ボログホンタ創刊一周年記念・大公開 深刻劇『忠治意外伝』
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●第二幕●

登場人物 その1

 テーマ曲「サタデー・ナイト・フィーバー(スティン・アライブ)」をバックに、

 医者役 えーと、金儲けだけを考える医者をやります。
 上智大学の学生の小沼です、ヨロシク。金がありません。


 お町役 えーと、忠治の妾で、お町と言います。

 安造役 忠治の子分で、安造って言うんですが、清五郎のまた下で、弟分ということで、それでまあ……
 今、学生なんですけど。
 この芝居やることになったのは、ま、僕、社会福祉学科というところにいまして、それの実習で来て、それで本間さんと知り合って、「もし良かったら劇に出てくれないか」ということで、それでやるようになったんですけれど……

 清五郎役 忠治の、いちおう一の子分ということになってる清五郎という役をやります。
 えーと、これは最後に、なんかケツまくって逃げちゃう、あの、有り金さらって逃げちゃうんですけれど……そういうような役で、あんまり、あの、非常に“大根”なんですけれど。
 職業は公務員なんです。

 村人役 鈍感な村人をやります福井です。
 なんか、あの、イメージに合っていると本間さんに勧められまして、面白半分で出てきたのが、こんな
(笑い)大きなことになってしまって……今からもう、胸が震えております。

本番舞台 夜の山道

 忠治の家へ道案内する村人と座頭市。

 村人 按摩さん、親分さんの家はもう少しだからな。

  本当にすんませんなあ。

 村人 なんのなんの。あんた、メクラの身でようまあこんな暗い山道来なさっただなあ。人の通る道じゃねえだよ。

  ヘヘヘ……メクラ、ヘビにおじず、と言うのかねえ。

 村人 へ、蛇!?

 効果音声
「ピーポーピーポー」(救急車の音)

 村人 おや? なんの騒ぎだろう?

  なんか聞こえますねー。

 村人 また村の子か誰かが早馬に蹴られて死んだか……

 の一連のセリフが小さくなる上にかぶさって、

 熊倉さんの語り かつて忠治全盛期の頃、危ない命を救われた恩義のある座頭市。昏れなずむ村外れでの再会です。

 忠治 おう、おう、おう……

 その忠治に気づき、

  あー、親分。気がつきなすった!

 布団ごと大八車に乗せられ、子分2人に守られた忠治に近づく。

 忠治 よお、よお、よお(言語障害がひどくて聞き取れない)……

  へ? 親分、なんでやすか?

 安造 ちょっと待った。おいらが通訳したるぜ。兄貴、ちょっと代わっておくんな。

 清五郎 面倒くさそうに大八を持つ手を代わる。
 安造、忠治のもとに駆け寄り、

 安造 へいへい、親分、なんでやすか?

 忠治 い、い、い……

 安造 市、こっちへ来い、と言ってやす。

 市、忠治のもとへ。

 忠治 おう、おう……(喜ぶ)

 市、忠治の体に手をかけ、

  あ、あーあ、親分。あーあ親分だ、まちがいねえや、こりゃ。
 だけどこんなにやつれて痩せちまって。あーあ、胸もこんなになっちまって……。

 清五郎 按摩さんよ。お町さんがよ、洗い物をするたびに洗濯板に使ってるんだぜ(客席爆笑)

 憮然とする忠治。

戯作者、問題提起する

 本間のアップ。

 本間 この芝居をみんなに見てもらうんだけれども、注意してもらいたいのは言葉の問題ですよね、いわゆる差別語って言われているメクラ、カクワ、腰抜けとか、そういったのがぼんぼん出てくる。
 で、まあ、戸惑われる方もいるんじゃないかと思うんだけれども、もちろん障害者にしてみれば非常に切実な言葉ということで、気にする向きもあるかと思いますけれども。
 しかし実情を、そういった言葉だけでね、規制して、それを無くしてしまえばそれでいいのかと、いうような問題が一つありますね。

本番舞台 再び村外れの山道

 大八車の忠治と市、通訳の安造、大八車を支える清五郎、見守る村人。

 忠治 い、い……

 安造 市。

  へい。

 安造 お、こっちだこっちだ(手を取って親分のそばへ)

 忠治 おめ、おめ……

 安造 (身ぶり、手ぶりも大げさに)おめえのあったけえ気持ちは忘れねえぞ、と。

  へえへえ、どういたしやして。

 清五郎 い、い、いい加減! チェッ、俺までドモリになっちゃったぜ。
 いい加減、こんな面白くもねえ遊びやめて、早くお徳さんのウチに帰ろうぜ。あの人の剣幕に遭ってみろ、大変だぞー……

 などのセリフのやりとりが途中から小さくなる中――

 熊倉さんの語り 久し振りに忠治との再会を果たした座頭市。しかし忠治は落ち目。弱きを助けずにはおられぬ市のこと、やがて二足ワラジの大前田英五郎との暴力団抗争に巻きこまれていきます。

 カラスが鳴いている。

 清五郎 まったく、あの人の剣幕にはよぉ……

  ちょ、ちょ、ちょっと待ってくんなあ。

 清五郎 へっ。

  ほーら、カラスが鳴いてらあよ。えんぎでもねえよ。

 清五郎 けっ。国定一家の行く末なんざ、カラスの方がよっぽどお見通しなんだぜ。

  いけねえいけねえ、縁起でもねえこと言っちゃいけねえ。
 縁起でもねえ〈もん〉は始末するに限らあね。

 夜空をうかがう市――。
 テーマ曲が流れて、市の必殺居合い斬り!
 上から斬られたカラス……
 ではない、紐に吊られた「浅草・鮒忠」のローストチキンが落ちてくる。

登場人物 その2

 テーマ曲「サタデー・ナイト・フィーバー」をバックに、

 大前田英五郎役 え一と、まあ、僕、役柄は、あのー、忠治のシマ(縄張り)を取る、まあ敵なんですけれども、大前田の英五郎……まあ、病気になったのを、これ幸いにシマを取ろうと、まあ、そういう役なんですけれど。
 職業は、あのー、トラックの運転手をやっていまして……


 奉行役 あのー、アウトローを取り締まる奉行です。
 学生ですけども……

 大前田の子分A 相撲取りの子分の役で……
 今は学生です。

 大前田の子分B 英五郎の子分の役をやっております。
 公務員を。ふだんは公務員を
(ぺこぺこと過剰に律儀に頭を下げて外野の笑いを買う)……

 字幕
[忠治の本妻、お徳]

 お徳役 えーと、本間さんのお友達のお友達なんです。
 そういう話がきて、ちょうどやりたいなと思ったので、ただもうトントン拍子で、仲間に入れていただいたって形なんですけど……
 えー、役については、割と老けた声出しなさいって、よく注文受けるんですけどね、もう、二十歳でしょう。声が声ですので、地で行くしかないので。あの、一生懸命老けるようにはしているんですけれど、どうもお町さんと同じような年齢になってしまうんですよね。


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オープニング  開演前写真集

●通常文字バージョン  第一幕  第二幕  第三幕
○色抜文字バージョン  第一幕  第二幕  第三幕

エンディング

顛末(てんまつ)記__開演前からにぎやかに  記念エッセー__茜の空の座頭市
深刻劇
・忠治意外伝__全台本


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