大正末期)
明治末期から大正期にかけて、大手雑誌出版社(大日本實業學会・講談社・中央公論社・改造社・婦人画報社・主婦之友社・小學館)が形成され、大正末期には約300社に及ぶ取次企業が成立した。1875年(明治8年)の出版条例改正によって義務化されていた奥付定価表示は、出版部数増大に伴う競争激化のなかで買い切り制による値引き競争によって有名無実化したが、その後の大手取次業の協調戦略により、1914年(大正3年)に雑誌元取次7社と主要雑誌出版社によって結成された「東京雑誌組合(1924年日本雑誌協会に改称)設立規約」と「東京雑誌販売業組合設立規約」による定価販売励行と値引き許容率設定(初期10%、1918年0.5%)を経て、1919年(大正8年)に雑誌定価販売制を実現した。1919年(大正8年)に東京書籍商組合は、書籍定価販売を実施し、発行後1年間を経過した書籍の見切品販売を認め、現在のいわゆる時限再販制を導入した*1。 委託販売制は、1907年に大学館が雑誌「婦人世界」の販売に導入したのが最初であり*1、初期は雑誌のみであったが、1920年の全国書籍商組合連合会(50組合、5847名)の設立によって、書籍定価販売と返品制が全国的に浸透していった。初期の委託販売制は、厳密には「返品利き売切・買切制」ないし「返品条件付き買切制」という中小出版社中心の経営手法であったが、1909年(明治42年)の実業之日本社による大衆婦人雑誌「婦人世界」の全国的委託販売制(売れ残り品の自由返品制)実施が成功し、1914年(大正3年)の全雑誌返品自由宣言によって、実業之日本社は博文館を抜いて出版界最大手に成長した。こうして委託販売制は、出版産業における大量生産・大量販売システムという革命的な転換をもたらした(図6参照)。
【図6 大正末期の出版流通チャネル】(出所:筆者作成)
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教科書
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学 校
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卸業者 |
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書 店 |
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| (中学校) |
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共同販売所 |
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特約販売所 |
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取次販売所 |
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(小学校)
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雑 誌
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読 者
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元取次
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中取次 |
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雑誌店 |
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雑誌店 |
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新聞店 |
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書 籍
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専門取次
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書籍店 |
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せどり屋 |
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大手取次を中心とする協調戦略は、出版業・小売書店の同業組合結成による割引防止・定価販売励行・過当競争防止を推進し、4大取次(東京堂・東海堂・北隆館・大東館)*1による地域的分割が確立した。出版統制以前の戦前期の出版流通システムは以下のようになっていたが、未だ出版・取次・書店の職能別分業は不明確であり、部門別タテ割り・地域別総合組織・同業者組合・書籍雑誌関係協業組織など多様な形態の取次業者が300余店にのぼり、出版社が取次を兼業したり、地方小売はほとんど卸を兼営していた(図7・8参照)。
【図7 出版統制開始以前の出版流通業者団体機構】(出所:筆者作成)
| [出版社] |
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東京書籍協会 [取次] |
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元取次協会(四大取次) |
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大阪図書出版業組合
京都出版業組合
中等教科書協会 |
東京書籍卸業組合
東部書籍卸業組合
西部書籍卸業協会 |
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書籍
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その他 |
|
その他 |
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| [中取次] |
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| (せどり屋) |
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| [親書店] |
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全国書籍業連合会 |
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東京書籍商組合 |
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[読者] |
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各府県書籍雑誌種組合 |
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| [子書店] |
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| [出版社] |
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日本雑誌協会 [取次 |
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元取次協会 |
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雑誌
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(発行所・4大取次) (4大取次)
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| [中取次] |
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[親書店] |
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東京雑誌販売業組合 |
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[読者] |
| (大坂・京都・名古屋・その他) |
全国雑誌商組合(53) |
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| [子書店] |
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その他
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赤本系統特価本卸業者・官報取次販売業者・駅売店取次御者
全国医書組合・全国兵書組合・青年学校教科書協会・東京書籍商懇話会
東京古書籍商組合・ヤングブックメンズソサエテイ |
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【図8 昭和初期の出版流通チャネル】(出所:筆者作成)
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教科書
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学 校
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卸業者 |
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書 店 |
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特約販売所 |
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取次販売所 |
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| (小学校) |
雑 誌
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読 書
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元取次
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中取次 |
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雑誌店 |
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雑誌店 |
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ほか扱店 |
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鉄道弘済会 |
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駅売店 |
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書 籍
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専門取次 |
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小取次 |
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書籍店 |
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直 販
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職 域
家 庭 |
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支部 |
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外交員 |
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大正末期から昭和初期の雑誌黄金時代・円本ブーム・第1次文庫ブームは、出版産業の大量生産・大量販売システムに対応する取次の「如何に早く・安く・確実に送る」経営を要求した。こうして労働集約的工程である発送業務の大量の労働力雇用と営業所新増設によるスペース産業化が誘発され、作業番線の本格的な編成*1と、注文補充スリップ(売上げカード・坊主)の挿入による発注システム合理化が実現し、[出版社ー取次ー書店]という現代の日本型出版流通システムの原型が形成された(図9参照)。
【図9 昭和初期の取引関係】(出所:筆者作成)
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出 版 社
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[仕入正味]
雑誌:正味高累進法(7・2〜7・6掛)
書籍:平均7・5掛(赤本5掛) |
取 次
マージン3〜5%
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[卸正味](書店実績対応)*2
雑誌:5〜10段階
書籍:3〜6段階 |
書 店
マージン
新刊
18%
注文
13%
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| [入銀] 新刊書籍の卸正味を安くして買取らせる*3 |
[運賃・荷造費]定価の2.5%書店負担 |
[一手販売]
一手独占契約(特定の出版社の全出版物の独占販売契約*4)と一手専売契約(特定の書籍のみを対象とする) |
[支払い]買切制(当月20日締切り・翌月5日又は月末払い)・委託扱(5カ月後精算、実績で仕入額の50%を上限に内払いで委託期間は5ヵ月) |
[市会(競り市会)]通常正味より徐々に下げて買い取らせるオークション取次人先見性と判断力が要求されたが、委託販売制の普及とともに消滅した
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[入金]送品額の全額を当月20日締切り・同末日入金で委託期間は3
ヶ月、有力書店以外は1ヶ月分の送品額相当の前金預 |
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4)戦時国家統制期ー一元的出版流通システムの構築(1937年〜1944年)
1937年(昭和12年)の日中戦争以降の戦時体制に伴う文化統制*1と、1938年の国家総動員法の「総動員実務」によって勅令による出版物統制が決定され、いわゆる「出版新体制*2」システムが構築された。初期の出版新体制構想は、国家セクターによる検閲・思想統制と出版用資材統制という制度的統制から、民間セクターによる自主的な「下からの」統制運動へと展開していく。このような出版新体制の成熟は、公的セクターによる高度国防国家システム編成のための一元的出版統制システムの創出という外発的なインセンテイブと、出版市場の秩序を公的セクターの制度的な強制によって調整する内発的なインセンテイブの二面性を持っている。
1939年 8月
1940年 5月
7月
8月
11月
12月
1941年 6月
10月
1943年 4月
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雑誌用紙使用制限に関する商工省令(実績による5段階・最高25%制限規定)
内務省出版文化中央連盟(仮称)結成提案(一元的出版統制団体の創出)
内閣情報部新聞雑誌用紙統制委員会(商工省から離脱)発足
内務省図書課出版界改革試案提示(東京出版協会・日本雑誌協会の即時解散による出版文化協会への出版団体一元化)
商工省用紙配給機構整備要項決定(用紙統制の新体制構想)
用紙共販株式会社設立(用紙供給統制のための会社)
日本印刷工業組合連合会発足
満州書籍配給株式会社(満配)設立(出版配給国家統制の先駆的モデル)
日本出版文化協会創立
東京都書籍雑誌小売商業組合結成(その後全国都道府県単位で結成)
日本印刷文化協会創立
新聞記者登録制・企画編集者登録制実施
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(1)日配第1期(国策会社期 1941〜1944年)
国家統制は、用紙統制を梃子に開始され、1940年(昭和15年)に出版諸団体は解散して日本出版文化協会に一元化され、次いで1941年(昭和16年)に、書籍・雑誌取次諸団体(300余社)を一元化した日本出版配給株式会社(日配)が結成された(史料参照)。初期の課題は、定期配本台帳・正味・売切買切性・配給制など取次業務の統一であった。雑誌は売切買切制(暫定委託制併用)とし、新刊書籍は見本配給制を原則とし、雑誌正味は仕入は部数別段階正味制・販売は一律82掛、書籍正味は仕入・販売とも定価別段階正味制で、取次マージンは平均7分口銭とした。1941年(昭和16年)の「書籍買切制実施要項」により、見本配給制から画期的な受注買切制へ移行し、雑誌も1943年(昭和18年)に委託制を全面廃止した。
【日本出版配給株式会社創立趣意書】
1942年(昭和17年)には、出版統制の
重点を、知識教養層を対象とする書籍統制から大衆動員型雑誌統制へ転換させる国民精神総動員システム構築を実現するために、日本出版文化協会を日本出版会へ再編成し、政策遂行上の操作用紙配給システムによって戦時政策の生産・配給の計画化が強力に推進されたが、受注機能の破綻*1
と用紙の絶対的不足から挫折した。1943年(昭和18年)に、決戦非常措置が発動され、出版社は企業整理令により2743社が203社に、雑誌は2017誌が996誌に整理統合されるとともに、企画編集者登録制・指定図書制が推進され、日配は取引書店の30%の整理縮小を図った。 |
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(2)日配第2期(統制会社時代 1944〜1946年)
日販は、統制会社*2指定を受けて日本出版配給統制会社と改称され、決戦配本体制(1駅1口荷受・1配給地域1店の責任配給店制・休眠店制)をめざしたが、月書籍取扱数は30〜40点に激減し、出版産業は戦時空襲下において壊滅的な打撃を受けた(図10・11参照)。
【図10 出版物の発行・配給・販売・用紙割当機構】(出所:『書籍年鑑』昭和17年度版より筆者作成)
指導 監督 指導監督
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日本出版配給
株式会社本店 |
配給指導 |
日本出版文化協会 |
用紙割当通知 |
用紙共販 |
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出版指導 通達 |
| 企画届 |
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日配支店 |
統制 発行届 |
発行承認
用紙割当通知 |
用紙共販
商業組合 |
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| 特別割当申請 |
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日配営業所 |
発 |
通達 |
| 行 |
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地方庁 |
原則 搬入 通 |
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各元売
用紙店 |
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| 監督 指導 配給 知 |
文協会
員
出版業者 |
用紙購入 |
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各県書籍雑誌
小売商業組合
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通達 |
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小売書店 |
用紙購入 |
各用紙店 |
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| 統制 例外現品 |
印刷 |
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配給
戦時期の取引では、企業規模・実績と無関係に公正管理が実施され、「7分口銭」という現在(現、8分口銭)の基本が形成された。戦時期の日配は、「計画配給」・「適正配給」に向けた理論研究・実態調査・統計整備・公報活動・配給網整備などを実施し、取次の情報・物流機能の流通近代化を実現し、現代の出版流通システムの基礎を形成した。1848年(昭和23年)時点の日配配分基準率は、下表のように規定されていた。
【図11 戦時統制下の出版配給チャネル】(出所:筆者作成)
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| 教科書 |
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特約販売所 |
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取次販売所 |
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学 校 |
書 籍
雑 誌
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(小学校国定教科書)
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読 者
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教科書店 |
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| (中等教科書) |
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書籍店 |
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支店
営業所 |
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雑誌店 |
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日 配 |
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荷受所 |
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書・雑店 |
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新聞店 |
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その他 |
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5)出版流通市場の再形成期(戦後初期)
戦後日本の出版産業の段階区分について、幾つかの立論がみられるが、ここでは日本の戦後経済・技術の展開の上に出版産業の変容を3期に区分したものである。区分の基準は、デユーイの十進分類法に依る社会科学書・文学書の新刊点数・割合を時系列で表示し、その特質から離陸期・変容期・マルチメデイア期の3期に区分する。 第1期(1945〜65年)は、戦後出版の離陸期であり、文学書を基軸としながら社会科学書の隆盛と文学書の下降が顕著となる時期であり、経済再建と第2次産業へのシフトという経済構造の再編を反映していた。第2期(1965〜83年)は、百科事典を中心とする割符販売が下降し、CVSルートが急成長する時期で、進学率上昇を背景に社会的な闘争が激化し、産業構造が第2次産業から第3次産業へシフトする時期である。第3期(1983〜現在)は、経済社会のソフト化が始まり、メデイア・ミックスを中心とするマルチメデイア期が始まった時期である。活字以外の雑誌・コミック・電子出版・ビデオなど書籍以外の多様な形態が出現した。この第3期は、出版産業における「第2次産業革命」ともいえる変革が進展し、出版統計の現行基準では書籍の機能分類が不可能となった時期である。
【戦後日本の書籍出版の変容過程】(出所:中陣隆夫『出版研究』21 1990年をもとに筆者作成)
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第T期
戦後出版の離陸期 |
第U期
ライフスタイルの変容期 |
第V期
マルチメデイア期 |
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1945 50 55 60 65 70
75 80 83 85 90 95 2000
(3)日配第3期(商事会社時代 1946〜1949年)
1945年(昭和20年)以降の戦後民主化のなかで出版事業令・同施行規則が廃止され*1、GHQ指令の強制加入組織の禁止によって「日本出版会」が解散し、新たに「日本出版協会」に再編されたが、用紙割当権・用紙引取権・一元団体の3大機能は継承され、実質的に強制加入団体の性格は残った。小売関連団体は、出版物小売統制組合が解散し、「日本出版物小売協同組合連合会」(1945年)→「日本出版物小売業協同組合連合会」(1947年)→「日本出版物小売業組合全国連合会」へと改組・発展し、取次関係では「東京書籍雑誌卸業組合」が結成され、その他160社を越える取次会社が設立された。1947年(昭和22年)の独占禁止法によって業者間価格協定は違法とされたが、1919年以来の定価制はゆるがず乱売は阻止された。
日配は、1946年(昭和21年)に統制会社から商事会社へ移行し、従業員組合(約1600名)の経営参加を認めたが、敗戦直後も全国業務扱量の60%を占め、「出版・取次(日配中心)・小売(小売全連中心)3者間のいわゆる”正常ルート”と呼ばれる戦後販売組織基盤の確立に向かう」(『日配時代史』)ことになったが、新興出版社・中小取次の参入によって日配の独占は次第にゆらいだ。 戦後開業した取次業者は、復活創業型・独立創業型(旧取次出身)・関連業者創業型に類型化されるが(村上信明)、実態としては旧取次・出版関連業者の寡占状態であった*2。新日配は、1948年(昭和23年)に持株会社整理委員会によって過度経済力集中排除法の第2次指定を受け*3、これを契機に復活創業・新規参入した中小取次(263社)から日配解体運動が起こった。
(4)日配第4期(閉鎖機関時代 1949〜1960年)
1949年(昭和24年)にGHQ指令によって閉鎖機関指定を受けた日配は、閉鎖機関整理委員会による整理事務と並行して「全業務続行」という混乱した事態となった。日配対策として、出版販売機関対策連合委員会(日本出版協会・日本自由出版協会(後全国出版協会)・日本出版物小売業全国連合会3者による)が設立され、新配給機構の検討に入った。その後、出版販売機関対策連合会・出版懇談会・閉鎖機関日配による閉鎖機関日配対策連合協議会が結成され、新会社A(書籍・雑誌)、B(書籍・雑誌)、C(教科書)の3社分割案が提起されたが、GHQの出版流通の自由競争化政策*1によって日配対策連合協議会は組織的な意味を喪失した。閉鎖機関日配は、これに対抗して新会社「日本出版販売株式会社(日販)」*2を設立し、栗田書店・栗田雑誌販売(現栗田出版販売)・東京出版販売(現トーハン)・日本教科書販売(日教販)・中央社・大阪屋・中部出版販売・京都図書販売・北海道図書販売・九州出版販売など10社が取次業市場に参入したが、激化する市場競争のなかで京都図書販売・中部出版販売・九州出版販売・北海道図書販売は吸収・廃業し、東販・日販の寡占体制が形成される。
日販の経営戦略は、「出版・取次・小売3者一体化」(設立趣意書)路線であり、取引希望書店が急増したが*3、業界の一部に発生した雑誌独占販売(専売)体制のもとで日販の雑誌部門は主婦と生活社のみであった。その後、3大報償制(販売正味段階制・入金感謝報償制・売上強力報償制)による書店囲い込み政策と書籍市場のM・R手法の導入によって日販は急成長していった。さらに、戦後の鉄道輸送の未回復でおこなった自動車輸送と自家配達方式によって、逆に物流効率化とコスト削減を実現した。しかし、取次乱立による特定書店への重複的な出荷競争によって、返品量が増大し、経営は必ずしも好調ではなかった。ここで日販は、高単価で内容・部数ともに安定的に供給できる理工医学専門書の独占的提携を工学書協会加盟出版社と締結し、特約店制による専属的な流通契約を極秘裡に結んだ。
1950年代に入ると、日販は、図書館法公布(1950年4月)に対応した良書見本展示会開催・優良図書目録出版配布・有力書店の日販学校図書店指定などによる公共図書館への流通をめざし、さらに戦後農業近代化政策に対応した農学書協会との提携を実現し、協会指定農学書販売店設置による農山村地域への配本チャネルを確保し、市場ニーズに対応した販売機会創出戦略を推進していった。戦後出版不況のなかで販売チャネルの全国展開をめざし、不況下の需要創出戦略として、雑誌まつり協賛記念福引付店売大売出し・3色別注文書による格安通信市会・「日販通信」による書店情報提供などの企画によって取引書店との結合を推進した。社内業務の合理化として、能率増進対策委員会による能率的一貫作業システムなどの科学的経営管理手法が試行され、1950年7月に閉鎖機関日配は完全閉鎖され、取次各社による任意組合「出版取次懇和会」が結成され、戦前期以来の取次業界を支配した日配は制度的に終焉を迎えた。
1951年の朝鮮特需のなかで出版業界の景気回復は緩慢であり、用紙統制の全面解除と供給難による紙価上昇、過剰生産・返品率上昇によって出版経営はさらに悪化した。これに対応して、日販は第1次機構改革(1951年)を実施し、事務分析と能率改善研究を実施し、社内組織の編成替えによる雑誌仕入原票の3枚複写制・受入統制盤・雑誌発送手順表(一覧表方式)を導入し、「京都良書販売協議会」結成から始まる日販協力店の先駆的なマーケッテイングを推進し、書籍仕入販売適正化・売掛金回収効率化・予算統制をおこなった。
1952年に開始された出版業界正常化運動は、過剰生産→返品率上昇→資金難→投機的出版・無計画出版
という悪循環を克服するために、書店・取次間の取引正常化、選別仕入・選別販売の重点仕入を推進した。さらに出版史上初の取次による書店経営支援活動として、図書館用品特約店制度・書店見学会の実施や日本書店共済会による全国書店間相互保障救済制度がスタートした。
1953年には出版取次懇和会が社団法人に移行し、出版社に対する付録一括梱包の申し入れや運賃・荷造費の負担、都内定価と地方定価の二重定価制の廃止、地方定価をはずした正味引下げ等の検討に入った。出版団体も、木曜会(1952年)・日本出版団体連合会(1952年)・日本児童著書出版協会(1953年)・日本出版クラブ(1953年)・アジア文化出版交流会(1953年)等が結成された。1954年の日販新社屋によって、日販の出版物流は、運搬用リフト・コンベアシステムによる一貫流れ作業方式の導入など画期的な革新がおこなわれ、「種まき」・「よつん這い」といわれる労働集約的工程からの解放、作業の合理化・効率化が進展した。しかし、朝鮮戦争の休戦協定締結後の29年不況による出版社のデフレ型倒産が多発した。
6)再販売価格維持制度導入とマルチメデイア出版活動の萌芽
日販机上事務簡素化委員会による工程分析・作業分析は、伝票のカーボナイズ化(裏カーボン伝票の雑誌仕入原票・書籍仕入原票・書籍配分表・店売用現金伝票・仕切書への導入)・書籍仕入れ1品1葉システムによる原票制度が確立した。同時に、書籍書店別・部門別返品統計による適正配本の実施などデータ配本の先駆的形態が採用された。物流においては、書籍輸送のコンテナ化、梱包・結束の機械化(自動縄掛機ワイヤリングマシン)が導入され、書店経営支援動として大福帳から近代簿記制への移行と税務講習をが実施した。 出版業界では、日本雑誌協会(雑協)・日本出版取次懇和会の日本出版取次協会への移行のなかで、再販売価格維持契約が東京都・関東6県で締結され、日本書籍出版協会(書協)・日本出版物小売業組合全国連合会(全連)・日本出版取次協会(取協)の3団体制が成立した。日販第4次機構改革(1957年)は、調査・企画・宣伝の総合的な科学的経営管理による大量生産・大量消費戦略をめざした。書店簿記講習会は日本書店ゼミナールに発展し、各地に日販懇和会が組織され、次いで1958年にはZD・QC提案運動が開始され、雑協と書協による「出版倫理綱領」(1957年)による出版倫理化運動が推進された。
7)出版流通市場寡占確立期(1964年〜1973年)
(1)高度成長期における流通革新・マスセールスをめざす企業家精神
高度成長期における出版業の飛躍的発展は、上位企業への売上高集中・編集プロダクションによる下請系列化・広告情報誌の隆盛をもたらし、多品種少量・個別化・漸増販売戦略から、「規模の経済」をめざすフォーデイズム型大量化・効率化戦略に転換し、出版業の産業化がもたらされた。大量消費市場に対応する大量生産体制を実現する単能自動機械化・コンピュータ自動制御によるプロセス・イノベーション(電子製版・多色オフセット印刷・自動機械製本)が導入され、労働集約的家内工業からラインによる一貫生産システムへ移行していった。
1960年の日販のマーケッテイングは、取引書店での全国共通図書券「ギフトブック」制度の発足であったが、非日販取引書店の反発を招き、日販・全連・取協の協議のなかで日本図書普及株式会社が設立され、ギフトブック制が導入された。高度成長期における労働力確保をめざした正味引下げが実現し、機械導入合理化→事務合理化→経営戦略策定という流通戦略のもとに、出版業界への政府資金導入の受け皿として書店の自主運営による事業協同組合構想が提起され、全国日親書店協同組合連合会が結成された。このなかで出版業界の大量生産と低価大量販売戦略に対する反発として悪書追放運動が起こり、一部不良出版物の販売拒否をめぐる「出版の自由」をめぐる論争から、業界4団体による出版倫理協議会結成による自主的な規制が展開された。なお、日販は1964年の「国際書籍展示会」に初出品して、グローバルな販売活動の端緒を拓き、1965年に入ると、百科全書・全集ブームを受けて出版業界最初の信用保証付き集金代行業務による割賦販売システムを導入し、書店側も売掛金焦げつきを回避するシステムとして注目した。
(2)営業・物流のコンピュータ・システム化と出版多様化に対応する高付加価値生産性戦略の起動
1968年から「第2次事務機械化計画」による営業・物流業務の本格的なシステム化計画が始動し、IBM360−40の運用開始による送品伝票から託送書作成までの一貫システム化によって、割当配本などの営業事務と整品作業などの事務が初めて分離し、過去の送品・返送データによる雑誌の自動配本システムが稼働し、雑誌定期台帳の全面的廃止とコンピュータ配本が実現した。同時に書協・取協による「書籍コード化」の導入によって(1970年)、事務のスピード化・合理化がさらに推進され、1969年には日本を代表する出版物流センターである「王子流通センター*1」が立ち上がり、1970年には本格的な情報物流センターとして稼働を始めた。こうして、1969年から1970年の日販は、設備投資主導型物流合理化のシンボル的位置を占めるに到った。
他方、書店取扱商品の多様化(教育機器・テープ・教材・電卓等)に対応する高付加価値生産性戦略として、@新刊書籍のパターン配本の電算化、A書籍便別整品作業の電算化をめざした。前者は、新刊契約配本を前提とする自動配本システム*1、コンピュータと連動した帳票類の自動化であり、後者は1970年か開始された注文と委託の別発送、1971年から開始されたコンベアシステム*2による物流れ整品作業の革新であり、1972年から本社・大阪間のパレット輸送*3が開始された。出版業界では、1971年のドル・ショックによる深刻なスタグフレーションの出版不況のなかで、全連(全国8,000店加盟 1972年より日本書店組合連合会「日書連」と改称)の「最高正味7,5掛獲得運動」によって書店取り分2%アップの新正味制が実現し、また大型書店の主要都市における多店舗戦略が開始され、書店の労働力不足解消と夜間営業に向けた週刊誌自動販売機システムが導入された。
(3)取次業の高度情報化システム・国際化とオイルショック後の出版不況
1973年に、店売業務の電算化が進展し、手書き注文伝票のPOS(販売時点売上管理)システム化による伝票発行の効率化・売上状況の即時把握が可能となった。さらに1972年の日中国交回復を契機として、日販は広州交易会に参加し、1973年に「日中出版友好交流懇話会」が設立され、中国主要都市における日本書専門書店「日本図書服務センター」が開設された。
8)出版・流通マルチメデイア情報化の展開期(1974年〜1988年)
(1)総合物流センターの起動とオンラインシステムの開始
1973年の第4次中東戦争を契機とするオイルショックは、用紙不足による用紙価格の高騰や、間接費上昇*4による定価引き上げをもたらしたが、総実売金額は8,651億円で前年比26,6%上昇している。日販における労務管理は、小集団活動による提案活動が中心となった。「王子流通センター」は、業界最大・最新鋭の総合物流センターとして、雑誌・書籍物流の拠点集中が完了した*5。大型電算機(IBMーS370ー145、370ー135)による商流・物流一体化は、雑誌注文起票・仕入納品書のオンライン処理・書籍パターン配本のオンライン化・超高速漢字処理システムによる宛名書き電算化による送品伝票の漢字表示化を実現した。業務管理の電算化は、コンピュータの取引月報の作成による書店単位の利益管理と、全社の部門別業績管理をめざす業績報告書という目標管理システム化の条件を成熟させ、作業標準時間の設定による労働生産性の向上度測定を可能とした。
1975年には、出版市場は1兆円産業へ急成長したが、逆に返品率は40%台へ急上昇した。1977年には、取扱い単価の伸び悩み・送品個数の増大に対する扱い効率の低下のなかで、事務・物流合理化を加速した早期供給システム強化と高額本セット外販体制をめざして、1976年にシャープHAYAC5000トータルシステムによる書籍注文伝票を導入し、IBM3790(その後IBMーS370ーM148)システムによって、従来のパンチカードシステムで処理されていた雑誌配本の部数処理をオンライン化した。小売店業界では、大手書店の多店舗展開や異業種(電鉄・不動産・スーパーなど)の参入が急展開した。1978年に、「日販出版情報検索システム(NIPS)」による日販ー書店のオンライン化が実現し、1984年のNOCS(日販オンライン・コミュニケーション・システム)、1990年代の簡易端末「ハンデイーターミナル」・「書店トータルシステム」・「新POSシステム」などの書店支援システムに発展した。 出版流通の本格的な国際化として、1979年の日販ドイツ有限会社設立(デユッセルドルフ)によって欧州出版市場への参入を開始し、1981年には英国日販株式会社が設立された。1983年には、中国北京市中国国家図書館に開設された「日本出版物文庫閲覧室」への書籍寄贈を開始し、第35回フランクフルト・ブックフェアーに再出展した。一方国内では、公正取引委員会が書籍・レコード再販廃止提言をおこない(1978年)、その根拠として日販・東販による取次寡占体制を指摘したが、出版物公正取引協議会は直ちに反対表明をおこない、次いで1979年には日本書店組合連合会による反対表明がなされ、1980年の新再販制度*1への再編となった。1982年には、ISBN(日本図書コード 国際標準図書番号)が完全実施され、王子流通センターのスピーカーソーター(高速自動仕分装置)に音声入力装置が導入され、CIの導入など、多様化する読者ニーズに対応する多品種少量・短サイクル・低価格市場に対応する全社OA化が推進されていった。
(2)出版取次のサービス化・ソフト化・多様化に対応する高度出版流通情報ネットワーク・システムの導入
1984年には、業界初のVAN(付加価値通信網)として開発されたNOCS(日販オンライン・コミュニケーション・システム)による市場即応型の流通革新が始まり、NIPS・注文業務・情報提供・販売管理・書店外商・出版システムの6サブシステムが、日販ー書店ー出版社を結ぶオンラインシステムとして構築された。1984年に稼働を始めた「西日本流通センター」は、NOPS(日販オーダーエントリー・ピッキング・システム)*2によって即時の配本システムが完成し、本格的な書店SA化(ストアー・オートメーションシステム)に向けて、書店専用POSシステムによる売れ筋即時把握・商品陳列見直しなどの書店情報の即応システム*3が整備された。
出版業界は、電子出版を中心としたマルチオメデイア時代に突入し、日販・東販・紀伊国屋・日外アソシエーツの共同による内容紹介付書誌データベースの構築や、郊外型書店によるビデオ・CD販売に対応する第3商品群の開発に入った。同時に、出版流通チャネルにおける書籍宅配便システム(ブックサービス)・テレマーケッテイング・ファックス流通などの流通多様化も開始された。
(3)出版流通における情報オンライン・システムの展開
情報化が企業内OA化から社会全体へ展開していくなかで、単品管理による市場即応型販売管理戦略が立ち上がり、日販は1987年に「CDーNOCS」(CD−ROMを活用した出版情報検索発注システム)・「POSシステム」・「ハンデイーターミナル」(NOCS周辺業務の効率化)を統合した「書店総合SA」による書店経営現代化が推進され、日販は1987年を流通革新元年とした。
ロジステックスでは、王子流通センター内に「日販オーダーネットワークシステム(NSー1)」が始動し、常備短冊の電算化・オーダーエントリー・在庫管理などの統合型注文処理システムが導入された。
書店業界では、自動車交通の普遍化を背景とする新業態であるロードサイド複合型書店が急増し(1978年30店舗→1987年1,800店舗)、ビデオ・CDレンタル複合書店が急展開し、日販は宅配サービスやCVSへの新刊文庫本配本を開始した。
9)第2次出版流通革命の本格的展開期(1989年〜)
(1)流通革新の拠点整備
流通革新の新たな拠点として立ち上がった王子ハイテクセンターは、出版社ー日販ー書店のオンラインシステムとグローバルなソーテイングシステムの統合であり、高速OCRによる受注情報入力システム・書店別自動仕分起票システム・受注から出荷までの統合処理システムCIM(ComputerInregrated
Manufacturing)のサブシステムから構成されている。このハイテクセンターと連動する新静岡支店は、在庫を持たない支店であり、物流=王子、営業=支店という分業システムを指向した。
オンラインネットワークは、FAXネットワークシステム(NSー1FAX)と採用品システム*4によって、オンラインの注文と通常の注文を同時に出版社へ自動的に発注し、POSシステムによって売上データが自動配本・自動注文化されてデータ収集・管理の店頭事務が自動化し、単品情報と他店情報を有効に活用する書店経営の情報ネットワークが推進された。1990年に、王子流通センターの「雑誌自動製品ラインシステムMALS(Magazine
Automation Line System)」が本格的に稼働を始め、雑誌の仕分けから梱包作業工程の自動化によって、雑誌送品システム全体のFA化が実現した。同時に、注文品の「現品起票システムGENKI君」が稼働し、従来の書店別注文品仕分け後別室で商品短冊をみてから起票していたのを、その場で現品のISBNコードをタッチスキャナーで読みとり、即時に起票・出荷するシステムで、スピード出荷・ノーミス起票・書店別銘柄別の単品データの把握が可能となった。 練馬流通センターでは、雑誌一括版元返品システムMARTS(Magagine
Auto Reader Total System)が起動し、従来は返品雑誌を版型・出版社別・誌名・号数別に仕分けして結束し、返品伝票を起こしたが、バーコード自動仕分機のコンベア上に雑誌を1冊ずつ置いて出版社別に仕分け、1時間に3,600冊のスピードでバーコードを読みとり、仕分けから返品伝票の発行の自動作成がなされ、従来の労働集約的作業工程は姿を消した。1991年には、雑誌一括版元返品システムMARTS(Magazine
Auto Reader Total System)が稼働し、従来の検品・誌名号数別仕分け・起票までの作業を迅速に処理し、10万冊/日返品処理体制が確立した。
書店SA化は、N・E・O・FILE(Nippan
Erectronic Order File)と返品処理システム「NOCSーNOTE」が開発され、返品する書籍・雑誌の商品コードをスキャナー入力のみで処理し、入力終了後NOCSーNOTEに吸い上げれば自動的に返品伝票を作成し、従来の作業時間が30〜50%短縮された。NOCS(日販オンライン・コミュニケーションシステム)は、4システムからなる統合システムであり、1991年段階で全国3000店が導入し、大学生協が
【1991年時点でのシステム導入店】 が取引を日販に集中化することとなった。
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NOCS
CD-NOCS
POSレジシステム
ハンデイーターミナル
NOCS-NOTE |
400店
400店
750店
1,500店
200店 |
合 計
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3,250店
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日販は、資格等級制度(目標管理・能力開発・人事考課と連動した1級から9級までの資格等級割り振り)と、新賃金制度(従来の「本給+生計手当」を「年齢給+職能給」へ)に再編成し、さらに1993年には、従来の役職別・入社年次別に代えて、職能給の基礎となる資格等級別研修制度を導入した。
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1992年には超音波センサーによる在庫管理システム「SENRI眼(Sensor
Real-time Inventory control )」が稼働し、次いで電子図書館総合情報管理システムELISE(Electronic
Library Information System)を発売し、図書館業務の貸出・返却・情報検索・蔵書管理の情報化を推進した。
(2)21世紀戦略としての「総合文化商社」化の起動
1990年に、世界初のAV総合流通センターである「日販メデイア・センター」が、活字から映像・音響をマルチに供給する総合文化商社戦略の中核拠点として立ち上がり、1990年には、第1回東京国際ブックフェアー(晴海)・第42回フランクフルトブックフェアーが開催された*1。1991年には、直営アートショップ「ヴィルダール」によってアート系商品販売のノウハウの蓄積を始め、書店複合化支援を目的に映像ソフト版権ビジネス市場に参入し、1992年には音楽ソフトビジネス市場でNIPPANレーベル作品(CD)を発売した。
出版業界では、低価格商品の急増という事態に対応して、日書連が文庫出版社に対し正味引下げ要請をおこない、史上初の非再販本フェアーが行われた。1993年には、日書連経営健全化運動によって講談社等の大手出版社が書籍正味改訂(引き下げ)に応じ、次いで岩波書店等の30余社が応じて中小出版社へと拡大していった。 国際的には、中国との国際交流が新たな段階に入り、「北京国際図書展示会」に日本側出版社50社から300点余の書籍が出展され、台湾英文雑誌社との合弁である台湾日販股?有限公司(台湾日販)の設立・中国図書進出口総公司との業務基本契約(「日本図書服務センター」)が締結され、ボローニャ国際児童図書展を契機とする仏・西班牙との共同出版契約が成立した。1995年には、日文図書服務センター(上海市)が日本書籍の本格的書店2号として開設され、1996年に大連市外文書店との合作による「大連日本服務中心」が開設された。
出版業界における新たな展開として、日書連による共同事業「出版文化産業振興財団JPIC」が本格的な活動を始め、全国初の町営書店である「わかば書店」(大分県耶馬渓町の町財政による運営)と「ブックワールド椿」(岩手県三陸町 日本自転車振興事業補助金による運営)への仕入れ・在庫管理支援による地域読書推進事業を開始した。
(3)先進テクノロジーによる物流再配置計画と再販制問題の本格化
日販のロジステックス戦略である「首都圏物流再配置計画」(下記参照)が1993年に起動し、日販出版流通革命元年と位置づけられた。
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【日販首都圏物流再配置計画概要】 |
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[第1段階]:所沢流通センター新設→雑誌返品業務集中管理・MARTS(Magazine
Auto Reader Total System)プレスシステム
○雑誌バーコード自動読みとり・版元返品伝票自動作成
○品紙質別自動仕分け・プレス加工による故紙業者渡し
[第2段階]:練馬流通センター再開発・新座流通センターによる雑誌送品業務集中管理
[第3段階]:王子流通センターへの第2ハイテクセンター設置による一般書籍送品集中管理
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1993年に発表された「POS雑誌配本管理システム」は、「コミック新刊自動配本システム」*1と「自動発注定番管理システム」*2が追加され、日販POSシステムにおける、売り上げレポート・実績統計と配本システムを連動した物流と情報の結合というインセンテイブが追求されている。
1994年に物流拠点再配置計画の第1段階である日販所沢流通センターが本稼働に入り、雑誌返品業務の集中管理システムによって、雑誌の故紙化返品構想が現実化した。さらに、日販と講談社間における受発注業務のオンラインかをめざすNOCSシステムが初めて起動した。1995年には、第2段階として新座流通センターが本稼働に入り、書籍返品業務の集中管理システムである「PBーJr」という文庫返品自動仕分処理システム*3が立ち上がり、これによって雑誌・書籍・文庫をカバーする返品業務システムが自動化した。1996年には、練馬流通センターが雑誌送品拠点として完成し、SUPERーMALS(雑誌自動送品ラインシステム)による送品無事故・搬送業務無人化・計画搬入が実現した。1998年には、王子流通センターが第1次稼働を開始し、”モノと情報のクイックレスポンス”をコンセプトとするマルチネットワーク型書籍注文システム*4が誕生した。このシステムで注目されるのは、店頭のパソコン画像を通じ、出版社在庫情報と日販の受注・出荷作業の進捗状況がリアルタイムで把握できる「注文追跡システム」である。1995年に日販の書店支援活動システムである「日販ていばん」システム*5とRー計画による客層分析・消費者動向調査・地域特性を活かしたリニューアルプランが導入され、1997年には日販文具システム・雑誌陳列ローテーション・システム*6の書店への導入が始まり、提案型書店支援活動が本格的に立ち上がった。
日販の多角化戦略は、版権ビジネスの推進とセルCDの事業化を背景に、ザイバー店舗(「生活娯楽館」)の開設と宅急便による通販事業への参入や、PCSの書店販売・CD−ROM常設コーナー・DVDの販売が推進され、1998年には100円ショップの立ち上げなど隙間産業にも参入していく。こうした日販の経営戦略は、1997年にトーハンを抜いて取次業界年間売上高第1位に躍り出る成長をもたらした。1994年には、リブロ・ブックセンター(東京・池袋)が、史上最初の非再販本(B本)と汚損本のバーゲンブックフェアーを開催し、1995年に日販は文芸書・児童書・辞書等の非再販本を展示即売し、次いで32書店によるバーゲンブックフェアーを企画して非再販本取次の途を拓いた。1996年は、行政改革特別委員会規制緩和小委員会の「規制緩和に関する論点公開」の公表によって、書籍再販制をめぐる論争が激化し、1998年の公取委最終結論公表を控えた1997年に、書協・雑協・取協・日書連の「出版物の再販制度維持に関する最終要望書」が提出され、日書連の存続署名数も100万筆を越えたが、業界内では雑誌時限再販の方向も同時に提起された。
(4)「第3の創業」:市場即応型流通革新から、市場創造型流通革新へ(1998年〜)
1998年に全社的経営戦略を推進する中枢組織として経営戦略本部が設置され、流通革新の再編成を指向するダイナミックな企業体質への試行が開始された。1999年には、書誌情報の読者公開によるインターネット通販サイトの開設(「本やタウン」)と、出版社29社との共同出資による「(株)ブッキング」の設立によるオンデマンド出版事業*1を立ち上げた。デジタル技術を駆使した無在庫書籍の迅速な配本と、過剰在庫リスクの回避・資源の有効利用などを指向した。
| 【ブッキング概念図】 |
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出版社
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物流←オンデマンド印刷 |
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決済→ |
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書店
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簡易製本 |
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↑ |
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保有する
コンテンツ
の委託
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注文
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電子在庫の管理・運営 |
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・書誌データベース
・目録 ・テキスト
・イメージ |
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ブッキング |
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第2節 日本型出版流通システムにおける雑誌チャネルの優位と取次寡占
1)日本型出版流通システムの根拠と変容
日本型出版流通システムの第1の特質は、書籍と雑誌が同一チャネルで市場に提供されているところにある。歴史的には雑誌流通チャネルが先行し、そこに書籍が算入してきたことによって、雑誌マージン率が書籍マージン率に較べて高く設定され、従って出版流通は雑誌流通チャネルを中心に回転している。ここから書籍流通の問題状況が誘発されている*2。従って、欧米型の雑誌と書籍の分離した流通チャネルの構築が基本的な課題となっている。第2の特質は、大手取次2社(トーハン・日本出版販売)の複占システムが形成され、出版流通市場の寡占体制が確立していることである。寡占を基盤とする企業行動の特徴を析出する視角として、第1に、2大取次による書店ルート・書籍と雑誌の各占拠率、第2に、取次寡占による商流・物流・金融管理の解明、第3に、2大取次による優越的地位の乱用の有無と流通系列化の実態を、出版社の自由意思の実現度・再販契約の参入条件化の有無・義務再販・共同再販などから明らかにする。
公正取引委員会の「集中度調査」では、書籍・雑誌の集中度は取次上位3社で73,7%、5社で80,4%、10社で89,8%となっている(1994年度 表2参照)。従って、この出版業界における市場占拠率は、明らかに高度寡占状況であり、独占禁止法第2条第7項第1号違反(50%ガリバー型寡占ないし75%複占状態)の水準にある。こうして、殆ど出版社は、2大取次に全面的に依存する結果となり、2大取次との契約関係は、1万店の書店・1万5千店のコンビニとの取引を成立させ、出版社と書店は、2大取次との契約関係によってサンク・コストの負担なく、市場に参入できるフリーライダー(ただ乗り)的な行動を採ることができる。ここから2大取次の優越的地位の濫用による新規参入企業に対する取引拒絶・参入阻止・参入阻害的行為(低正味・歩戻し・注文品支払留保・集荷不扱・常備寄託・長期委託)に近い取引条件が提示され、2大取次の出版市場におけるゲームの主導的地位が確立した。
【表2 取次売上高(1996年度)】(出所:商業統計表より筆者作成)
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7,972(資本金45,従業員3,200) |
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8,133(資本金30,従業員2, |
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1,000 850) |
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(単位億円) |
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日本の出版流通チャネルにおける取次チャネルの市場占拠率は、約70%であり、出版社・書店の取次依存度は圧倒的に高く*1、また書籍・雑誌からニューメデイアに至る総合商品を扱い、専門取次の特化を困難とし、代金回収機能とともに委託品の条件払い(仮払い)によって金融機能を支配している。1970年頃より、2大取次の新規参入出版社に対する排除的・選択的基準(資本金・財務力・出版企画・社員数・出版計画・宣伝力)と厳格な取引条件によって、口座貸し出版社・地方小出版流通センターの紹介によって、直接取引の回避傾向を強めた。こうして出版市場においては先発出版社の既得権益が優先され、初期条件の不公正が、出版市場における公正的競争を阻害している。取次寡占の具体的な問題点は次のように整理される。
@新規参入者に対する「共同の取引拒絶」・「差別的取り扱い」・「優越的地位の濫用」、再販契約の参入条件化
A新刊配本の調整・配本中止・配本済みの回収等への示唆、見計らい配本・データ配本・
B取次事業者団体(取協)・出版文化産業振興財団(LPIC)による取引条件の変更・協賛金拠出
C帳合変更競争の組織化・1点帳合制による流通系列化、中小専門取次の取引先書店への帳合変更
次に中小零細出版社の取次との一般的な決済条件は、普通注文の場合は1ヶ月後精算(新刊委託は6ヶ月後精算)であるが、委託条件払いは出版社によって0〜100%まで多様である。ところが、1970年代以降の新規参入出版社は、正味(取次に出す掛率)において、既存出版社は70%前後が多いが、新規取引の場合は65%と不利になる傾向がある。歩戻し(取次に対するバックマージン・倒産時の保証料)において、新規参入企業は5%。条件払い(委託書籍の一定割合に対して取次が出版社に先払いする制度)と委託手数料においても、既存の出版社には翌月支払われている注文品代金の30%を6ヶ月間支払いを保留するなどの流通寡占の優越的な地位の濫用がある。その後の実績によって、歩払いと支払保留の条件が緩和される場合もあるが、正味だけは原則として変更されない。書店からみると、出版社からの出し正味に取次マージン(定価の8%前後)を加えて、卸正味77%前後で書店に入り、書店マージンは23%前後となり、コミックでは卸正味75,8%、2万円以上の書籍は卸正味83%となっているが、有力書店とチェーン店では一本正味が多い。欧米の書店マージンは25〜30%であり、他産業の比較しても日本の書店マージン率は極度に低い。従って出版社と書店経営からみて、取引条件の基準の公開と透明化は初源的な改善条件である。また、市民出版といわれる書籍販売は、委託配本制による専門取次業との取引口座を設けれないから書店での店頭販売は一般的には不可能である。口座設定も定価の30%のマージンや歩戻しを入れて実質50%となる。従って、地元書店の「郷土史コーナー」とか「自費出版コーナー」を利用することになる。
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社 |
正味 |
歩戻し |
委託払い |
支払保留 |
A社
B社
C社
D社
E社
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70%
73%
70%
65%
69%
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なし
なし
なし
5%
3%
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なし
30%
60%
なし
なし
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なし
なし
なし
30%
20%
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取次寡占に対する中小零細出版関連業者の具体的な対応事例をみると、書籍注文品の流通改善をめざし、「須坂共同倉庫構想」(長野県須坂市、書協中心に地元企業・取次・出版社23社参加 資本金1億5千万円)が推進されているが、資金コストで小規模出版社が参加せず、倉庫業・取次業の領域の調整が未解決で、大手版元が出資していないという問題点もある。「神田村取次」(神田町一丁目に集積する中小取引群と鈴木書店・八木書店30数社を指す)は年商はトーハン・日販に次ぐ第3位の年商を占めている。神田村取次の問題点は第1に三省堂本店の帳合変更問題であり、第2は神田村再開発(南神保町1丁目再開発計画)である*2。三省堂はシステム合理化を理由に神田村取次4社との取引を停止し、日販に移行した。取次は先記したように、大手書店に対し、出版社・定価を超えた一律正味体系(一本正味)を適用している。大手取次は専門書比率よりも雑誌比率が高く、流通マージンの高い雑誌によって、書籍中心の神田村取次よりも一本正味が低くなる。この点が神田村取次の基本的な弱点であり、大手取次が進める情報ネットワークシステムを導入する資金力もない。神田村取次の経営戦略は、個別企業の経営努力とともに、書籍正味への出版社支援や千代田区中小企業支援政策と、神田村取次の協同化・協業化戦略が求められる。このような中小零細取次をめぐる出版流通産業政策として、第1に専門書出版を中心とする新たな流通チャネルの構築、第2に取次の取引条件の透明化と正味・支払い保留の改善、第3に書籍定価の適正な引き上げと書店マージン率の引き上げ、第4に書協データベースの構築など出版情報を伝える店頭活用、図書館公共施設の充実第5に図書館資料費の増額・図書館建設費補助金の制度化が不可欠である。
出版取次業の機能をめぐる1970年代後半の論争は以下のように整理される。
論 者(書名) |
取次の基本的機能規定 |
副次的機能・その他 |
(1)小林一博説 (『出版業』教育社)
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●物流機能(受品・配分・荷造り梱包・配送・返品処理)
○金融機能(品代金回収・支払い)
◎仕入機能
◇販売機能
▽情報機能(書店への情報誌配布)
■デイレクター機能
■コンサルタント機能(書店経営相談・出版社新製品開発) |
◎仕入機能の量的拡販と効率化、多品種少量生産の困難化、◇〜■機能の希薄化が進展している
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(2)西谷熊雄説
(『出版流通機構試論』 未来社) |
◎仕入機能
◇販売機能
○金融機能(中心機能) |
調整・開発・調査・倉庫機能は◇販売機能の付帯機能 |
(3)青木春雄説
(『現代の出版業』日本エ デイタースクール出版部) |
▽情報機能
■商品開発機能
●物流機能 |
3大機能の強化・充実、経営合理化が必要 |
(4)東販
(『出版販売の現況』)
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◎商的流通機能(仕入・販売・配分・調整・代品回収支払)
●物的流通機能(分類・整理・仕分け・梱包・出荷・配送・倉庫・注文調達・集荷)
▽情報収集提供(データ調査・集計・分析・宣伝広告)
■書店援助施策(書店向広報・経営相談・研修・共助会) |
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(5)寺林 修説
(「本音でつづった取次論」(『新文化』1978年2月号)) |
●配送機能(2冊以上の同一商品を送る作業)
●補給機能(注文処理)
○金融機能 |
情報・調査機能を付帯機能とする
●のコストが問題 |
(6)下條泰生説
(「もう一つの取次論」((『新文化』1978年3月号))
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[単純概念]
●商的流通機能(仕入れ・販売・支払い・回収)
●物的流通機能(整品・在庫・運送・返品)
▽情報機能
[複合概念]
●配本・配送機能
●注文補給機能
○金融機能 |
[単純概念]金融・危険負担機能を付帯機能とする[複合概念]調査・開発機能を付帯機能とする。
取次経営の中心は、マーケッテイングの情報機能 |
(7)佐藤知範説
(「私の取次機能論」((『新文化』1978年3月号))
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●商的流通機能
■出版情報提供機能
◇販促機能
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配送・補給・金融機能は●商的流通機能の付帯機能
■・◇が取次経営 |
(8)村上信明説
(『出版流通とシステム』新文化通信社 1984年)
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[商取引流通機能] ●仕入機能(情報・配本・調整)
■販売機能(情報・配本・書店コンサルタント・調査・開発)
○金融機能(情報・調査・危険負担・財務管理)
[物的流通機能] ●商品管理機能(集荷・補給・保管)
●配送機能(出荷業務・保管・輸送)
●返品処理機能(保管・配送・危険負担)
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記号が基本機能であり、( )内は付帯機能を指す
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この論争の特徴は、第1に、論争参加者が出版企業・書店経営者・出版評論家など出版事業関係者であり、経済・経営学関係者の参加がなかったことにあり、未だ出版産業が経済学的分析の対象となっていなかったことを示している。第2は、出版の取次機能と一般的な卸業機能を相対的に区別する分析が弱く、出版産業の独自の産業構造の分析に迫り得ていないことである。「問屋(卸し)」ではなく、出版「取次」と規定される構造がなぜ成立したのか? この根拠は出版物の商品特性に求める見解が主流となっている。つまり出版物は、個別商品の代替財が成立しにくい・反復購入行動が少ない・価値評価がユーザーによって分かれる・実売数の測定が困難である等の商品特性がある。従って、多品種少量生産システムである出版物は、需要と供給のマッチングに強力な限界が誘発され、また生産者(出版社)と小売(書店)の企業規模が基本的に零細・小規模である。こうした独自の産業構造は、価格競争を可能な限り排除し、リスクを極小化し得る流通システムとして、再販売価格維持制度(定価販売制)と委託販売制度(返品制*1)による[出版ー取次ー書店]という日本型出版流通チャネルを形成した。再販制度は、空間的運送コストを捨象した同一価格での購入機会を保障し(表3参照*2)、委託販売制度は、書店のマーケッテイング・コストを極小化しつつ、ユーザーに多品種少量製品を差別化することなく購入できる機会を提供し、生産者(出版社)が資本力に関係なく出版機会を保障され、出版・取次・書店・読者が相互にリスクを補填し合いながら、ともに利益最大化を実現する最適システムとして機能してきた。
【表3 関東を100とした運賃単価指数】
こうした日本型出版流通システムは、地方圏においても出版・取次・書店の中小零細経営を成立させ、義務教育制度の整備と並んで、世界史上稀にみる後発型近代化を遂行するインフラ条件となった。このシステムでは、出版産業の文化財・公共財を中心にした出版・取次・書店の三者連携が形成され、昭和32年に規定された(社)日本雑誌協会と日本書籍出版協会の『出版倫理綱領』は、知的啓蒙と権力からの自立をめざし「出版事業を混乱に導くような過当競争を抑制する」と宣言している。
【出版倫理綱領】(下線部筆者)
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我々出版人は、文化の向上と社会の進展に寄与すべき出版事業の重要な役割にかんがみ、社会公共に与える影響の大なる責務を認識し、ここに、我々の指標を掲げて、出版道義の向上をはかり、その実践に務めようとするものである。
1 出版物は、学術の進歩、文芸の興隆、教育の普及、人心の高揚に資するものでなければならない。我々は、たかく人類の理想を追い、ひろく文化の交流をはかり、あまねく社会福祉の増進に最善の努力を払う。
2 出版物は、知性と情操に基づいて、民衆の生活を正しく形成し、豊富ならしむるとともに、清新な創意を発揮せしめるに役立つものでなければならない。我々は、出版物の品位を保つことに努め、低俗な趣味に迎合して文化水準の向上を妨げるような出版を行わない。
3 文化と社会の健全な発展のためには、あくまで言論出版の自由が確保されなければならない。我々は、著作者ならびに出版人の自由と権利を守り、これらに加えられる制圧または干渉は極力これを排除するとともに言論出版の自由を濫用して他を傷つけたり、私益のために公益を犠牲にするような行為は行わない。
4 報道の出版にあたっては、報道倫理の精神にのっとり、また、評論は、真理を守るに忠実にして範度あるものでなければならない。我々は、真実を正確に伝えるとともに、個人の名誉は常にこれを尊重する。
5 出版物の普及には、秩序と公正が保たれなければならない。我々は、出版事業を混乱に導くような過当競争を抑制するとともに、不当な宣伝によって、出版人の誠実と品位を傷つけるようなことはおこなわない。
昭和32年10月27日 |
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さらに、昭和37年に宣言された(社)日本出版取次協会の『出版物取次倫理綱領』では、取次の「職務の理想と倫理」を「出版社の信頼する販売機関・・・・・書店の的確な仕入機関」と規定し、「綿密な市場調査をもととして精確な需給調整を期する」としたうえで、「公正な秩序を守り(中略)、出版社ー取次ー書店の販売組織の発展を期する。(中略)出版社、書店とともに適正利潤のもとで進んで任務を遂行する」としている。
次いで、昭和38年に宣言された日本書店商業組合連合会の『出版販売倫理要綱』では、「4 我々書店人は、民主的協議によって、たえず取引上の封建制を打破し、版元・取次・小売り3者平等の立場において共存共栄の実を挙げんことを期する」として、出版流通システムの近代化と相互連携を謳っている。
このように日本の出版物流通は、委託販売制(一定の期間内であれば返品を認める=返品条件付き買切制)と再販制を基本としている。再販制による定価販売によって、製販3者の粗利が一定し、安定経営が保障される(出版社定価設定→取次会社67〜72%で仕入れ→書店に76〜80%で卸す→書店マージン20〜24%、著者印税は、定価の一定比率に製作部数を掛けて計算される)。
日本型出版流通チャネルが多様化していく要因は、第1に読者層の生活意識とニーズ多様化に対応する出版業者の市場対応型出版アイテムの多様化にある。第2は多様化された商品群が主要チャネルである書店店頭以外の隙間となる流通チャネル開拓を求めたことにある。第3は大量生産・大量販売戦略の規模の経済によるチャネル多様化にあり、第4は異業種参入の専門店や地域・職域生協が文化イメージによる集客力上昇のために出版物を取り扱うようになったこと、第5に取次業者の異分野進出のマーケッテング戦略による既成チャネル以外への進出などがある(図12参照)。
【図12 出版物流通チャネル多様化チャート】(出所:筆者作成)
こうした流通チャネルの多様化によって、新刊書籍と注文書籍の流通チャネルにどのような変化が誘発されたであろうか。新刊書籍は、出版社と取次会社間の納品(仕入)冊数と配本冊数が決定され、取次会社は取引先書店毎に送品票を作成し、仕分け・梱包して運送業者に引き渡され、納入を受けた書店は、一定の期間をおいて(現在は月刊誌60日、週刊誌45日)何時でも返品できるシステムである(図13参照)。
【図13 新刊書流通システム】(出所:筆者作成)
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●書誌情報作成
取次会社 ●配本リスト作成
●書店別仕分・梱包
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出版社
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納品交渉
仕入交渉 |
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書店
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| 納品 |
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印刷会社
製本会社
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納品 適性配本実現 |
個別配送
集荷 |
輸送業者
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共同輸送 |
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共同化未完
共同化進展
a
●共同輸送
●取次の指示による印刷・製本会社からの書店への直送
伝統的な新刊書籍流通チャネルは、知識階級と大衆購読者が階層的に分節化していた(いわゆる「岩波文化と講談社文化」)時代の、基本的には「プロダクト・アウト」(作って流す)マーケッテイングであり、エデイターの出版文化に対する職人的なスキルと自負をもたらし、他方においては返品と労働コストをともなう大衆商品を提供し、書籍は知的権威と大衆娯楽の主流として出版市場を形成し、未だマン・ツウ・マン・マーケッテイングやQRは要請されなかった。また1980年以降、「部分再販」(特定の本について最初から自由価格制にする)と「時限再販」(一定期間経過後定価を抹消して自由価格にする)が制度化されたが、自由価格本=ゾッキ本というイメージが強く、非再販本の出版は進展せず再販制度はゆるがなかった。
ところが、返品制によって、書店が常に返品を見込んだ過剰注文をおこない、出版社は大量返品を警戒して「出庫調整」(数を割り引いて送品する)と「出庫保留」(送品を意識的に遅らせる)によって対抗するという持たれ合いや、取次会社のパターン配本(書店の規模・立地・客層等によって事前に分類された店のパターンによって、出版社から卸された本を自動的に配本するシステム)による売れ筋中心の販売によって、少部数の零細出版社が流通チャネルからこぼれ落ちてしまう結果が生まれた。
また、ユーザーの需要多様化にともない、製作部数と配本部数の過剰ー不足による返品率上昇と販売機会喪失が常態化し、出版社はマーケット・インによるQR供給を追求するようになった。例えば講談社では、1990年代からDC−POS方式の導入によって製作部数の適正化と返品率減少を追求した(返品率1984年:34%→1994年:24% 図14参照)。
【図14 講談社DC/POSシステムの概念図】(出所:講談社資料より筆者作成)
注文書籍の流通チャネルは(図15参照)、基本的に書店が注文短冊(スリップ)を起票・発送し(平均3.5日)、取次会社倉庫に在庫がある場合はそこから(平均3日)、無い場合は出版社に注文され(平均1日)、ユーザーは長期間の待機が常態化した(7〜14日)。注文の流れは出版社まで5、5〜11、5日を要するが、情報化により瞬時化することができ、送品の流れは出版社から書店まで7〜14日が、情報化により7日に短縮できる。
【図15 注文書籍の既成物流チャネル】(出所:筆者作成)
事故伝(品切・絶版・重版予定・注文量による重版予定など)
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注文(3、5) |
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出版社 |
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取次会社 |
← |
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書店 |
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集品便(1〜7)
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短冊 郵送 ↑
FAX
TEL |
出版社別 ↓
オンライン
仕分(1) 短冊(含電算短冊)
↓ |
在庫 在庫
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なし |
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あり |
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なし |
|
あり |
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↓ ↓
ピッキング(1)
書店別仕分(1) 輸送
↓ ↓
(1〜2)
出庫状態(1)
整品(1)
↓
集品(1〜7)
伝票作成(1)
値入
書籍は、版元が取次に見本を搬入して初めて商品としての認知を受け、各取次が書誌データを個別に入力するという壮大な非効率のシステムとなっている。欧米では、例えばウイテカー社(ロンドン)は、新刊書籍データは発売3ヶ月前に、著者・タイトル・定価・発売日・ISBNの項目を収集し、新刊データを、CD−ROMで2200の書店と図書館販売業者に年12回発行している。受発注の90%以上が電子化されて、年間2700件の注文がISBNでNDI(電子情報化)され、流通効率化を実現している*1。発売直前の現物見本から、取次各社が個別に独自に新刊データを作成する日本型システムの非効率が浮き彫りとなる。
注文書籍流通チャネルの課題は、注文短冊の情報化による瞬時化と、在庫情報整備のためのバーコード付与及び業界統一VAN構築によるQR配送の実現にあった。この課題の最大のネックは、中小零細経営の多い出版業界のFA化・在庫情報の電子化・配送システム(図16参照)などのコスト問題であり、その解決は共同倉庫・共同流通センターによる物流共同化の実現にある(図17参照)。
【図16 NDC自動ピッキングシステム*2(文庫本の場合)】(出所:筆者作成)
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@日本図書コードが印刷された注文短冊をスリップリーダーでOCR処理→ホストコンピュータに注文データ入力
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| A同時に書店別送品票作成、集品票の内容がデイスプレイ端末のピッキング台車に送信 |
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B倉庫内ランプ表示棚183本の間
をピッキング台車を係員が押していくと、台車デイスプレイに表示された商品と棚のランプが連動して出庫指示 |
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| C1個口となる出庫品がコンベアで出荷口へ直進し、出荷される |
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【図17 物流共同化の諸形態】(出所:筆者作成)
●A類型
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共同倉庫 |
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業界統一VANなど
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出版社
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(総 合)
(地域別)
(ジャンル別)
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書 店
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各取次会社の
流通センター
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出版社
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出版社
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共同流通センター |
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取次会社
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出版社
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書 店
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取次会社
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出版社
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●C類型 |
業界統一VANなど
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出版社
倉庫
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取次会社
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書 店
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物流共同化は、保管・加工・配送・仕入れ・情報処理の諸機能の共同化にあり、コスト・メリットを基準とする共同化機能のレベルによって、多様な共同化システムが選択できるが、一般的に[配送]・[保管]・[加工]などのハードレベルからA類型→B類型→C類型へと高次化する。
卸売業の情報ネットワーク構築形態は、@個別企業内のオンライン化と、AVANを利用する外部構築があり、A類型はメンテナンス・自社ニーズ即応・自社ノウハウ蓄積・競合他社との差別化に優位性があるが、資金調達とヒューマンウエアーに限界を持つ。この限界を克服するB類型は、逆にセキュリテイー・個別企業のニーズ対応・利用料金等の問題をクリアーできれば、個別企業では不可能な高次元ネット・範囲の経済・共同化促進・情報コスト低減を実現する可能性をはらんでいる。特に資本力零細な書籍出版企業は、VANによる共同化を追求し、大手企業においても通信回線開放後B類型が急増している。情報ネットワークの共同化は、以下のような諸形態に整理される(図18参照)。
【図18 情報ネットワーク共同化の諸形態(卸売・取次主導型)】(出所:筆者作成)
出版流通の近代化は、返品流通のシステム化・共同化と連動しなければ完結しない。書籍発行点数は、返品率上昇に対応して減少傾向にあるが、雑誌発行出版社900社による発行点数は2,545点、うち週刊誌78点であり(1995年出版科学研究所調査)、年間発行総数は、月刊誌28億688万冊、週刊誌21億3,900万冊である(1995年『出版物流年鑑』)。これが全国72取次を媒介に、2万6千店の書店と4万8千店のCVS(1994年商業統計表)に配送され、月刊誌の27.9%(7億8千万冊)・週刊誌の17.0%(3億6千万冊)が返品されるという壮大な廃棄物処理が常態化している(1995年実績)。返品雑誌は全て断裁処理されるが、返品書籍はリニューアルされて注文販売に応じるため、書籍廃棄率は5%に満たないと推定される(表4・5参照)。
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【表5 出版物の部門別返品率】
【書籍・雑誌発行状況推移】(出版ニュース社『出版年鑑2000年度版』P331参照)
委託販売制による返品と廃棄は、重大な環境問題でもあり、大手取次を中心にした大型の物流センターによる返品処理の自動化が、下記のように1980年代末から推進されている。ここでは、事例として東京ロジステックス・センター(トーハン)と九州雑誌センターの[発注ー納本ー返品データ]のオンライン処理による自動化をみる。
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西日本流通センター(NDC)
(日販・摂津市) |
1984年
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650社、15万3,000点250万冊、注文短冊のOCR処理・コンピュータ制御による自動ピッキングシステム |
王子ハイテクセンター
(日販・王子)
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1989年
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OCRリーダーによる2,000枚/分の注文短冊処理し、以後の物流をFA/OA化、1,500方面への仕分けシュレーターによる4万3,200冊/時、30万冊・3000書店/日(7時間稼働)、受注から出荷2日・書店到着2〜5日 |
総合専門書センター(トーハン) |
1992年 |
35,000点・55万冊在庫 |
総合コミックセンター
(トーハン・埼玉県三芳町) |
1992年
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5,500点・104万冊在庫
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中部ロジステイックスセンター
(トーハン・愛知県岩倉市)
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1992年
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12万点・180万冊在庫、専門書とコミック本の全国受注統合、在庫全点のデータ化とコンピュータ自動管理ステムにより受注後3日後に出荷する、返品雑誌の紙質別自動分類・プレス・古紙処理 |
東京ロジステイックスセンター
(トーハン・埼玉加須市) |
1996年 |
書店返品起票省略・返品処理結果照会への回答等による環境問題解決・販売予測精度向上をめざす世界最大級規模と技術 |
九州雑誌センター |
1996年 |
現地返品処理の情報化・共同化・返品データの配本見直しへの瞬時反映 |
ジャパンブックセンター構想(平安堂・須坂市・二玄社・新潮社・トーハン参加の第三セクター、須坂市)
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1996年
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倉庫・配送センター・トラックターミナル・駐車場ビル・従業員福祉施設・産業廃棄物処理場の総合物流センター、全出版社の在庫全点を収容し、出版社からの取り寄せ時間をゼロとし、配達日数大幅短縮する。将来は、書籍出版・印刷製本工場を併設する構想。当面50万点・2000万冊在庫
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これらの流通センターと出版社・書店をオンライン化したネットワークが右図である。川上・川下企業が情報化によって業態支配を追求する「問屋無用論」に対抗し、取次業の情報武装型卸売によって流通の主導権を維持しようとしている。このような流通VANは、特に卸売業の支配力が強い食品業界や出版業界に導入されている(図19参照)。
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【日販の書誌情報検索発注システム】
NOCS:Nippan Online Communication System)
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【図19 東京ロジステックスセンターと九州雑誌センター概念図比較】(出所:日販資料より筆者作成)
各種マスターデータ
仕分け実績
返品処理 照会 |
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仕分け実績照会
返品処理照会 |
| 事務棟 |
外部通信用コンピュータ |
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メイン処理コンピュータ |
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書店
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F-NET
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返品書誌データ |
F-NET
現物返品
古紙化データ
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出版社
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自動入力仕分けライン |
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作業棟
加工棟 古紙化 |
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製紙会社
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(古紙処理協同組合)
[東京ロジステックスセンターー]
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活用品 |
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出版社
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取次会社
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書店
●定価別冊数記録
●バーコード化した宛名 紙を荷物に付け運送会 社に渡す
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故紙処理データ
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毎日
・新聞雑誌マスター
・新規取引書店
マスター
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毎日
・書店別返品入帳データ
・取次別出版社別雑誌別
返品入帳データ
締切日
・手数料請求データ
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輸送会社
●パンフで取次と授受
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【取次のオンラインシステム】(出所:筆者作成)
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システム名 |
データ送受信 |
端末 |
東販
日販
大阪屋
栗田
大洋社
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TONETS(東販総合オンラインネットワークシステム)
NOCS(日販オンラインコミュニケーションシステム)
OPAS(大阪パブリケーションエージェンシーシステム)
KINS(栗田情報通信ネットワークサービス)
TOCS(大洋社オンラインコンピュータシステム)
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NTTのDRESS
日本情報サービス
インテック
東洋情報システム
NTTのDRESS
NTT
|
日立
日本IBM
日本IBM
富士通
富士通
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物流工程を電子処理化した取次業と、従来型の取次を比較すると、以下のようになる(表6・7参照)。
【表6 電子処理化取次物流作業工程】(出所:『全国書店新聞』1999年4月7日付を参照して筆者作成)。
取次名 |
出庫 |
分類 |
棚入 |
起票 |
箱詰 |
輸送業者渡 |
書店着 |
トーハン
|
書店別出庫・ヒト |
自動 |
自動 |
自動 |
ヒト |
ヒト |
|
| ←・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・→ |
日販
|
銘柄別出庫・ヒト |
自動 |
自動 |
自動 |
ヒト |
ヒト |
|
| ←・・・・・・MSー2システム・・・・・・・→ |
栗田出版
|
銘柄別出庫・ヒト |
自動 |
自動 |
自動 |
ヒト |
ヒト |
|
| ←・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・→ |
大阪屋
|
銘柄別出庫・ヒト |
自動 |
自動 |
自動 |
ヒト |
ヒト |
|
←・・・・・OPES-XAシステム・・・・・→
|
【表7 従来型非電子処理取次】(出所:同上)
| 取次名 |
出庫 |
分類 |
棚入 |
起票 |
箱詰 |
輸送業者渡 |
書店着 |
太陽社
|
銘柄別出庫・ヒト
|
ヒト
大分・中分 |
ヒト
|
スキャナ
ヒト |
ヒト
|
ヒト
|
|
中央社
|
銘柄別出向・ヒト
|
ヒト
|
ヒト
|
スキャナ
ヒト |
ヒト
|
ヒト
|
|
協和出版
|
銘柄別出庫・ヒト
|
ヒト
|
ヒト
|
スキャナ
ヒト |
ヒト
|
ヒト
|
|
日教販
|
書店別出庫・ヒト
|
ヒト
|
ヒト
|
スキャナ
ヒト |
ヒト
|
ヒト
|
|
神田村取次
|
出 庫 ・ヒト
|
ヒト
|
ヒト
|
スキャナ
ヒト |
ヒト
|
ヒト
|
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このような出版・取次・書店の経営現代化
【トーハン営業成績・財産状況推移】
にも係わらず、取次最大手の日販の1999
年9月中間決算27億円の赤字計上、大阪
の取次店である柳原書店の倒産、全国15
位であった大阪の駸々堂・駸々堂出版の倒
産、福岡の積文館書店の撤退という巨大資
本の経営不振がある。
さらに中小書店の廃業・倒産によって、全
国25、000店が15、000店に整理され、また1984年から1998年までの書店新規出店数・増改築は(表8参照)、バブル崩壊期以降支店出店数は増加したものの、急速な減少局面に入っている*1。こうした出版生産・流通システムのゆらぎは、伝統的な老舗経営を破綻に追い込んだが、同時に先端的な経営革新によっても打開し得ない出版市場の不況がある(表8参照)。
【表8 書店の出店・増改築状況推移】(出所:日本書店商業組合連合資料より)
【書籍新刊配本と注文送品への満足度】(出所:「書籍再販制度を問う」(『経済セミナー』512 1997年P61)
以上から日本型出版流通機構の問題は、以下のような点がある。
(1)新刊見計らい配本は、データ配本(ランク・パターン)方式で、適時・適量・適品の最適化システムではない。
(2)注文・客注システムが未整備であり、配本リードタイムの遅延が常態化している。
(3)取次の寡占(市場占拠率75%)と帳合変更競争による集中のメリットと小規模零細出版が排除されている。
(4)小規模零細書店の品揃えとサービスが低下している。
(5)書籍・雑誌一体化システムの日本型書店形態(BookstorにおいてBook・Magazineの共存的な販売)によ って、物流コストが低減し、規模の経済が実現されている。
(6)委託制(出版社ー取次)と返品制(取次ー書店)によって押込・過剰配本と高返品率、廃棄物処理問題が問 題化している(見込生産→過剰供給→過剰流通→早期返品→大量返品→大量廃棄の悪循環)。
(7)再販制度によって全国一律の定価販売制が実現している。
(8)「雑高書低」現象が定常化している。
(9)書店の再編成(中小零細書店の転廃業・書店形態の多様化)が進展している。
このような特質を持つ日本型出版産業を、書籍・雑誌一体化販売についてみると、書籍と雑誌の商品特性は、書籍の持つ多品種・少量生産・多頻度少量流通・高定価・低マージン率・低回転率・高返品率・高返品処理コスト・多補充注文・長サイクル・低需要予測という特質に対し、雑誌は少品種・大量生産・大量流通・低定価・高マージン率・高回転率・返品処理低コスト・低追加生産・低追加注文・低サイクル・定期刊行・高需要予測という差異がある。こうして、多様な出版流通チャネルの形成は、取次主導型書籍流通を打破するデイストリビューション・センターの構築や買切注文制・正味改定を問いかけている。
2)出版流通システムにおける情報化の誘発効果と限界
出版産業における電子情報化の進展は、流通・マーケッテイング過程におけるデータの比重を高め、取次のデータ依存をもたらす。既成の人的関係や「こころざし」などの感性的な仕入交渉の限界を鮮明化し、いわゆる「良書出版社」などの非データ的な戦略は劣位となる可能性があるが、逆にみるとデータの背後にある本質的な意味を把握するスキルが要求され、企業規模よりも情報発信力が比較優位をもたらす条件となる。その場合、情報化戦略のソフトとハードに関する共有・共同が特に零細出版社に求められる。
| 中小小売業における情報関連投資と物流効率化投資の相関性は高い。ただし、全体平均を下回っている繊維・建築材料・鉱物金属などの成熟産業の情報関連投資と物流効率化投資の関連は極めて低く、成熟産業における情報化導入に対する問題を提示している(図20参照)。 さらに効率的ロジステックスの誘発効果が大きいEDI(Electronic
Data Interchange)は、従業員1人当たり売上高・商品転率への寄与度が高く、多頻度小口 |
|
図20 情報関連投資と物流効率化投資の相関(出所:中小企業庁『中小企業白 書2000年版』P41)
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送が要求される出版流通における差別化戦略の有力な方法となる可能性がある(図21参照)。
このような事例を象徴的に示しているのが、日本における洋書販売の業態の変容である。特に、一般書の価格競争は従来型の輸入取次業務をおこなってきた企業に大きな打撃を与えている。
EDIを洋書分野でみると洋書価格が急速に低下している状況がある。インターネットによる洋書購入によって、ユーザーとの直接取引が進んだことによる。洋書価格の変動は、マークアップ額(定価販売では店頭価格から実勢為替レート額を引いた額、値引き価格では値引き販売価格から実勢為替レート額を引いた額)と係数(販売価格/実勢為替レー |
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図21 卸売業におけるEDIの経営成果(出所:中小企業庁『中小企業白書200 0年版』P42)
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ート額)によって示され、洋書価格は外貨価格に手数料を加えたものもある。ドルのマークアップ学は70円から40〜50円に、係数は1.7から1.5に低下した結果、利益率は約40%が30%に低下した。インターネット書籍販売会社ダイイチ(大手家電販売会社 本社広島 その後デオデオに改称)の販売価格は、外貨に係数1.3を掛け、国内送料380円を加えたものであり、その他のインターネット書店であるタワーレコード(係数1.35〜1.4)・京都大学事業連合会(係数1.25)・JISNET(係数1.35)・丸善(1.3)・紀伊国屋(1.3)など、店頭価格の10%引き(係数1.35)で、ほとんど価格差はない。価格競争をおこなう文教堂(1.0)・ジュンク堂(1.0)は、いずれも一般書である。以上の洋書販売は、SPI(Stanford
Publications International 米国スタンフォードにある日本人スタッフ数名による企業で、インターネット書籍販売をダイイチと提携して開始した)との提携が多い。アマゾン・コムの価格は、ペーパー版20%・ハード版30%・ベストセラーもの40%の値引きをおこなっているが、発行部数の少ない学術書の値引きはない。
第3節 日本型出版流通チャネルのパラダイム・チェインジ
1)書店多様化戦略
資本力の比較優位を最大化する戦略として、店舗の大型化・多店舗化・郊外型・ロードサイド型・複合型・CVS化などの書店多様化戦略について考察する。
(1)店舗大型化・多店舗化戦略
| 資本力の大きい書店の店舗大型化は、右記にみるように超大型化をたどり、ジュンク堂(4800平方m)・旭屋天王寺店(1500平方m)・紀伊国屋本町店(1500平方m)などの出店が相次いだ。ドミナント方式(一定地域に集中立地することによる品揃えと配送コスト減を実現する)や、チェーン化方式(個々の店舗面積 |
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1969年
1971年
1995年1996年
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伊国屋梅田店
大阪旭屋書店東京進出
駸々堂三宮店(942坪)
三省堂大阪キタ店
紀伊国屋新宿南店(1400坪) |
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の狭さを在庫の集中管理と融通による合理化メリットを追求する)も*1、実質的な大型書店化戦略である。
米国では、1980年代の「モールタイプ」(150坪前後の中規模総合書店)から、次第に「スーパーブックストア」(500〜1500坪の絨毯を引き詰めた広大な店内に、座り読みができるコーナーや案内カウンター・キッズコーナー・コーヒーショップを兼備して、顧客滞留時間を伸ばす大規模総合書店)へと移行しつつある。
このような大型化・多店舗化による寡占化の進展を、全出版社売上順位と売上高の相関からみると(表9
参照 1994年度)、上位5社で23.3%(7,949,77億円)を占め、上位495社で86,9%(29,656,01億円)を占めている。1995〜96年の取次業の年間売上高をみると、トーハン・日販の一極独占体制であり(表10参照)、出版・取次のガリバー型寡占が如実に現れている。1995年(平成7年)の書籍・雑誌の実販売額(除く返品額)を流通チャネル別にみると、書店経由実販売額が18.309.93億円、書店ルートが68.2%(17.769.18億円)を占めている(表11参照)。書店の年間売上高上位40社では、丸善・紀伊国屋が抜きんでた存在となっている(表12参照)。
【表9 出版社売上順位と売上高の相関図 1994年】(出所:『出版年鑑』1995年度版)
【表10 取次店年間売上額・従業員数 1995〜1996年】(出所:日本出版取次業協同組合資料より)
【表11 書籍・雑誌流通経路別実販売額 1995年】(出所:日本書店商業組合連合会資料より)
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書籍・雑誌
実販売額
260,502,000
万円
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輸出入ルート(輸入額)540.75億円
書店経由実販売額
18.309.93億円
1書店ルート17.769.18億円68.2%
(教科書ルート201.97億円)
(図書館ルート659.01億円)
2輸出入ルート(輸出額)224.67億円0.9%
3生協ルート541.41億円2.1%
4割販ルート217.00億円0.8%
5スタンド販売ルート381.40億円1.5%
6CVSルート4.131.74億円15.9%
7卸売ルート2.237.10億円8.6%
8鉄道弘済会ルート547.70億円2.1%
|
|
【表12 書店年間売上高 1995年】(出所:『出版年鑑』1996年版)
(2)ロードサイド・ビジネスの郊外型大型店ー購買行動における距離的アクセス条件の変容
日本最初の郊外型大型店である愛知県東郷町への三洋堂(1975年)の出店から、1987年には587店が出店したが、1988年には461店の出店に留まり(総出店数952店の48,4%)、転廃業が増大する淘汰選別期へ突入し、現在は総数2,441店(15万1,189坪 東販調査)であり、1店あたり平均売場面積61坪、駐車台数37台、売場101坪以上では60台であり、来客手段は車65,1%・バイク・自転車22,8%・徒歩12,1%となっている(日本出版販売『新版郊外型書店の実態』参照)。
このような郊外型大型店の出店戦略の背景には、モータリゼーションによる消費行動の変容、都心部の地価高騰の出店投下資本効率の低下、商圏依存型市場(繁華街・駅前・住宅地立地)から需要創造型市場への転換などの経営環境の変容がある。モータリゼーションによって、FC化と直営方式による多店舗展開の可能性が拓かれ、郊外の集客効率を志向する多業種複合型書店化(ビデオ・ファンシー・アイスクリーム・喫茶など1988年出店の70,5%が複合型)が進展し、今後は複合化から高付加価値へ進むと予測される。
こうした読者の購買行動における便益性とアクセス手段の変容をみると、「買い物がしやすく便利な店舗」は年齢を超えて「一度にいろいろな買い物ができる」が高位にあり、20歳代は「価格が安い」・「営業時間が長い」が高く、60歳代は「品質がよい」・「信用がおける」・「顔なじみになっている」が高位であり、購買行動の年齢的な多様化に対応する書店の特化・差別化戦略が求められていることを示している(図22参照)。
【図22 買い物がしやすく便利だと思う店舗】(出所:中小企業庁『中小企業白書2000年版』P171)
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購買行動における交通アクセスは、40歳代以下は「自動車」が高く、自動車がトップでないのは60歳台の最寄品のみである。小売業態に対する不満をみると、「一度でいろいろな買い物ができない」・「駐輪場、駐車場等の設備が整備されていない」・「ある特定の商品群での品揃えが少ない」・「価格が高い」・「ゆっくり品定めができない」等が多い(図22参照)。郊外型ロードサイド大型書店は、20歳台から40歳台のモータリゼーション中心のライフスタイルが定着しているニューファミリー層を対象としていることが明らかとなった。
【図22 消費者の各小売業態に対する不満】(出所:中小企業庁『中小企業白書』P172)
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このような大型化・郊外化の出店競争は、再販制廃止後の大量仕入れ・単価切り下げを展望した経営戦略であるが、その後の出版不況の中で資金準備に苦闘し、金融返品(1年間委託されるべき常備本を普通返品として期限前に返品する)など回転率を重視し、専門書の品揃が後退する傾向にある。
(3)量販店系の複合化戦略・CVS(コンビニエンスストア)戦略
チェーンストアの商品管理と物流ノウハウを、ヤング世代のニーズに生かしながら展開する大手流通業系列の複合化書店の開設と(表13参照)、CVSによる書籍・雑誌販売業参入は、一般中小書店にとって最も脅威となっている(表14参照)。雑誌・実用本・文庫を中心とするCVSのアイテムは、地域中小書店と最も競合する領域である。
【表13 量販店系複合化戦略例】(出所:筆者作成)
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書店名 |
立地戦略 |
マーケッテイング戦略 |
アシーネ
(ダイエー系) |
大型商業施設への出店
51店舗 |
情報発信型CVC、ストアーアイデンテイテイによる顧客訴求力・個性化・顧客と個店関係重視 |
ブックバーン
(ジャスコ系)
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大型商業施設への出店
97店舗
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多機能複合店(書籍、ビデオ、レコード、CD、ヤングホビー、アイスクリームショップ)・ドミナント方式(学園立地型、郊外立地型、住宅立地型、他業種複合型、SC隣接型) |
その他
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ビブロス(ニチイ)、夢屋書店(ユニー)、よむよむ(いなげや)等
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【表14 ’95〜’96CVS書籍・雑誌売上額及び1店当り売上額】(出所:『流通データでみる出版界』)
CVS書店の売上高第1位であるセブン・イレブン*1についてみる。セブンイレブン扱いの出版物売上高が1000億円を突破し、紀伊国屋を抜いて出版小売業界のトップに躍り出たのは、1992年である。1992年度の書籍売り
上げ順位表の上位20社中、9社をCVSが占めた
(表15参照)。CVSの出版物売上高は急上昇し、
集客力と営業時間・立地条件・販売管理の比較優位によって、従来の書店の売れ筋である人気雑誌・文庫本・コミックの分野を奪い、近隣中小書店の売れ筋商品は”死に筋商品”化している。
CVSにとっての書籍雑誌は、多様な商品アイテムの1分野に過ぎなく、雑誌は集客の「マグネット商品」として位置づけられ、もはや「出版倫理綱領」の教養的な文化主義はない。CVSの競争優位条件は、POS(Point
of Sales scanning 販売時点情報管理)システムによる商品管理と内部処理の徹底した合理性にあり、再販制と委託返品制に依拠してきた既存書店の伝統的商法(基本的にプロダクト・アウト)を圧倒している。しかも再販制と委託返品制は、実はCVSのQR戦略にとって最大の効果を生み出す制度に逆転し、本来の文化機能を保障する性格
を喪失させた。 |
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【表15 1992年度小売書店の売上高ランキング】
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セブンイレブンのPOSシステムを例にとると、[来店客の性別・年齢別・家族か単独かをレジ入力]→[地域人口動態・時間帯・天候データとのクロス分析]→[売筋商品・非売筋商品の判別*2]→[企画・商品開発*3]が、瞬時に判断されるものとなっている。但し、POSシステムの限界は、売筋と非売筋の商品は把握できるが、非購買行動の要因(なぜ何も買わないで出ていったのか?)の分析ができないところにある。通常のログ解析では、アクセスがどのネットワークからされたものかは特定できるが、具体的な個人を特定できない。このPOSの限界を補完するのが、ECのCooKYによる顧客管理システムである。Cookyは、サイトにアクセスしたブラウザーに個別に発行する認識番号であり、そのブラウザーに個人特性が埋め込まれ、再度のアクセスがあれば認識番号の識別によって個人特性をより蓄積できる。こうして、サイトでの[特定個人の検索条件からその人物の趣味・嗜好傾向を把握する]→[氏名・住所・年齢・性別等の顧客属性をクロスさせた顧客データベースを構築する]→[状況・属性・特性の階層分析によって顧客管理をおこなう]→[@売上高+利益による層化]→[A優先順位 A→B→C→N→C→D→E]→[ワン・ツウ・ワンマーケッテイング構築]というシステムである(図23参照)。こうして、個人の行動履歴から興味分野を推定し、その個人特性に添った形で情報をカスタマイズして提供するパーソナライズアプローチが可能となる。問われるのは、或る行動Xの次にどのような行動が選択されるかという傾向性を分析する能力である。
例えば、自動車メーカーのサイトで、新車情報の価格表を見る人は、それを見なかった人よりもカタログ請求の比率が高いというデータが出れば、価格表を表示すると次にカタログ請求のページが半強制的に開くようにすれば、顧客の応募比率を飛躍的に高めることが可能となる。こうしてCookyによって、顧客は階層化され、よりターゲットを絞ったパ−ソナライズアプローチが可能となる*4。
【図23 Ciookyによる階層分析】
| 利益 |
未取引顧客
Nゾーン |
攻略顧客
Bゾーン |
最重点顧客
Aゾーン |
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↑
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非来店顧客
Eゾーン
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効率化顧客
Dゾーン
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維持顧客
Cゾーン
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→取引高 |
【セブン・イレブンの伝票】
【Cookyイメージ】
こうしたゼブンイレブンの販売戦略は、書籍・雑誌を含む全商品アイアテムの総合的な戦略として展開されている。セブンイレブンの情報システムは、ネットワークによって店舗・取引先(ベンダー・一部メーカー・配送センター)
と本部を結ぶ3系統から構成されている(図24参照)。
第1は、POSマネイジメント情報系であり、各店舗の独自判断によって店舗の経営をおこなう「分散型意志決定(個店対応)」支援システムである。
第2は、発注物流情報システム(JIT系)であり、店舗からの発注情報を瞬時に製造指示・配送指示に直結する業務処理システムである。
第3は、経理・会計情報システムであり、各店舗の会計関連データを本部に集中し、店舗利益と本部利益を一元的に管理するシステムである。
こうしたセブンイレブンの情報システムは、1978〜1979年に第1次情報ネットワークとJIT系が実施され、1982年のPOSシステム導入、1990年代初頭に、ネットワーク・POS・マネイジメント情報系が一新されて現在に至り、小売業主導型VANの典型的モデ
ルとなっている(図25・26・27参照)。 |
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【図26 セブンイレブンジャパン情報システム展開史】
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【図27 セブンイレブンISDN新ネットワークシステム1991年】
CVSの参入による書店経営への影響をみると(表16・17参照)、何らかの「影響があった70,7%」「影響がなかった27,3%」であり、中小零細書店ほどその影響は大きく、年商3千万円以下の書店では89,5%が「影響をがあった」と答えている。
【表16 CVSによる出版物販売への影響】 【表17 書店の経営指標】
書店の収益状況をみると(表18参照)、総利益率は5、18%と伸びているが、経費率の伸びが7、40%と上回っているため、経常利益率が−2、20ポイントと大きく減少している。経費率押し上げの要因は人件費比率にあり、その結果賃金分配率(人件費/総利益)が+6、30%と増加している。しかし書店従業員の労働条件は、月生産性36万8000円、平均給与18万7600円と小売34業種中33位という低位にある。
書店多様化を規模別営業実態でみると(表19参照)、中小零細書店は外販依存度が高く、大規模書店ほど店売度が高い。売り上げ構成比は、中小零細商店の雑誌依存度が高く、大規模書店は書籍依存度が高くなっており、雑誌に集中するCVS商法の打撃を最も受けるのが中小零細書店となっている。従事者数をみると、大規模書店のパート・アルバイト率が高く、中小零細書店の家族経営への依存がうかがわれる。 1日平均購入客数は、圧倒的に大規模書店が多く、客単価も高い。こうして、出版不況下において書店の規模別2層乖離が進展し、しかも大型店相互の競争を激化させている。 |
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【表18 小売業の利益率と平均給与(従業員1人当たり月生産性の順に配列)】
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複合型書店は、取次・書店間の粗利益率上昇をめざす商品複合化戦略(文具・レコード・楽器・ピアノ教室・エレクトーン教室・英語教材テープ販売・英会話教室・ビデオレンタル・キャンデイー・アイスクリームなど)であり、仕入れルートも取次経由が増大している。このような複合型書店は、大型化・郊外型書店の主要な経営戦略となっている。
【表19 書店・売場規模別営業動態表】(全国出版協会出版科学研究所『出版指標・年報1999年版』(P345
1999年)
書店多様化戦略の先導的な推進事例である紀伊国屋書店の経営戦略をみる。最初に、草創期から現代に至る紀伊国屋書店の経営史を時系列的に整理すると、以下のようになる(表20参照)。
【表20 紀伊国屋書店経営展開史年表】(出所:紀伊国屋資料より筆者作成)
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1927年(昭和 2年)
1928年(昭和 3年)
1930年(昭和 4年)
1945年(昭和20年)
1946年(昭和21年)
1947年(昭和22年)
1951年(昭和26年)
1953年(昭和28年)
1964年(昭和39年)
1969年(昭和43年)
1983年(昭和58年)
1986年(昭和61年)
1991年(平成 3年)
1993年(平成 5年)
1996年(平成 8年)
1999年(平成11年)
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田辺茂一 新宿3丁目に木造2階建て38坪書店開店 従業員5人
美術雑誌創刊(同人 木村荘八・今和次郎・田辺茂一)
同人誌創刊(同人 舟橋聖一・阿部知二・坪田譲治)
新宿本店建て替え 90坪・2階に講堂と外国語教室設置
新宿本店東京大空襲により焼失,現在地に12坪仮店舗開店
株式会社登録
大型木造2階建て150坪 2階ギャラリー設置 ”戦後書店建築の白眉”と注目
ガリオア資金による洋書輸入開始
営業総本部体制確立
新卒定期採用開始(大半は洋書部門)
新丸ビル店出店以降1〜2店/年新規出店
紀伊国屋ビル竣工 地上9階・地下2階3,560坪(前川国夫設計、建築協会表彰)
新宿発の鉄筋コンクリートビル ”第2の創業”という
大阪梅田本店開店(関西最初の大型店)
最初の海外店サンフランシスコ店出店
最初のアジア店シンガポール出店
内容情報付きデータベース作成開始
カタログ通販・パソコン通信販売開始
大阪梅田本店1店舗当たり世界1位の141億円売上高記録
ロフト名古屋店出店 600坪
新宿南店出店 売場面積日本1位の1,434坪
インターネット仮想書店「キノクニヤ・ブックウエブ」開始
洋書直輸入システム導入
国内55店(首都圏13・関西9・北海道6・九州4など)・海外27店(米国8・アジア19)
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紀伊国屋書店の経営戦略は、創業(田辺茂一)段階では、「書店スペース産業論」によってユーザーの知的欲求に応える文芸書と洋書に特化した戦略と、画廊やギャラリーを併設する文化発信型経営にあり、第2副都心化した新宿という商圏を踏まえたの立地条件が大きく、その後のマルチメデイア大型店舗化(最低300坪)と品揃え(2冊以上売れた本は全て揃える)による差別化によって競争優位を構築し、独自の販売チャネルによる多様な書籍市場の開拓とPOSによるQRを推進した点にある。
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販売チャネル |
形態 |
主な顧客層 |
売上げ |
第1販売チャネル |
店頭販売 |
中高年 |
60%弱 |
第2販売チャネル |
外 商 |
図書館・研究機関・洋書中心 |
40%弱 |
第3販売チャネル
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カタログ通販
パソコン通販
電子販売
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中高年読者・図書館・研究機関
若年層・地方ユーザー
20〜30歳台・地方ユーザー
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6%
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紀伊国屋書店のPOSシステムである「パブライン」は、POSレジによるリアルタイムの販売データ把握と出版社(60社)への情報提供をおこない、出版社は売れ筋情報の把握・配本と重版の効率化・販促・広告効果測定を即座におこない、販売予測を含めたノウハウ(新刊本の特性分析・地域配本冊数・販売予測・重版予測のシュミレーション)を提供し、従来の経験値に基づいた判断を科学的データによって裏付けた。
第2は、販売管理の効率化である。従来の書籍販売データは、書籍に挟まれているスリップ(短冊)を集計する労働集約的管理であったが、オンラインによって出版社は自社内での効率的な売上管理・発注・配本・在庫管理が可能となった。最先端のPOSシステムは(新宿南店開店時起動)、自動補充発注システム(POSデータから補充対象となる常備品のみを注文データに変換し、取次にオンライン送信する)によって発注を自動化し、単納期化・品揃えのハイレベル化・在庫圧縮を実現している(文庫本は毎日発注・毎日納品)。
2)異業種参入戦略
書籍販売市場は、再販売価格維持制度による定価販売の魅力と取次間競争によるマージン率上昇や入金報奨制度・文化的付加価値による集客性によって、魅力的な市場であり、大型化の成功を契機として1970年代以降多様な異業種参入を誘発したが*1、その形態は以下のように類型化される。
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参入動機 |
概 要 (例) |
転業型
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不況業種・零細資本が従来業種に見切りをつけ、再販制・委託制による安定経営と文化イメージを求めて参入 |
経営多角化型
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経営本体の業務拡張と経営基盤強化型。企業CIの変形として文化産業に着目して、新事業展開のアンテナショップとして位置づける(アメリカ屋靴店の福家書店、にっかつ自社ビルブテック書店、イナックス京橋ギャラリー書店)・輸出激減による経営体質強化(長野OA機器)・経営安定確保(神奈川デイスカウントショップ)・大型店規制回避(千葉ホームセンター)、西部ブックセンター、ダイエーアシーネ) |
資産活用型
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余剰人員・保有財産の有効利用・立地条件による店舗間差別化(鉄道弘済会の弘栄堂、JR東日本「BOOKシグナル」、JT岡山、杉並タクシー会社、横浜鋼材メーカー) |
集客目的型
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消費行動の多様化に対応して、収益力よりも出版物の付加価値を重視した集客・差別化効果を求める(琵琶湖湖畔タワー、東京CVS2階、函館自動車デイーラーショウルーム、レコード新星堂)
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これらの出版販売市場への異業種参入は、複合化と結合して、単なる副業や兼業という垂直的な業態ではなく、出版物と他業種商品の共存による空間的な付加価値性を追求し、ビデオレンタル・文具販売・CDレンタル等が複合商品となっている(1988年郊外型書店対象の複合業種調査)。
3)ブックサービス・書籍宅配サービス・テレマーケッテイング戦略
1984年に日本で最も早く”本の産直”を開始した生活クラブ生協(11単協,組合員18万世帯)は、ユーザーの需要を選書形態で把握し、注文を自前の取次を媒介に供給するという流通と需要を一本化したチャネルを構築し、”売りたい本より買いたい本を”というマーケットインの実践にある。しかし現在の弱点は、約1ヶ月という納本時間の長期化にある(図28参照)。
【図28 生活クラブ生協のブックサービス・チャネル(約1ヶ月)】(出所:生活クラブ生協資料より筆者作成)
短納期化を実現する宅配便システムは、ドア・ツウ・ドアの宅配便システムを利用し、ユーザーから電話・FAX・葉書で注文を受け、数日から1週間で配達し、代金と宅配料金を配達時に回収するという形態である。日本最初の書籍宅急便は、ヤマト運輸系の「ブックサービス」*1であり(1986年)、書店で初めて全国宅配システムを完成させた三省堂の「Book急便」*2は(1987年)、受注から代金回収までを運送会社と結んだVANを活用し、オンライン管理16社のカード会社と契約してカード会員の獲得をめざしている(図29参照)。 書籍宅急便システムは、顧客管理と商品情報の付加価値を展開した従来の外商部門におけるマーケットインの発展形態である。但し、現段階では店頭顧客サービスの延長という限界を突破できず、また収益性においても問題を抱え、専門会社は「ブックサービス」の1社のみであり、独立採算制を採用しているのは「BOOK急便」のみである。つまり、現在の書籍宅急便システムは、書店に在庫がない場合のユーザーの購入代行を短時間でおこなう隙間産業に留まっている(表21参照)。
【図29 三省堂「BooK急便」システム」概念図】(出所:三省堂資料より筆者作成)
【表21 現在稼働中の書籍宅急便】(出所:筆者作成)
【書籍宅配便企業一覧】(出版ニュース社『出版年鑑2000年度版』P514参照)
さらにフリーダイヤルをツールとしたテレマーケッテイングが起動し、注文書籍が受注日から2〜3日で配達される短納期化を実現している。テレマーケッテイングは、読者データベースがリアルタイムで構築され、将来的には書籍のマーチャンダイジングや出版企画データの作成に利用される潜在的な可能性が秘められている。NTTテレマーケッテイング・出版ニュース社・名鉄運輸の3社提携で立ち上がった新無店舗販売システム「0120BOOK」の概要は次のようになっている(図30参照)。
【図30 0120BOOKシステム概念図】(出所:筆者作成)
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出版ニュース社編集製作 |
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NTTテレマーケッテイング |
新聞折り込み |
読者はフリーダイヤルで注文
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→
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受注センターテレマーケッターが
人名・商品番号を端末入力
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→
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書籍カタログ発行(A5・ペラ) |
企業・大学へのDM
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このようなQR型書籍配達システムは、従来のユーザー直注システムのプロダクト・アウト型販売(出版社図書目録における利用規定の複雑性と、前金・送料の自己負担制)を打破し、無書店地域の潜在的な需要を発掘し、急成長市場に発展する可能性があるが、現段階ではアマゾン・コムのような本格的なオンライン書店は形成されていない。その理由は、第1に再販売価格維持制度によって大量仕入れ・値引き販売が不可能であること、第2に流通マージンが米国に較べて低くサービスに限界があること、第3にオンライン書店を立ち上げても流通の2大取次のチャネルに依存せざるを得ないこと、第4にオンライン書店のコンテンツである書籍データベースが未整備で在庫状況・絶版状況がリアルタイムで公開されていないことにある。
第4節 インターネット・デジタル出版の諸形態と将来予測
インターネットの爆発的な普及に伴うデジタル電子技術による出版メデイアの変貌は著しい。日本の出版社がどのようにインターネットを活用しているかを調査すると以下のような実態が現れた。
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自社の出版物の案内(検索機能含む)
オンラインでの販売
イベント・ブックフェアー案内
教育関係・セミナー案内
メールマガジン
掲示板
自費出版案内
データベースサービス
Web雑誌(PR誌のPDF提供含む)
書評情報へのリンク
バーチャルな立ち読み
アンケート
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286社(99,6%)
222 (78,0%)
57 (19,8%)
51 (17,8%)
26 ( 9,0%)
21 ( 7,3%)
18 ( 6,3%)
15 ( 5,2%)
11 ( 3、8%)
11 ( 3,8%)
8 ( 2,8%)
8 ( 2,8%)
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*紀伊国屋サイト「出版社リンク集」に登録された364社対象。異業種・交信中・工事中・リンク切れで287社集約。調査日2000年10月9日実施。
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他に、「サポート」(正誤表・出版後の関連情報・編集ノウハウなど)があるが、このデータからみるかぎり、ほとんど
の会社は、自社ホームページで自社本を案内して注文をとるという発想のレベルに止まっていることが分かる。ここでは、出版産業におけるデジタル電子化を、電子出版・電子書店・電子出版情報の3形態に整理して分析する。
1)電子出版
「電子出版」の明確な概念規定はいないが、現状では次のような出版過程の電子化を意味している。
@編集過程の電子化
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書籍・雑誌の編集過程を電子化し、文字情報のデジタル化やスキャナーによる画像情報のデジタル化をおこなう |
DTP(デスク・トップ・パブリッシング)
CTS(電算写植システム)
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Aコンテンツの電子化
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印刷媒体とCD−ROMをパッケージしたデジタル出版形態 |
三修社(1985年)
岩波書店『広辞苑』(1987年) |
Bオンライン出版
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インターネットによるコンテンツ提供
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「インターネット篠山紀信」(1989年小学館)・「電子書籍コンソーシアム」の実証実験、「電子文庫パブリ」 |
Cオン・デマンド出版
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デジタル化されたコンテンツを必要部数のみ紙に印刷・出版する
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「電写本」(紀伊国屋)・「ブッキング」(日販)
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これらの電子出版の諸形態は、コンテンツがデジタル化されているという点で共通し、編集過程の電子化と出版メデイアの電子化の連続的な過程にあり、ここでは出版過程と出版メデイア自体の電子化を対象に考察する。
出版過程の技術革新は、第1に組版単価の低コスト化にある。活字時代の組版は、養成に10年を要する職人芸であり、文字配列・漢字形態に集中する配列であり、数千字から1万数千字に及ぶ文字の置き場所を記憶し、美麗な日本語組版を製作する過程であった。従って組版労働力は、知的熟練による高賃金で工場間を移動する独立職人労働の性格が強かったが、労働集約的で組版生産力の上昇には限界があった。情報技術を導入したCTS(Computerized
Typesetting System)の開発によって、熟練労働から非熟練労働への転換が遂行され、当初はキイー一個当たり多数の文字が配列されたキイーボードによる手と足を使う入力形態で、安価な女性労働力が導入された。1970年代にひらがな変換を可能とするワープロが開発され、パソコンによるDTP(デスクトップパブリッシング)やITS等の簡易CTSが導入され、その後MACによるDTPが急速に普及した。これらの特質は、既成CTSが専用機による出力後に組版状態をみるバッジシステムを前提とする億単位のコストに対し、汎用機によるマルチステーションDTPは印刷必要設備一切を数千万円にコスト低下する画期的なものであった。この減価償却分を反映して組版定価も急速に下降したが、出版社側の価格引き下げ要求により、印刷工程の賃金低下・長時間・過密労働は逆に進行することとなった。DTPオペレーターは、編集者自身によるもの・専門職を置く・アウトソーシングの3形態があるが、印刷やデザイナーとの労働のボーダレス化を進展させた*1。しかし、印刷・出版業のDTP化に対応する工程見直し・作業標準化・最低単価基準の確立は遅れている。マルチメデイア・タイトルの開発では、文字・映像・音声を含めたオーサリング(編集)技術が要求され、オーサリングデイレクターはアウトソーシング専門職として位置づけられる。
コンテンツの電子化が電子書籍といわれており、その端緒形態であるパッケージ系ソフトは、主として専用携帯型電子書籍プレーヤーを用いる「電子ブック」(1990年発売開始ソニー)と「デジタルブック」(1993年発売開始NEC)・PCを用いる「エキスパンド・ブック」(1993年日本語版発売開始)の3形態がある。このジャンルは、検索機能付き事典・辞書が中心として、有力な売れ筋商品となっており、『広辞苑(第4版)』は1995年迄に累計70,000部が販売された(表22参照)。次に電子書籍を読者のコンピュータにデータファイルを届ける形態の出現とともに飛躍的な変化が起こり、さらに自記するオンライン書店と統合した電子書籍が出現する*2。しかし、現在の電子書籍の最大のリソースはホーメページ上でデジタル化された研究論文*3・古典などの膨大なデジタルデータであり、しかも双方向性があるため参加型の電子書籍として無限の可能性を秘めている。ここでは電子書籍が所与の被提供書籍ではなく、自由に加工・拡張できるユーザーの主導性が確保されている。
【表22 1994年電子ブックソフトの売れ筋上位10】
ネットワーク系電子出版は、電子小説・電子雑誌の分野で始まり、印刷会社と出版社の共同企画による共同事業という形態をとっている。
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サービス名 |
参加企業 |
「サイバーパブルッシングジャパン」 |
凸版と慶応大で開始、小学館・講談社・共同通信参加 |
「Ciuv・D」 |
日本印刷開始・学習研究社・山と渓谷社参加 PDF形式 |
「デジタル出版サービス」 |
凸版・講談社・三省堂で開始 |
「オンライン・デイクショナリー」 |
研究社 |
「ピーノ電子本センター」 |
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| オンライン出版物専門バーチャル書店 現在「店頭販売」40点 |
「EYE-NET」
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扶桑社オンライン書籍販売サービス・活字出版電子データの2次利用 |
「電子書籍コンソーシアム」
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オーム社・角川書店・講談社・シャープ・出版ニュース社・小学館・NTT・日立製作所・文芸春秋9社発起人となり、1998年発足、会員企業130社。1999年プレ実験後本実験開始。読書端末36万台・販売目標36億円目標(2000年)
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最後の「電子書籍コンソーシアム」は、電子化書籍を、電子情報センターから通信衛星経由で書店・コンビニ・病院・公共施設の電子書籍端末に電送し、読者はブック型携帯読書端末にダウンロードして購入するシステムである。同社は、電子化した書籍の普及について、技術標準化・流通チャネル・著作権問題を総合的に検討する目的で発足し、通産省補助を受けている。この「電子書籍コンソーシアム」が従来の形態に対する比較優位は次の点にある。第1に、コンテンツの充実である。従来の電子ブック型CD−ROMやFD、PCカードは、画像の質やコンテンツ自体に絶対的な限界があったが、「電子書籍コンソーシアム」は出版社主導で著作権代行を行い、取次も経由しない。コンテンツを画像スキャン方式からどう高度化されるかが問われている。第2に、端末機能の高度化である。シャープの高精細液晶パネルによる画像高度化、小型化・長時間・蓄積量の「Rocket
eBook」(640g、電池17時間〜33時間、4096バイト)の開発がすすんでいる。しかし価格問題では、NTTによるインフラ整備、課金システム、ブック端末の付加価値牲など未解決である。
以上のような電子書籍の可能性は、流通チャネルが[著者→出版社→電子化センタ−→配信センター]となり、紙代・印刷代・倉庫代・発送代がカットされ、大幅なコスト低減を実現するが(予測−50%)、再販制における定価制は存続する。次に地域間のユニバ−サル・サービスを実現し、無在庫・無返本・無品切れ・無絶版という電子書籍の本質は、読書端末による地域間格差を解消する。さらにコスト問題による絶版を解消し、文化保護と洋書の電子化によるボ−ダレス化を実現し、究極的には紙媒体から電子媒体へのペ−パレス化が進む。
電子出版市場は、産業構造審議会映像情報産業小委員会中間報告(1992年)では、1990年の108億円から、2015年には2兆90,108億円に急成長すると予測されている。市場調査でみると、「紙で読みたい」がいずれのジャンルでも多いものの、辞書・百科事典分野では活字出版(47.7%)と電子出版(オンライン+CD-ROM計で36.6%)がほぼ拮抗しており(表23参照)、1998年の書籍とCDやCDーROMの複合書籍の新刊点数の対前年度比伸び率は、CD-ROM106,5%・CD186,1%と急成長している(表24参照)。
【表23 新たな書籍の需要動向】(出所:産業研究所・出版文化産業振興事業団 『全国読者意識調査 1995年』)
小説・読物
実用書(ハウツー))
辞書・百科事典
児童書
美術書・写真集
学術書・専門書
雑誌
コミック
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0 20
40 60 80 100
凡例:
紙で読む CDなど オンライン どちらとも
無回答
【表24 複合書籍ジャンル別新刊点数】(出所:全国出版協会出版科学研究所『出版指標・年報1999年版』(p
299)
電子出版と活字出版を比較すると、電子出版の比較優位性は(表25参照)、[文字情報+音声情報+映像情報]を統合したマルチメデイア特性にあり、将来この3者の融合化した電子出版の概念が外延的に拡大していくと予測される。しかし出版業界では、電子出版と活字出版を対立的に捉えた消極的な評価と、未来産業として礼賛する評価もあり(「書籍の消滅」・「出版の消滅」等)、融合化によって生まれる新たな出版市場の動向は現段階では未確定である。
【表25 出版の媒体別特性】(出所:筆者作成)
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活字出版物
(紙媒体) |
電子出版物 |
| パッケージ系 |
ネットワーク系 |
長 所
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・一覧性がある(斜め読みが出来る) ・軽い、小さい
・扱いやすい(いつでも・どこでも) ・ハードシステムに依存しない
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・検索が容易である ・大容量の保存が省スペースで可能 ・半永久的な保存が可能 ・マリチメデイアによる多彩な表現が可能
・小部数出版に適する |
・CDーROMなど持ち運びや保存が容易 ・通信コストなし |
・自宅で入手可能 ・即時性に優れる ・物流コストなし |
場 所
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・厚くなるとかさばる ・少部数ではコスト高
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・ハードシステムに依存 ・デイスプレイが見にくい ・ハードが大型でかさばる |
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・著作権処理が困難(複製が容易 |
存立・普及 条件
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・紙資源が豊富なこと
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・ハードの普及 |
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・通信料金の大幅低下
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将来の電子出版のマルチメデイア化は、従来の伝統的な[出版ー取次ー書店]の3層システムの融合化を誘発し、従来の出版流通システムに巨大な変容をもたらす潜在的な可能性を秘めている。
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出版社 |
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・情報融合に対応する
企画・編集機能強化
・標準化、課金システム
・電子出版編集技術
・DTP、PC技術
・ソフト著作者育成
・デジタル著作権整備
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取次会社 |
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・パッケージ系流通チャネル確立
・ネットワーク系流通チャネル整備、情報媒介機能強化
・ネットワーク、DB技術
・ソフト技術
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書店 |
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・情報提供総合拠点化
・マルチメデイア対応複合化
・電子出版リテラシー
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【電子書籍URL一覧】(出版ニュース社『出版年鑑2000年度版』P484参照)
2)電子書店(オンライン書店・インターネット書店・サイバー書店・電脳書店)
(1)電子書店の類型と諸形態
電子書店の呼称は多様であり、定義も確定されていないが*1、ここでは@デジタル情報ではなく、紙媒体という実態商品である書籍を販売し、Aオンラインによる検索・発注が双方向で行われ、Bユーザーに配送されるという条件を満足しているものとする。つまり、電子書店は、コンテンツの電子化ではなく、印刷メデイアとしての書籍をインターネットを媒介に販売する業態を意味する。出版関係のECサイトでは、1995年7月に世界で初めてオンライン専門書販売をスタートさせたamazon.comが、米国書籍販売大手10社に入る急成長を遂げ*2、さらに顧客に代わって条件に合う商品を探してくれるエージェントサービスや個人間のオークションを扱うサイトなど新たな電子販売形態も出現している。電子書店登場の背景には、1986年に客注問題を解決するために開始された書籍宅配サービスの決定的な限界であった非在庫本をも扱うAmazon.comの設立(1995年)と成功がある。既存書店における書籍の探索精度と返品制による在庫問題によって、読者の多様なニーズにフレクシブルに反応し得ない現状を打開する販売形態として登場した。電子書店の比較優位性は、第1に、アクセス形態の利便性(自宅で24時間アクセス機会可能)と、無書店地域・障害者・配本難地域へのユニバーサル・サービスが実現すること、第2に既存書店の店頭空間の制約・経営コストから解放されること(人件費・倉庫保管料など)、第3に事実上無限のデータベースによる探索効率性が実現すること、第4にグローバルな販売機会の拡大と、大規模な顧客囲い込み戦略を実現しうることなどである。しかし電子書店の弱点は、第1に書籍そのものと直接的な接触ができないこと、第2に決済方法の技術問題、第3に再販制による定価強制にある(第3点の定価制は別述する)。
日本の電子書店を段階的に区分すると、第1期は、amazon
comに対抗した紀伊国屋・丸善・三省堂などの大手チェーン書店のWEBサイトによる販売(1996年)、1999年の文教堂チェーンや、新刊書籍データベースの作成や図書館納入中心の図書館流通センターのブックサービスが立ち上がった時期であり、第2期は1999年頃より、取次・流通業者が中心となったオンライン書店(イー・ショッピング・ブックス*3、本の探検隊・本やタウン*4など)が立ち上がった時期で、単行本を単冊で配送するシステムが導入された。
【紀伊国屋BOOK/WEBシステム概念図*5】 【BOOK/WEBホームページ凡例】
つまり日本型オンライン書店は、既存書店か既存の通販社(無店舗書店)のオンライン販売部門であり、街頭書店の補完的拡張の側面がつよい。
オンライン書店を設置主体・店舗の存在・対象書籍(和洋書)を基準に分類し、それぞれの比較優位性と限界をを考察する(図31参照)。
【図31 オンライン書店の設置主体・店舗の存在・対象書籍別分類】
●設置主体による分類
(イ)単独型オンライン書店
@書店主体型:「Kinokuniya Book Web」・「丸善インターネットショッピング」・「barnesandnoble.com」
A取次主体型:「本の探検隊」(トーハン)・「本やタウン」(日販)
B出版社主体型:「ShogakukanOnline」(小学館)・「講談社Book倶楽部」・「主婦の友社shufunotomosya.co.jp」
C宅配業者主体型:「ブック・サービス」(ヤマト運輸)
Dその他:「BOOK CLUB本屋さん」・「Amazon.com」(ベンチャー系)
(ロ)複合型オンライン書店
@書店+その他企業:「スカイソフトインターネットBook」(文教堂・旭屋書店・東洋情報システム)
A書店+宅配業者+その他企業:「JBOOK」(文教堂・日通・ブルースターマーケッテイング専門集団)
B取次+その他企業:「eーShopping!Books」(トーハン・ソフトバンク・ヤフー・セブンイレブンジャパン)
●店舗の存在による分類
(イ)店舗あり
@ 店舗→オンライン書店:「Kinokuniya Book Web」・「丸善インターネットショッピング」・「barnesandnoble.com」
Aオンライン書店→店舗:「Book ClUB 本屋さん」(霞ヶ関ビルに「本屋さんSalon」設置)
(ロ)店舗なし:「本の探検隊」・「ブックサービス」・「本やタウン」・「Shogakukan
Online」・「講談社Book倶楽
部」・「主婦の友社shufunotomo.co.jp・「Amazon.com」・「e-Shopping!Books」
●取扱書籍による分類
(イ)和書+洋書:「Kinokuniya Book Web」・「丸善インターネットショッピング」
(ロ)和書のみ:「本の探検隊」・「本やタウン」・「Shogakukan
Online」・「講談社Book倶楽部 」・「主婦の友社
shufunotomosya.co.jp」・「ブックサービス」・「Book
CLUB 本やさん」・「JBOOK」・「e-Shopping!Books」
(ハ)洋書のみ:「スカイソフトBook Store」
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書店が開設した電子書店は、既存の書店販売チャネルの拡大にあり、蓄積してある在庫管理とロジステックスのインフラとスキルを活かすことができるが、従来の書店販売チャネルとのサービス・バランスの調整の問題がある。取次が開設している電子書店は、直接配本による待機時間が効率化し、配送料金が不要となるが(系列書店で受け渡し)、指定書店の量と営業時間の制約によって、都市圏域でしか稼働困難な点がある。出版社が開設した電子書店は、自社書籍の直送による配本時間の効率化と、出版社の在庫圧縮という優位性があるが、この形態が拡大すると書店経営を圧迫するという問題がある。宅配業者が開設した電子書店は、製版直結による配送時間の効率化を実現できるが、配送コストを読者が負担しなければならない。複合型の電子書店は、経営・
物流・決済を分担するノウハウと、顧客の利便性を極大化することができ、複合企業における系列化がより強まる可能性がある。
(2)日本型電子書店における競争優位性と検証実験
日本型電子書店の形態は、規制の書店流通システムにどのような変容を及ぼすであろうか。第1に、電子書店は、和書について「再販制」は適用されるが「委託販売制」は適用されない。顧客の注文から販売行動が開始されるから、落丁・乱丁を除いて原則として返品は発生しないので、在庫率と返品発生率を低下させることができる。しかし、日本の電子書店は、再販制下において製品価格競争は排除されるから、[定価+送料]の送料部分とサービス(需要感応性・配送効率性)の差別化が競争優位をつくる。
先記した日本型電子書店の諸形態のどれが、最も競争優位性を構築できるかを予測するために、実際に下記のような評価項目を設定し、実際に試みた実証実験の結果をみてみる。
[対象書店]
@和書+洋書 「Kinokuniya Book Web」(出版社ー取次ー書店、送料480円、洋書値引販売)
A和書 「JBOOK」(出版社ー読者、送料280円)
B洋書 「Amazon.com」(洋書値引販売)
[評価項目]
@オンライン書店のトップページのデザイン・機能(アクセツ率に反映すると仮定する)
A品揃え(データベースのアイテム数)
B書籍情報の網羅性(価格・品質)
C顧客対応
D配送方法・配送時間
E送料・その他諸経費
F支払い・決済方法の利便性・セキュリテイー
[対象書籍]
@蒔田陽平・堀田康子『彼女たちの時代』(扶桑社
1999年 378頁)
ASheldon,Sidney『The Naked Face』(New
York,Warner Books,1985,316P)
[実施時期] 1999年10月25日同時刻
[実験結果]
「Kinokuniya Book Web」のデータベースは膨大なアイテムで、書籍の概要・検索はできるが、すべて在庫 があるわけではなく、絶版本も収録されており、書籍を検索して発注はできるが、品切れ判明までに22日を要 し、該当書店と大差ないことが明らかとなった。つまり発注プロセスは効率的であるが、「書店ー取次ー出版社」
チャネルによる在庫確認にロスタイムが生じ、発注者への通知と配本が遅くなる。洋書の場合は、アマゾン・コム
は10日後に配本されたが、「Kinokuniya Book
Web」は16日後に到着した。つまり、後者は紀伊国屋書店内 以外の在庫状況把握に時間がかかり、配送時間が遅れるのである。
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以上の実証実験から電子書店のマーケッテイングは、次のように評価することができる。
第1に、会員登録制度を設定して入会金・会費を求める形態は、顧客のアクセス率を下降させる傾向がある。第2に、「トップページのアイテム」は、利用案内・仮想書棚・新着情報・ベストセラー・ジャンル別インデックスなどがあるが、読者を誘引するイベント・提案・プロモーションなど多様なコンテンツが求めらる。さらに煩瑣にきめ細かい更新をおこない個性化を強化すべきである。第3に、「品揃え」をデータベース収録点数からみると、「Kinokuniya
Book Web」は和書150万点、洋書200万点
であり、「JBOOK」jは和書140万点、「Amazonn.com」300万点であるが、ここで注意すべきは収録点数≠在庫点数ではなく、絶版本がコンテンツに算入され、品切れ・絶版情報が必ずしも顧客に精確に提供されていない点がある。第4に、「支払い・決済方法」は、イ)クレジットカードのみ、ロ)クレジットカード+代金引換、ハ)クレジットカード+小切手+国際為替郵便の3形態があるが、顧客の選択機会をより拡大する形態を保障すべきである。第5に、「発注方式」は、ショッピングバック方式が一般的であるが、より一層利便化する必要がある。第6に、「検索機能」は、書名・著者名・出版社名・分類・出版年月・ドラマ名・CM名・メーカー名・主題名・紹介文・略語・関連語・ISBN・ジャンル・年齢(児童書)など多様な検索項目があるが、多種類の検索項目を需要感応型に配列する必要がある。第6に、「書籍情報の網羅性」は、著者名・出版社名・定価・発行年月日などの基本的事項に加えて、内容の要約・類書案内・分野名・在庫情報・難易度・対象読者層・同一著者の他作品・関連書評などの付加価値を追加すべきである。「検索機能」は、「Kinokuniya
Book Web」が検索キーワードによる書籍探索が基本であるのに対し、「Amazonn.com」はリンク機能を媒介に、或る書籍から類似情報への効率的なサーフィンが可能で、読者の多様なニーズに対応している。第7に、「送料」は、洋書の場合に国際便配達料金と書籍値引きが相殺される。第8に、「諸経費」は、入会金と海外取り寄せ手数料の価格競争が焦点である。第9に、「顧客対応」については、発送通知メール・キャンセルメール・注文受付メール・配達完了メール・顧客データによる推薦書籍メール・新刊メールなど多様な顧客対応が求められる。さらに、配本時における返品ポリシーとクレーム記入可能な納品書・返品保証書や、ポストイット・しおりの添付など付加価値を添付すべきである。
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書 店 名 (発足年) |
内 容 概 略 |
シテイネットライン (1994年)
アマゾン・ドット・コム
デオデオ
三省堂書店
MARUZEN Internet(1995年)
ブックサービス
ISIZE BOOK
セブン・ドリーム・ドット・コム
eS-Books
紀伊国屋Book WeB
BOL(ビーオーエルジャパン・ベルテルスマンオンライン)
bk1(ビーケーワン)
HP利用の情報提供
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ドームがニフテイーサー・ボイスメール・栗田出版・佐川急便と提携、
取扱書籍数約30万点、月売上高2000万円
従業員70人・110万冊・年商185億円,旧ダイイチ=広島 科学技術関連洋書30万冊
和書140万冊・洋書280万冊
月売上高3300万円
親会社ヤマト運輸の宅配利用・月売上高6000万円
リクルート
NEC・野村総研・ソニー・ソニーマーケッテイング・三井物産・JT・キノトロープ・セブンイレブン8社合弁
トーハン・ソフトバンク・セブンイレブン・ヤフー4社共同
和書130万冊・洋書200万冊 月売上高1億5千万円
ドイツのメデイアコングロマリットで世界14各国で事業展開、BOLは全額出資であるが角川書店出資、和書と音楽CDを扱う
図書館流通センター(TRC)・日経BP・日本経済新聞社・アスクル・富士通・電通・NTTーXの7社出資
POSネット(小学館)・インターネットフォーカス(新潮社)・Web現代(講談社)・まぐまぐ・青空文庫
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【電子書店URL一覧】(出版ニュース社『出版年鑑2000年度版』P485〜486参照)
電子書籍販売の比較優位性をAmazon.comにみると、第1に書籍という商品特性(同一商品であればどの店で購入しても同じである・商品数が膨大で店頭品揃えと販売に限界がある・購買のための著者情報などが求められる等)が、検索可能な豊富な情報量・時間制約がない等によって発揮され、第2にインターネットによる国際展開が容易であること、第3に店舗維持コストや販売人件費コストの極小化既によって、高い値引率を実現する等がある。
しかし、日本の電子書店は、売上高は伸張しているが全売上高に占める割合は低く(年間40〜50億円 全体1兆円)、アマゾン・コムのような本格的なオンライン書店とはなっていない。その理由は、第1に再販制による定価販売制によって大量仕入れによる値引きが不可能なことにある。現段階では、流通マージンのレベルを上回ったサービスは提供できない。第2は、取次寡占による仕入れ依存システムによって、取次在庫が決定的な意味を占めているからである。さらに該当書店とほとんど変わらない配本時間を生む。第3に、オンライン書店の書籍データベースが未熟なことにある*1。この背景には、出版社の在庫管理が未成熟で、在庫・絶版などのリアルなデータがオープン化されていなかったところにある。第4に、日本の電子書店は、ほとんど会員登録を要求し、またリンク機能をフルに生かしていない点がある。
従って日本の電子書店の将来的な展望は、会員登録制度の廃止・書籍情報の網羅性の上昇・トップページの充実という即時に実現できる改善を果たしたうえで、次のような戦略が求められる。第1に、在庫情報の精度を高める「出版社ー取次ー書店」情報ネットワークの構築である*2。第2は、配送合理化であり、書籍を共同管理する大型共同倉庫による在庫管理コストの低減と集品効率化を実現し、短納期のシステムを実現する必要がある。第3に、送料と諸経費の軽減である。
次に中小零細書店と中小出版社にとってのオンラインの可能性を検討する。東京都書店商業協同組合青年部が主体となって設立した「TS(東京書店)流通協同組合」(135店参加)は、書籍客注本の迅速化と入荷日の明確化をめざし、書店がインターネットで独自集品し、各書店へ独自の配送ルートの開発をおこなう独自集配システムと「eー本屋BOS」を立ち上げている(データベースは、書協が公開するBOOKSを利用する)。TS流通協同組合は、出版社400社に取次出し正味と優先出荷を要請し、取次寡占の打破と客注問題を解決するオンライン共同化の先駆的な形態である。
インターネットによる読者・書店の検索と注文・出荷をめざす中小出版社の共同化オンラインシステムである「版元ドットコム」が2001年7月に立ち上がった(ポット出版・青仇社・凱風社・第三書館・太郎次郎社・批評社の共同運営)。ホープページは、内容から本の検索が可能で、読者は送料無料・決済は郵便振替で、書店からの注文は会員制で80%出し・送料版元負担となっている。「版元ドットコム」は、読者への情報提供・販売と同時に、版元自身が書誌データと内容データを取次・書店に提供し、書協BOOKSへのデータ提供をおこなう。
以上の2例は、従来の出版流通システムを再編成し、取次寡占を打破する可能性をはらんでいるが、何れも首都圏に限定され、またフォーマットの統合など問題がある。
3)オン・デマンド出版
現在ブック・オン・デマンドの試行実験としては、「Open
eBook構想」(アメリカ)と通産省が支援する「電子書斎コンソーシアム」(1998年 加盟140社)が立ち上がっている。オン・デマンド出版は、従来の印刷媒体による見込販売とパターン配本による返品や在庫問題を一掃し、QR供給を可能とする。オン・デマンドは、従来型の店頭における閲覧機会と購入機会の保障を奪い、取次と書店の存立をゆるがす可能性を秘めている。しかし、ユーザーのデジタル・リテラシー格差による書籍の選択機会の格差は、出版文化の享受と創造過程への参加機会のデバイドを誘発する可能性もある。 こうした出版流通の電子化は、従来型出版産業の生産システムにも大きな技術革新をもたらしている。第1に、出版技術におけるプロセス・イノベーションとして、高速オフセット輪転印刷機・電子製版技術(PDIスキャナー)・自動製本システムの導入を推進し、第2に、編集プロダクションのアウトソーシング化が推進されている。フォーデイズム型少品種大量生産によって寡占的地位を確立した大手出版社は、多品種少量(書籍)と多品種大量(雑誌)を統合した出版経営の現代化を図っている。
電子出版・オンライン書店・オンデマンド出版等のデジタル出版の進展は、日本の出版産業にどのような変化をもたらすであろうか。第1に、再販売価格維持制度のゆらぎである。全国一律の定価制を確立している再販売価格維持制度は、基本的に印刷媒体を前提として成立してきた。印刷媒体からデジタル化された電子情報に対して、ユーザーは安価な価格設定を期待する*3。第2に、系列化・異業種参入・外資参入が急速に進展する。デジタル出版における膨大な初期投資は、出版社にとっての大きなコスト負担をもたらし、この負担を打開するために、編集部門への特化や、販売・物流部門のアウトソーシング、さらに出版業のコングロマリット化(複合企業)が予測される。第3に、流通チャネルにおける取次と書店の相対的な地位低下が進展する。印刷媒体の流通チャネルにとっては、従来型の[出版ー取次ー書店]の三位一体システムが有効であったが、電子媒体によるデジタル出版は、複数の出版社のコンテンツを共通のインターフェイスで提供する新たな中間業者を登場させる。既成の取次と書店が、新たな流通チャネルを自ら構築できるかどうかは、未知数であり、従来の流通チャネルの中抜き現象が進むが、さらに、返品・品切れ・絶版がないデジタル出版は、コンテンツの流通システムの再編を誘発し、究極的には取次と書店の消滅論が登場する。しかし現状では、通信インフラにおける速度・料金問題や、著作権保護問題、決済方法の技術問題が未解決であり、ここに電子出版の限界がある。
出版産業の電子化は、従来型出版業の生産システムにも大きな技術革新をもたらしている。第1に、出版技術におけるプロセス・イノベーションとして、高速オフセット輪転印刷機・電子製版技術(PDIスキャナー)・自動製本システムの導入を推進し、第2に、編集プロダクションのアウトソーシング化が推進されている。フォーデイズム型少品種大量生産によって寡占的地位を確立した大手出版社は、多品種少量(書籍)と多品種大量(雑誌)を統合した出版経営の現代化を図っている。
4)デジタル・アーカイブと電子出版企業
以上はデジタル技術を駆使した出版形態の電子化であり、従来の出版企業の営業形態の高度化を意味するが、学術領域におけるコンテンツの非営利的なデジタル化とオープン化が急速に進み、従来の復刻出版に影響を与え、次のような学術機関や図書館所蔵の貴重書のWebにおけるオープン化が進んでいる。
事例) 奈良女子大学画像原文データベース(http://www.lib.nara.-wu.jp/nwugdb/)
神戸大学デジタル新聞記事文庫(http://.lib/kobe-u.ac.jp/sinbun/)
山梨県立図書館デジタル甲州文庫(http://www1/lib.pref.yamanashi.jp/)
日本社会学会(社会学文献情報データベース)(http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jes/)
日本独文学会文献情報レジュメデータ(http:/wwwsoc.nacsis.ac.jp/jss/)
日本社会心理学会会員検索システム(http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jssp/)
学術資料のデジタル・アーカイブ化は、「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について」(1996年)と生涯学習審議会社会教育文化審議会計画部会図書館専門員会「図書館の情報化の必要とその推進施策についてー地域の情報化推進拠点として(報告)」(1998年)によるパイロット電子図書館実証実験によって、補助金が支出される公共事業で無料であり、接続料・電話代のみで従来の高額の復刻版にアクセスできる。従来の貴重本を復刻出版していた企業は打撃を受け、所蔵資料のデジタル化支援ビジネスも、参入ノウハウと技術を持つ出版社は少ない。こうして、高額で空間を占める復刻出版形態は終焉を迎えつつある。しかし現状では、各機関のデジタル・アーカイブのオープン化は分散的で、タイトル・著者・キイーワードで横断的に検索できるポータルサイトはない*1。学術出版電子化の可能性は、分散しているデータや資料の横断検索を可能にし、画像データ(デジタル・アーカイブ)が時空を超えて自由にアクセスできる可能性を拓いている*2。逆にアナログ出版は、紙媒体による文字情報でしか表現し得ないコンテンツを提供する専門領域に特化した性格になると予測される。
この象徴的な事例が、知識ストックの体系であるエンサイクロペデイア(百科事典)である。大英百科事典第11版では、「大英百科事典の最も古い版(1745〜1785年)においては、それ以前の百科事典と同じように、1人あるいは2人の手で、人類の知識の全体にわたって編集することができた。しかし、1788年の第3版からは、はじめて専門家の知識を引き出すというやり方が採用されるようになった」と編集方針の転換を述べ、知識の膨大化に対応する編集作業の大規模・組織化に踏み切った。現在では大英百科事典はデジタル・アーカイブ化され、成長・自己更新する自己増殖型エンサイクロペデイアとして、ファイル化・改訂付録版・購入者に対する情報サービスと、検索システムの高度化及びインターデイイプリナリーなフロンテイア分野の再編成という課題が提起されている。
第5節 新たな日本型出版流通チャネルとグローバル・チャネルの形成
1)日本型出版流通情報ネットワークの形成
出版産業における情報ネットワークは、取次会社が個別に構築しているものと日本書店商業組合連合会(日書連)が運営している「バードネット」がある。書店のネットワーク化率は約10,0%、取次会社のネットワーク化率は約7,1%、出版社のネットワーク化率は約0,8%に過ぎず、いずれも資本規模の大きい企業が中心で、中小零細規模の企業の参加は遅れている(図32参照)。取協・書協VAN推進会議の「業界統一VAN構想(案)」が検討段階にあり、紙・印刷・運輸等の関連他産業とのEDI標準化*1が求められている。
【図32 出版産業のネットワーク化の現状】(出所:取協・書協VAN推進協議会資料より作成)
出版社の在庫情報の電子化は、約400社が参加しているが(4,487社中 1995年出版ニュース社調査)、取次へのオンライン在庫情報の提供数は37社(1%以下)に過ぎない(1995年 日本出版販売株式会社調査)。取次が、書店との独自の情報ネットワークを構築しているのは、5社(トーハン・日販・大阪屋・栗田・太洋社 72社中 1995年新文化通信社調査)に過ぎなく、取次会社が書店に設置している情報端末機器台数は表26の通りであるが、操作機能上の問題が指摘されている(表27参照)。
【表26 情報ネットワーク端末の設置状況】(出所:1995年文化通信社調査より)
【表27 情報端末機器の操作性への意見】(出所:1996年文化通信社調査より)
日本書店商業組合連合会(日書連)は、1989年にSA化のテストランを首都圏5店で開始したが、先行している取次VANとの統合が難航し、当面はPOSシステムと国立国会図書館製作のMARCを収録したCD-ROMに絞られている。情報端末によるレファレンス・サービスを提供している店舗は、約2,600店(日本書籍出版協会・日本雑誌協会『再販制の意義』1995年)であり、全書店数約26,224店(通商産業省大臣官房調査統計局「平成6年度商業統計速報」1995年)の約10,0%であり、出版ー取次ー書店ー読者の双方向性を実現するトータルな出版情報ネットワークの構築が求められるが(図33参照)、管理面のトラブル処理とセキュリテイーが整備されていない。
【図33 出版文化産業における出版情報ネットワークの概念図】(出所:筆者作成)
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統一出版情報
データベース
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情報ネットワークセンター
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読者向書誌情報
データベース
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書誌情報 売上情報 配本情報 発注情報 発注情報 納期情報
発注情報 書誌情報
在庫情報 発注情報 納期除法 在庫情報 売上情報 在庫情報
検索照会 在庫情報
新刊情報 書誌情報 書誌情報
新刊情報 新刊情報
売上情報
EDI EDI接続 EDI接続
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翻訳会社
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印刷会社
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EDI
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運輸
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EDI
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CVS
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製紙会社
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EDI接続
関連他産業との情報ネットワーク |
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2)出版産業におけるEC(電子商取引)の展開
EC(Electronic Commerce)とは、オンライン・ネットワークを利用した商品開発・原材料調達・仕入れ販売・見積もりなどの取引条件の交渉と契約、受発注から代金決済に至る全ての過程の商取引を電子化することを意味し、、企業間取引のEDIと消費者対象ビジネスの電子化による連結でもある。EC化による将来の出版市場は、急成長の可能性がある(表28参照)。
【表28 21世紀初頭の出版産業を中心とするECの進展】(出所:筆者作成)
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1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
■ISP値下げ・定額制サービス開始・無料プロバイダー出現
■トーハン・セブンイレブン
による新刊書取扱開始
■新刊書店の激減
(2000店→15000店)
■10万円PC出現
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■ISP値下げ・定額制サービス・無料プロバイダーの本格的普及
■新刊書店の淘汰
■5万円PC登場
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■定額制サービスの一般化
■再販制度廃止
■大型古書籍店の新刊書取扱
■新刊専門店の更なる淘汰
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■新刊専門店の極小化
■ネット書店の淘汰
■ECの急展開
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このような出版市場におけるECの進展の背景には、産業構造全体のECの驚異的な進展がある。 ECの市場予測は、ECの定義(範囲)と調査方法・調査期間によって異なり、通商産業省の2003年予測(表29参照)とECOM予測では、3〜5倍の差異がある。同様に、B
to C(企業ー消費者)では、3〜5倍の差異があるが、日本のBtoC市場は、米国の約1/35で5年の遅れがあり、これが2002年には約1/10に拡大すると予測されている。
日本のECサイトは、14,443(1999年7月現在)で毎月200程度の新規サイトが出店している(表30参照)。
インターネット利用者に占めるインターネット・ショッピング利用経験者の割合は、1995年調査では10%に過ぎなかったが、1999年調査では50%を越えるに至っている(情報通信総合研究所調査)。インターネット・ショッピング経験者の1999年の平均購入回数は3,76回であり、購入経験者の32,4%は「年間4回以上」のリピーターである(同上調査)。
1999年にインターネット・ショッピングで購入した商品は、「書籍」が25,8%で最も多く、次いで「コンピュータ関連機器」25.4%・「日常食材以外の食品」18,2%・「パッケージソフト」17,7%・「衣類・ |
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【表29 日米BtoB(企業間)ECの市場規模予測】
【表30 日本のECサイト(専門店)出店数】
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ファッション洋品」17,0%と続き、書籍市場における電子販売の可能性を示している(表31参照)。
インターネット・ショッピングで購入したい商品は、男性では「コンピュータ関連機器」35,9%・「書籍」26,4%であり、女性では「衣類・ファッション用品」23,6%・「書籍」24,9%と何れも書籍は上位にある(何れも同上調査)。
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【表31 インターネットショッピングで購入した商品】
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3)グローバル出版情報ネットワークの形成
出版産業の国際化に対応した国際VANの利用が拡大し、通商産業省『90年代の流通ビジョン』は、「国際的総合流通センター」・「ワールドショッピングシステム」構想を提起しているが、既にインターネットを媒介とする学術論文の提供・海外図書館へのアクセスは可能であり、今後は日本語文献の英語提供(翻訳機開発・翻訳家育成)・出版情報誌提供*1の発信が課題となってくる。
輸入書の価格設定についてみると、[原価(直前3ヶ月の平均為替レートで換算)+諸経費(輸入経費・販売促進費+在庫費用+マージン]によって日本円価格が設定される。輸入書は、読者層が限定され、返品が困難であり、回転率やと取り寄せコストと時間的障壁によって、地方読者の購買機会が奪われている。この輸入書市場へ異業種が参入し、低価格・短納期による提供をおこなう事業が試行されている。例えばダイイチは、米国スタンフォード・ブックストアの書籍販売権を取得し、InterSpinを活用した受発注システムを採用して、電話・FAX・PC-VAN・NIFTY-Serve等のPCネットからの受注により、数ヶ月要していた納期を1週間から1ヶ月に短縮し、当日の為替レートを即座に反映する価格設定によって低価格を実現させている(図34参照)。
【図34 ダイイチの輸入書籍販売概念図】(出所:ダイイチ資料より筆者作成)
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D&I |
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NIFTY
PC-VAN
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INTERSPIN
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航空機
船舶 |
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電話 DAIICHI
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従来の一般的洋書価格:出版国小売価格×換算率
D&Iの価格体系:
出版国の小売価格×当日為替レート+手数料30%
参考例
小売価格 一般価格 D&I 差額
100$ 19,000円 13,780円
5,220円
送料
会員は50$以上無料50$以下は一律500円
一般は100$以上無料100$以下は一律800円
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海外への日本出版情報は、英文情報誌以外に国際ブックフェアーへの出店がある*2(表32参照)。 東南アジアでは、正規出版された日本の漫画雑誌(表33参照)ではなく、日本のコミック本を中心とした海賊本の氾濫と知的財産権の侵害が広汎に頻発し*3、1992年にアジア・太平洋出版連合(APPA)が「著作権思想の徹底的な啓発、普及及び保護」を打ち出し、同年の中国のベルヌ条約・万国著作権条約加盟と台湾の著作権法改正などの知的財産権保護が推進されている。
【表32 日本のODA国際図書展への出店回数推移】(出所:出版文化国際交流協会『PACE40年の歩み』(1994年)
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年 度 |
1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 |
出展回数
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8 25 19 15 16 19 18 23
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【表33 アジアで正規出版された日本の漫画雑誌】(出所:アジア太平洋出版連合資料より)
このような国際ネットワークに対応した出版企業の国際戦略は、製造業に見られる従来型のグローバリゼーションである販売・製造拠点の海外展開という形態から、事業基盤自体の国際化や海外地域別戦略というグローカリゼーションへの再編成へと発展している。 このなかで、企業情報ネットワークは、本社業務のアプリケーション・システムの外延拡大から、海外拠点固有のアプリケーションとの複合的なネット構築へ変容する(図35参照)。これは、既成の本社へ情報を集中させる国内完結型垂直ネットワークから、インターナショナルな水平型ネットワークへの再編成であり、以下のような特質を示す。第1に、国家の壁(通信事情・法制度・異機種)を越えた通信機能の標準化・等質化をもたらすボーダレス性、第2に、タイムゾーンを超越する24時間運用を実現するシームレス性、第3に、インハウス資源の対外開放とセキュリテイー環境を整備したオープンシステム性である。
【図35 企業のボーダレス情報ネットワークシステム概念図 事例:製造業】(出所:筆者作成)
*1 出版業は『日本標準産業分類』(総務庁統計局統計基準部)では大分類F製造業で、「新製品の製造加工を行い、新製品を主として卸し販売する」ことを要件としているが、出版業には「新聞社・出版社は自ら印刷を行わなくても発行・出版の業務を行っていれば製造業とする、ただし新聞社の支局・出張所などで主として供給を行うものは製造業としない」という注記がある。実体論的には大分類Lサービス業(「知識・情報を生産・提供し、またはこれらに係わる技能・技術を提供するサービス」)の要素もあり、また最近のITによるサイバー出版などは大分類Hの運輸・通信業の要素もある。極小の設備投資で極大の利益率を追求できる産業構造を持つ出版産業は、製造業一般と売上高などの比較分析をすることがほとんど意味をなさない産業構造の独自性を持っている
*2 日本型書籍出版産業の戦後的制度条件としては、再販売価格維持制度と委託販売制による返品制がある
*3 1998年現在で証券市場に上場しているのは、学習研究社・丸善・ソフトバンク(以上東京一部)・」角川書店・昭文社(同2部)・ベネッセコーポレーション(大阪一部)・文溪堂(名古屋2部)であり、店頭登録しているのは中央経済社・アスキー・翔泳社など少数である
*1 1603年(慶長8)に京都・富春堂による古活字本『太平記』40巻の刊行、1608年(慶長13)京都町人・中村長兵衛による『五家正宗賛』などの禅宗関係書の開板、1609年(慶長14)京都本屋新七の『古文真宝』10巻2冊刊行など民間出版が盛んとなった。江戸初期の出版の中心は、仏書・儒書が多く、寺院・個人が蔵版する版木や木活字を借用して開板した。1626年(寛永3)頃より出版形態は活字版から整版に移行し、大量出版が可能となった。寛永期(1624〜43)の20年間で出版に関係した者は101名に上る(奥野彦六氏)。
*2 1672年(寛文12)の西廻り海運による江戸・大坂の全国商品流通市場の成立は、出版販売業に大きな影響を与えたが、直接の契機は井原西鶴「好色一代男」であり、次いで近松門左衛門等の町人層対象の新たな書籍が流通していく背景には寺子屋増設による識字率向上であった。1715年(正徳5)の京都人口35、0170人で200軒の本屋が主として上流知識人を対象に営業したが、大坂は新興書籍商が庶民対象の重宝記・万宝等の農村を含む広範な販売チャネルを拡大した。寛文年間より京都・大坂の有力書籍商が江戸出店し、本屋仲間組織が慶安年間に形成され、1721年(享保6)に幕府により公認された。
*1 書籍の全国的流通の契機となったのは、幕府の御用書籍商である須原グループの寺子屋用教科書出版であり、文政天保期には須原独自の教科書目録を作成され、強力なマーケッテイング活動が展開された
*1 これは改造社版『現代日本文学全集』の予約販売を契機として始まった円本ブームの後処理という性格もあった
*1 委託販売制の歴史的成立の厳密な考証はできないが、『日本出版百年史年表』(日本書籍出版協会)によれば「従来買切制が主であったが、大学館が東京市内の小売書店に対し3〜5部を委託し月に1〜2回回って売れた者の代金を受け取り、また補充する方法をとったのが始まりという。その成績が良く日本書院をはじめ中小出版社がこれを倣い・・・・(略)」を根拠とする。
*1 大正末期に雑誌元取次7社のうち文林堂が大正中期より整理に入り、1919年良明堂が廃業、1925年には至誠堂が倒産し、至誠堂の業務清算会社である大誠堂が設立され、大誠堂と整春館・上田屋雑誌部が合併して大東館が設立され、ここに東京堂・東海堂・北隆館・大東館の4大取次による雑誌市場の寡占体制が成立した。それに次いだのが雑誌部門を大東館に譲渡した上田屋と、新興の社会科学書中心で急成長した栗田書店があった
*1 東京堂は今まで販売係を方面別に雑誌を甲(東京駅発)と乙(上野駅発)として連番で分割発送をおこない、書籍は単純な連番で、郵便小包は丙による連番で合計36番の36名編成で発送業務に当たっていたが、昭和初期には雑誌50番・書籍15番へと増大し、一つの番線(担当1人)で50〜100書店を担当し、発送予定表(輸・配送ダイヤ)の作成がおこなわれるようになった
*2 東京堂の場合、7・8掛、7・9掛、8掛の3段階であり、注文品は定価の5%上乗せをした
*3 取次は安い正味で買切り、書店に通常正味で卸す差益を追求するが、入銀を回避した書籍がベストセラーになった場合の高正味のリスクも負い、商品に対する目利きが必要とされた。入銀制は大正後期に仕入部数の半分の返品を認める返品条件付きとなり、委託販売制への移行とともに消滅した
*4 一手独占契約は益文堂と白水社、浅見文林堂と内田老鶴圃、栗田書店と社会科学系小出版社にみられた形態で、受注集中化により入銀より安い正味となるが、責任販売・積極販売のリスクも背負った
*1 国家政策としての新体制運動は、1940年の基本国策要項による国民生活新体制要項にはじまるが、実態としては1937年の国民精神総動員実施計画要項による内閣情報部設置及び内務省警保局図書課と出版社の出版懇話会発足により、出版業界の戦争体制への協力が開始され、商工省の用紙20%削減の要請がなされた
*2 ここでは、1938年の東亜新秩序建設声明=高度国防国家体制=国家総動員法のトライアングルによる出版報国をめざす一切のシステムを出版統制といい、ナチス国家システムをモデルとして構想された
*1 人口密度・文化施設・交通量・産業立地等の指標による地域出版物適正配分率を決め、その配分基準によって最適配本を実現し、地域内書店の最適配分を遂行する書店の共同仕入れを「共仕体」によっておこなった
*2 統制会社は高度国防国家構築に向けた国民経済計画化(統制)のために、或る産業分野内にその産業を統制する強力な中心的企業を配置することをいう
*1 戦後出版自由化に伴う出版社数の推移をみると、1946年(昭和20)300社→1946年(昭和21)2,459社→1947年8昭和22)3,446社→1949年(昭和24)4,581社と激増したが、1949年を画期として戦前派出版社が復活した
*2 大洋社のみが何れにも属さぬ新規参入業者であり、戦後出版流通組織の全く新たなタイプであった
*3 日配が集配法指定を受けた理由は、@全国取次業統合による経済力集中、Aの出版物全国一元的配給統制会社としての独占的支配力、B敗戦後の配給統制機能喪失後のシェアー、C日配販売チャネルの圧倒的な支配力など競争企業の出現を許さない状況(『栗田出版販売75年史』)
*1 GHQの基本戦略は「日配の閉鎖は完全閉鎖であり、これに代わる機関の出現を期待しない・・・・・なるべく沢山の新会社の出現によって配給の仕事を行うこと・・・・・・この場合、業者の持株は半数以下であること」という自由競争市場創出にあった
*2 日販設立時の正式業務は、当日書籍小荷物便456個・翌日雑誌特運扱い分1,203個であり、取引書店毎の選別・積み上げ作業は「種まき」・「よつん這い」と呼ばれた労働集約的梱包作業であった
*3 東京都内では旧日配取引店の72%に達し、全国的には雑誌取扱店2,531店・書籍取扱店2,058店に達した
*1 「王子流通センター」は、雑誌物流の拠点として位置づけられ、@60台のトラックが同時発着できる接岸線、A同時に2000枚のパレットが格納できる大受品ストック場、B整品作業場のコンベアシステム化、C新型自動包装結束機の大量導入によるオンライン雑誌発送システムである
*1 日販取引先書店4,000店の販売実績・販売能力の計数化をもとに、配本パターン別のランクづけデータをコンピュータに入力し、適正配本・返品減少・送品事故防止に大きな成果を上げた
*2 全長320mのコンベアと段ボール供給用のトロリーコンベアの全面稼働システムである
*3 送品する書籍の大部分を梱包せずバラのままコンビテナー(メッシュパレット)に積み、コンテナーに収容して本支店間の輸送ルートに載せる方法で労働集約的な積み卸し作業の合理化を実現した
*4 全日本印刷工業組合連合会調査によると、上製本定価は1970年を100とすると1973年210,3と高騰し、上製本の定価は1,000円以上が一般的となり、文庫本の定価も500円を超えた
*5 日販と椿本チェインの共同開発による「スピーカーソーター(拘束自動仕分装置)」は、注文品を1時間に2万冊仕分けし、搬入トラック60台が同時に荷下ろし可能な巾170mの接岸線が確保され、一貫パレチゼーションシステムを支えるテーブリフター・フォークリフトが稼働開始した
*1 全出版物が自動的に再販対象となっていた制度を、出版社の意志による時限再販か部分再販かの自由選択制となった
*2 スリップを自動的に読みとり、在庫確認のうえ伝票をリアルライムで作成し、抜き出し銘柄ランプが点滅するシステム
*3 OCR文字・バーコードの両方を読みとるハンドスキャナーを搭載し、書店の商品単位売上・金額・在庫数を把握する単品管理をベースに各種売上分析を行い、日販とのネットワークによる補充発注・自動発注処理を行う
*4 前者は日販オーダーネットワークシステム(NSー1)に連動させて発注書を自動的に送信するFAXネットワークであり、後者は従来のNSー1に採用品の受発注・在庫管理システムを追加して、採用品の迅速な調達・出荷を実現するシステムである
*1 東京国際ブックフェアーにおいて、日販は出版社25社の協力で参加し、国内外出版関係企業280社、18、000人の参加があり、フランクフルトブックフェアーでは日本年を記念する日本館が設けられた
*1 コミックの最新号の販売実績をもとに自動的に次号の売れ行きを予測し配本するシステム
*2 書籍の定番商品が売れると自動的に補充配本する
*3 0,5秒/冊の高速で文庫のバーコード情報を読みとって入力、同時に定価別仕分け・返品伝票を発行するシステム
*4 マルチネットワークは、文庫判からA4変形判の写真集までの多様なサイズの注文書籍を扱い、書店毎に自動仕分け・起票作業をおこない、46、000冊/時、1、920方面/シフト(3シフト/日)への仕分けを可能とし、投入口と箱詰め作業以外は全て自動化し、従来のシステムに対して4倍のスピードを実現した
*5 情報化・FA化された流通システムを基礎に書店店頭活性化・販売効率上昇のため、ジャンル毎に既刊商品の売行良好書を選定し、書店の規模・立地別の効率的品揃え支援と安定的な商品供給をおこなうシステム
*6 日販文具システムは、日販が総合文具問屋と提携し、書店への文具商品供給を一元化するとともに、小物・形状の多様な文具商品の補充・在庫管理を一元化するシステムであり、雑誌陳列ローテーションシステムは売れ筋の雑誌をその鮮度に応じて最も集客効果が高い陳列場所で販売するシステムである
*1 出版社から預かった原版情報を電子製版によって在庫し、読者からの注文に応じて直ちに印刷・製本して之貧するシステム
*2 欧米では、雑誌は基本的にニューススタンドで販売され、書籍は書店で販売される。ドイツの場合、書籍の書店から取次(ホールセラー)への注文は翌日に到着する。その理由は、書籍が買切制であり、配送費用の書店負担制、取次が出版社の在庫を買い切っていること等にある。なおドイツの場合、取次経由は客注品であり、新刊書籍は出版社と書店の直接取引であるため、日本型取次優位性はない
*1 取次ルートに依存しない出版社は、日経BP社・家の光などの独自の流通ルートを保持している少数の出版社のみである
*2 土地所有者である三井不動産が南神保町一丁目一帯を、高さ100mの巨大オフィス・住宅ビルとして再開発する構想であり、本の街神田のイメージは一掃される。再開発地域に係わる17取次は、テナント料で入居する取次は1社のみで、2社が廃業し大部分は隣接地に移転し、神田村の店売形態(本を店頭で小売書店に販売する)を維持しようと努力しているが、限界がある
*1 委託販売とは、「メーカーから再販業者へ整品を出荷する場合、再販業者に売る形をとらず、整品の所有権は、再販業者が販売を終えるまでメーカーが確保する方式。再販売業者は実際に販売が完了するまで代金を支払わなくてもよいので、この方式に利点を見い出すこともできるし、一方、メーカーは再販価格をコントロールできるし、中小メーカーは大百貨店と取引きできるなどの利点がある」(日本経済新聞社『流通用語辞典』)と説明されている
*2 運賃単価コストの地域差にもかかわらず、全国同一価格で書籍は提供される
*1 データ登録で商品の認知が得られる英国型システムは、零細出版社にとってメリットであり、英国版元4万社の圧倒的多数が1人出版社である経営基盤を保障している
*2 オーダーピッキングは受注商品を保管位置から取り出す作業を意味し、「つみとり方式」(客先別の篭を持って棚列を巡回し取り出す)と「たねまき方式」(客先別の篭を並べ必要商品を入れる)がある。全自動ピッキングは、全自動仕分けコンベアシステムと、全自動流動棚システム・ロボットシステムがある
*1 日本書店商業組合連合会『書店経営白書』(1992年)では、年間1,000店の廃業、連合会加盟店の181店(4,3%)が転廃業したとなっている
*1 チェーン戦略例として、文教堂(神奈川 154店舗)・平安堂(長野
97店舗)・文眞堂(群馬 52店舗)・戸田書店(静岡
58店舗)・明林堂(大分 68店舗)・宮脇書店(香川
156店舗)など
*1 セブン・イレブン(親会社はイトーヨーカ堂)は、米国セブン・イレブンとの技術・経営提携によって、昭和49年に第1号店を開店し 昭和51年に直営書籍売場を開設した
*2 全国6300店・1日630万人の顧客が何時何分にどの商品をどれだけ買ったかという膨大なデータが、他の属性とクロスされてISDN(1990年導入)で瞬時集計分析され、売れ筋情報が翌朝に伝わり、店主はそれを見て予測仕入れをおこなう
*3 現在では、全国ブランドの食品・飲料メーカーから非食品メーカーまでCVS抜きの商品開発・販売戦略は考えられない。「一番絞り」はセブンイレブンの店頭テスト販売から大量製造に踏み切り、「カルピウオーター」・「手巻きおにぎり」・「カップ入り浅漬」・「小割けソバ」・「生野菜サラダカップ」・「朝カン」等がセブンイレブンの提案によって開発されたオリジナル商品である
*4 Cookyの限界を突破するのが、登録システムによるID・パスワード発行によってログイン後の個人行動を完全に掌握し、完全なパーソナライズを可能とする顧客アプローチである
*1 鉄道弘済会(昭和44年)の参入以降、奈良交通・アメリカや靴店・ニチモプレハブ・京王電鉄・キンカ堂・イトーヨーカ堂・阪神電鉄・鹿島建設など
*1 「ブックサービス」は、ヤマト運輸と栗田出版販売の共同出資(出資比率ヤマト8、,栗田2)で設立し、クロネコヤマトの宅急便トラックを利用して、注文の翌日〜7日以内に顧客に納本し、料金は地理的条件に関わりなく1回380円であるが、雑誌・洋書は扱わない。従業員はパートを含め41名体制であり、1995年度年商26億円で毎年2桁成長を遂げている。このシステムの優位条件は、稼働中の宅急便トラックを活用し、注文書籍を出版社倉庫(2500出版社)に直截廻って集荷し、伝票のみが栗田処理である
*2 「BOOK急便」のしステムは、三省堂企画事業部が運営し、西濃運輸のマンガルー便を使用し、10日前後で納品する。料金は1回800円で、神田本店が立地している中小取次約0社の集積を生かした取次業者からの取り寄せである
*1 DTPは本来的には、個人用ツールとして発展し、個人が商業印刷に負けない品質の印刷物を創造するところにあったが、日本では性能は劣るが安価な写植機として導入され、既成のCTSや工程・作業の再編を伴っていないため、明確な直しの基準がない。DTPオペレーターと編集者が異なる場合、編集者は従来のCTSの感覚で多様な直しを入れ、オペレーターの長時間過密労働を誘発する。デザイナーの場合は、直しはデザイナーの職域ではないにも係わらず強制され、適正な単価が支払われない。
*2 Amazon.comとBarnes&Noble.comは、マイクロソフト社と提携して電子書籍のダウンロード販売を展開し、人気作家ステイーブン・キングもインターネットによる自作のダウンロード販売を開始し、The
Plantは発売から1週間で15万2000千件のダウンロードがあった
*3 すでに欧米では学術研究雑誌はほとんど電子出版へと移行し、印刷書籍と同じ文献価値を持つと位置づけられているが、日本の学術研究論文では未だURLが参照価値を持つものと公認されていない現状がある
*1 津野海太郎氏は、「通常の書店のような物理的な店舗は設けず、インターネット上に、イメージと情報だけで構成された仮想書店を開き、オンラインで世界中から注文をとって本屋ビデオを売り、その代金を買い手の銀行口座から引き落とす」(『オンライン書店の誘惑』昌文社
1998年)と定義しているが、物理的店舗を併存させたものもあるし、決済方法も多様化しているのでこの定義では全てを包含し得なくなっている
*2 米国書籍業は、年間約260億ドル市場といわれ、約5万の出版社・約50の問屋・約10万の小売書店で形成されている。1994年に従業者数4人で創業した同社は、翌年売上高51.1万ドルであったが、98年度には約6億ドルに成長し、オンライン書店として世界1位、全米全書店で3位の売上高となっている
*3 ソフトバンク・ヤフー・セブンイレブン・トーハンの共同出資会社で、全国7900店を展開するセブンイレブンの配送網を利用した、宅配以外にも24時間営業のCVSでも受け取れるシステムである。セブンイレブン7900店での24時間コンビニで受け取れる
*4 前者はトーハン、後者は日販で、オンラインで受注した本を書店で受け渡す書店参加型オンライン書店
*5 「紀伊国屋ブックウエッブ」は会員制で入会金1,500円で年会費はない。24時間稼働のウエッブにアクセスして書籍データベースから注文すると、和書は最短4日で配達される。配送料480円は、分納でも最初だけで後は無料となり、洋書は最短で10日で重量で配送料を払う。1日35万件のアクセスがあり、1日当たりの受注は2,000件で月商1億円となっている
*1 140万点を誇るオンライン書店の和書データベースも入手不可能なものが大量に含まれ、『日本書籍総目録』(日本書籍出版協会 1999年度版)では、現在日本で入手可能な書籍は約56万点で、無料データベースBOOKSで検索できるが、実はこの中にも入手不可能なものが大量にある
*2すでに、角川書店・文教堂の書籍オンライン受発注システムや、トーハンの集中管理型サプライチェーン・マネイジメント・システム構築(2001年)が構想されている
*3 再販制度がある韓国では、オンライン書店は25〜35%の割引販売をしており、読者は大型書店で本の内容を吟味し、購入はオンライン書店を通じておこなう現象が拡大し、実質的に再販制度は形骸化する傾向にある
*1 皓星社の「皓星社オンラインアーカイブhttp://www.libro-koseisya.co.jp/top12/top12.html」という横断的な検索サイトの実験が行われている
*2 しかし、私立大学の経営問題や国立大学の独立行政法人化に伴って、資料のデジタル・アーカイブ化の補助金・科研費の規制緩和がなされて、適正な利益と受益者負担原則によるオンライン販売・課金が科せられる可能性もある
*1 Electronic Data Interchangeの略で、異なる企業間における電子化された取引データを情報通信ネットワークで交換することをいう
*1 「Japanese Book News」・「Asian Pacific Book
Development」等の既存雑誌のネット提供
*2 日本の出店は、(社)出版文化国際交流協会による外務省・国際交流基金との共同プロジェクトとして、1962年のフランクフルト・ブックフェアーへの参加から始まり、1987年度から「ODA諸国の国際図書展への参加プロジェクト」助成金を受けて本格化した。日本でも1984年から東京ブックフェアーが開催され、1992年から東京国際ブックフェアーに再編され、1995年には国内499社・海外401社が参加している
*3 日本の『少年ジャンプ』・『少年マガジン』・『少年サンデー』を無断で転載する『少年快報』は24万部発行されている。日本のコミック雑誌のゲラを発売前に入手して現地出版社にファックスで送り発売前に台湾の海賊版が出る(1994年3月4日付朝日新聞)。国際ブックフェアーが、版権ビジネスに発展する知的所有権の整備が緊急の課題となっている