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●本番舞台 本妻・お徳の家 布団にくるまれ、大八車で運ばれてきた忠治。 お徳 ……で、相手は誰だい!? 木枯らし紋次郎かい? 子連れ狼かい? 安造 いや姐さん、そうでもねえんだ…。 お徳 あー、こんなことでもあるんじゃないかと思ってねえ、あたしゃ、日に10ペンは神棚に手を合わせて拝んでいたんだ。 子分2人、お徳の早合点にただ呆れるばかり。
安造 姐さん。 お徳 止めるんじゃないよ!……それに、なんだい、この按摩? 市を突き飛ばす。 清五郎 あ、可哀想(かえーそー)に。 安造 姐さん、抑えておくんなさいよ。 お徳 うるさいね! 安造 あ、あの一、姐さん、親分は生きていなさるよ。 お徳 生きてる? 安造 へい。 布団から顔を出す忠治。
と安心して家の中へ戻り、座敷に座りなおす。 安造 冗談じゃねえんで……。 清五郎 親分は歩けねーんですよ。 お徳 歩けない? (せせら笑って)それじゃまた大酒食らって、腰でも抜かしたんだろ?…… 大八車に寝たままの忠治。 熊倉さんの語り 長年連れ添った本妻・お徳は、お町の家での発作と知り、一度は激昂するものの、やがて許し、身の上を案じます。 安造 ……そうでもねえんで。 お徳 じゃあ、なんだい。ヨイヨイになる年でもないだろうが。 安造 親分は中気でさぁ。 お徳 中気? 安造 へい。賭場(どば)の帰りに倒れやして、医者に運んだんでやすが…… 清五郎 そうそう。医者に運んだりして遅くなったんですよ。 安造 医者の診たてによると三月は安静にしておかなくちゃなんねえと。 お徳 三月も!? 安造 へい。 お徳 まあ〜、可哀想にお前さん! 1種1級の重度身体障害者になるのかい? 役場へ行って身障手帳もらわなくちゃいけないねえ。 お徳、再び忠治のそばへ歩み寄り、泣きすがる。
テーマ曲「サタデー・ナイト・フィーバー」をバックに…… 佐賀 (やおらタバコをくわえ、ジッポーライターで火を点けて一服吹かし)まあ、なんと言うか…… ●本番舞台 お徳の家〜その外〜けい古場 忠治と市、2人だけ。 市 誰か来やすぜ。人の足音がこちらへ上がって来やす! 忠治も刀を取ってその方をにらむ。 忠治 おー、お町! おめえ戻ってくれたのか!?(と、言語障害は、もう、すっかり治っている)
忠治 あいつはそんなことをする男じゃ…… お町 でも、ケンカ仕度だったわ。 忠治 え、何! お町 (玄関へ飛び出し外の気配をうかがい)あっ、人影がこっちに! 忠治 何! お町、おめえ危ねえから奥へ引っ込んでな。 お町 でも…… 忠治 いいからいいから、ここは女の出る幕じゃねえ。 お町、襖のむこうに身を隠す。 忠治 (刀を掴んで凄み)とうとう、来やがったか! 市 2人、3人、5人……いや、10人はいるようだなあ…… 熊倉さんの語り たった2人の子分も去り、本妻・お徳の家に病の体を休める忠治――。 この熊倉さんのナレーションの陰で、 忠治 え、英五郎……(ぬぬぬぬ! と歯ぎしり)貴様、俺を売ったのかあーっ! 奉行 えーい。黙れ黙れ黙れ! 忠治 そうだ! 奉行 ホンモノか? 忠治 そうだ。 奉行 5年前に見た新聞の顔写真とは違うようだがな。 と訝しがり、目明し、ふところに手を入れて、
模造紙全紙大の手配書(漫画家・手塚治虫さん自筆によるお尋ね書き、つまり忠治の似顔絵)を広げる。 熊倉さんの語り ……半身不髄の忠治と座頭市は互いにいたわりながら奮戦、ドラマはヤマ場を迎えます。 奉行 国定村長岡忠治郎、八州様の命により召し取る。神妙に、縛(ばく)につけっ! 捕り方一同 御用だっ!! 英五郎 このドメクラっ! 誰でもいいからたたっ斬れっ! テーマ曲「サタデー・ナイト・フィーバー」 そこでまた本番舞台に―― 子分A 行くぞ、やあーっ! まず、大前田の子分が斬りかかる。 子分B わあーっ! 市の居合い斬りの前に、たちまち2人が倒れる。 捕り方 御用だ! 御用! 六尺棒を差し出す捕り方、それを市が斬り上げ――
市が斬る。
そうして最期に残った浪人も斬る。 目明かし (おカマさんみたく声で)御用! 忠治 なんだ、おまえは!
お徳 みんなで逃げよう。 お町 あいよ! また、けい古場と本番が交錯。お徳が忠治を抱き上げ、大八車に見立てた車イスを押してお町が駆け寄る。 本間の声 これはテレビヘの反逆っていうか、マスコミヘの反逆……ま、僕が出している新聞がミニコミ紙ですからねえ。ミニコミで何ができるかっていうことなんですけれど。
本間 「同じ命である」といった尊さを訴えてこそ、それが本当のテレビのやるべきことではないか。それをやってない。 ●本番舞台 決めゼリフ 大八車の忠治、市、そしてお徳とお町。 市 ……山を下りやしょう。 忠治 市っ! 市 へいっ!(大八車のカジを取って)久し振りに大暴れができますねえ。見てくれだけのまかり通る世の中なんざ、あっしの仕込みで逆手斬りにしてやりまさあっ!(拍手が湧く) 抜刀する忠治。 忠治 それじゃ行くぜ。 市 へい親分! 忠治 真っ直ぐ突っ込むぜ! お徳 そっちは役人が…… お町 ダメー! 忠治 えい、止めてくれるな。ネバー・ギブ・アップ!
「御用」「御用」の喚声の中―― |